友達の知り合い
「酒は飲まなくていいからさ、マイルズたちの冒険譚を聞かせてくれよ。ケイと、その……セムトって人のことも、聞きたいし」
ヴァルトルがそう言って、4人分の椅子を持ってくる。ケイはセムトと並んで座った。アマーリアが微笑みながら席について、口を開く。
「あまり話せることはないけれど、それでもいいかしら?」
「いいよ! オレたちも、言いたくないことを無理に聞き出すつもりはないし。それで? アマーリアさんは、あれからどうしてたの? 噂では魔の森に入ったって聞いたけど、本当に?」
「本当よ。アタシたちは、魔の森の廃村で暮らしていたわ」
「凄いね、それ。魔の森って、人が暮らせるところじゃないと思うんだけど」
「そうでもないわよ。結界を張ってたから、魔物が寄りつくことは無かったもの」
「そうなの? オレたちには無理だなあ。父さんでも、魔の森には近づけないって言ってたのに。なあエド、お前もそう教わったよな?」
ヴァルトルは感心したような声を上げて、傍らの青年に視線を向けた。青年は低い声をだした。
「森の魔物は強い」
「そうだよなー。アマーリアさんたちが特別なんであって、オレたちじゃ絶対無理だよな」
「……そこの男も、強い。2人より、強いかもしれない」
青年がセムトの方を見た。ヴァルトルは目を見開いて叫んだ。
「マジか! えー、信じられねえ。エドが言うんなら、間違ってないんだろうけど」
アマーリアが苦笑を浮かべた。
「そうね。彼と真正面から戦ったら、勝てないかも。マイルズは絶対に認めないと思うけれどね」
「当たり前だろ。エドゥアルトの言うことなんか当てになるかよ」
マイルズが不機嫌そうな顔をする。青年は平然とした表情で告げた。
「相手と自分の力量差も分からないのなら、致命的。戦うべきじゃない」
ヴァルトルが慌てて2人の間に入る。
「エド、やめとけって。マイルズも、気にしないでくれよな。コイツはいつも、1言多いんだ」
青年は何か言いたげな表情で黙った。マイルズがため息を吐く。
「……分かってんだよ。それでも、俺は勝ちてえんだ。今よりも強くなって、いつか……」
ヴァルトルはその言葉に頷いて、アマーリアの方を見た。
「マイルズがこんなことを言うなんて珍しいな。2人はライバルなの?」
「どうかしらね。マイルズが一方的にライバル視してるだけで、彼の方は気にもしていないから。そもそも、彼にとって特別なのはケイちゃんだけなのよ」
アマーリアが困ったような表情で言葉を紡ぐ。ヴァルトルは興味深そうに、彼女の話を聞いていた。




