それから
アマーリアは自分たちが帝国側の使者だということを伏せて、これまでにあったことを話した。ヴァルトルはその話を聞き終わって、感心したように息を吐いた。
「マイルズたちは、凄い冒険をしてきたんだなぁ。ちょっと憧れるかも」
エドゥアルトが呆れたような目で彼を見た。
「お前が同じことをしたら死ぬぞ」
彼は拗ねたような表情になって言った。
「エドに言われなくたって、そんなことは分かってるよ! でもさぁ、そういう派手なことをして死ねるんなら、それはそれでいいかなって思ったりもするじゃん?」
「それはどうかしら。アタシは良くないと思うわよ。アタシたちは派手なことをしようとしてたわけじゃなくて、結果的にそうなっただけだもの」
アマーリアが苦笑しながら口を挟む。マイルズが腕を組んだ。
「ま、派手なことをしたいんなら、護衛じゃなくて傭兵の仕事をすべきだろうな」
ヴァルトルが口を尖らせる。
「それはそうなんだけどさ、オレたちを雇用してくれる国なんて無いもん。エドはまだ、伝令役になれるかもだけど」
「……バカか、お前は。僕はあまり高く飛べないし、他の奴らと比べたらどうしても速度が劣る。そんな僕が伝令役になんて、なれるわけないだろ」
エドゥアルトが目を細めて告げる。ヴァルトルは不思議そうな顔をしていた。
「でも、エドは誰よりも正確に飛べるじゃん。それって凄いことだろ? オレは魚なのに、水が苦手だからさ。羨ましいよ」
ケイは彼らの話を黙って聞いていた。セムトはとっくに話を聞くのに飽きていて、ケイの手を触って遊んでいる。アマーリアが横目でそれを見て、そっとマイルズに耳打ちした。マイルズは彼女の言葉に頷いて、話の切れ目で席を立った。
「すまねえが、明日があるんでな。俺らはそろそろ休ませてもらうよ」
「ああ、そうだな。いい時間だし、終わりにするか。マイルズたちもカルヴィン山に登るんだろ? 途中で会ったらよろしくなー!」
ヴァルトルが笑みを浮かべて手を振る。エドゥアルトは無言で頭を下げた。4人はゆっくりと、自分たちの部屋に戻っていった。部屋の扉が閉まったところで、ケイが呟く。
「結局、ボクらが帝国の使者として来てることは言わなかったけど……どうして、なんでしょうか。いつかは分かることですよね?」
「まあ、酒場でする話でもねえだろ。どこで誰が聞いてるか分からねえしな。それに、アイツらは分かってるよ。同じ時期にカルヴィン山に向かうってことは、そういうことだってな」
「そうね。2人とも、賢い子だから。気を使ってくれたんだと思うわ」
マイルズの言葉にアマーリアが同意する。ケイは2人の言葉に納得して、ベッドに向かった。




