予想通り
「お前は、それでいいのか? この国はお前の国なんだろ。セムトに奪われたままの状態を、受け入れられるのか?」
「それは……」
マイルズの言葉を聞いて、アーヴァインが深呼吸をした。
「……私は、皇帝です。セムトの力を借りなければ、皇帝になれなかったような男ですが……それでも、矜持だけは失っていないつもりです」
彼はマイルズの目を見て、言い切った。マイルズが会心の笑みを浮かべる。
「なら、セムトのことは忘れろ。いいか、どんな経過を辿ったとしても、今の皇帝はお前だ」
アーヴァインは戸惑ったような表情になって、頷いた。
「分かりました。しかし、では……セムトは、どのような扱いにすれば良いのでしょうか」
「そうだな。今の地位がどうなってるかは知らねえが、外交を担当させればいいんじゃねえか? どうせコイツは、権力には興味がねえしな」
「おや、そうなのですか? 以前、できるだけ高い地位につけてくれと望まれたのですが……」
アーヴァインの言葉を聞いたセムトが、不思議そうな顔をした。
「それは、会いたい子がいたからで……今は、ケイがいるから大丈夫。ケイと一緒にいられる仕事だったら、何でもいいよ」
その場にいたセムト以外の人間が、微妙な表情になった。マイルズがため息をつく。
「……後は、任せられるか?」
「そうですね。ただ、これから先の他国との交渉は、あなた方に頼まなければならないと思います。あなた方のおかげで戦争を止めることができましたので……」
マイルズが腕を組んで言った。
「そういう話になるだろうと、予想はしていた。いいぜ。協力してやる」
2人の話を聞いていたケイが、不安そうな顔をした。
「でも、セムトの力がないと何か……問題が起きるとか、そういう話だったんじゃ……?」
アーヴァインが苦笑を浮かべる。
「なんと言えばいいのでしょうね。セムトという男は、状況をとにかくややこしくするんです。あなたは彼を止められるので、あまり気にしたことがないのかもしれませんが……。止める人間がいないと、非常に面倒なことになるのですよ。彼が気に入るような結果にしなければならないので、先より後に動いた方がやりやすいんです」
ケイは呆れたような顔になって、セムトの方を見た。
「あのさあ、これから何か決まったとして……それが気に入らなくても、セムトは口を出さないよね?」
彼は相変わらず、何も理解していない様子だった。けれど。
「うん。ケイがそうしてほしいって言うなら、そうするよ」
そんな言葉を発して、笑ったのだった。




