リターン
次の日。ケイは茗荷に声をかけた。
「昨日、みんなと話したんですけど……ボクは、この戦争を終わらせたいと思ってます。何をすればいいのか、まだ何も分からないんですけど……」
「そうですな。まずは、帝国の首都に戻ることを目指すべきかと。黒鳶は魔術師と戦ったことで、忍者の数が大幅に減っております。帝国の力を使って黒鳶を攻め落とせば、神聖国と戦うのが楽になるかと」
ケイは不思議そうな顔をした。
「帝国の人は、協力してくれるんですか?」
茗荷はケイの隣で微笑んでいる男……セムトに、もの言いたげな視線を向けた。ケイもつられて隣を見た。セムトはケイと目が合うと、何かを考えるような表情になって言った。
「どうかなあ。実はね、帝国に僕の友達がいるんだけど……協力してくれるかどうかは、彼に聞かないと分からないかも。僕の屋敷はまだ残っていると思うから、そっちに拠点を移そうか。魔の森に他の人が居ないから、ここに居ても仕方ないし」
「屋敷って、ボクがセムトに連れていかれた場所のこと? 宿屋にしては人が居ないと思ってたけど、あれ、全部セムトの物だったの?」
「そうだよ。というか、僕は帝国の領土に根を張ってるから……。あの国は実質、僕の国みたいなものなんだ。普段は友達に管理を任せてるから、その子に聞かないと動かせないけど」
「……あ、そう」
ケイは半目になった。
「その友達の人は、《花》にはしてない? 大丈夫?」
「うん、大丈夫。《花》にしなくても、彼は僕の味方になってくれてたから」
(ホントかなあ)
ケイはセムトに疑いの視線を向けた。彼は拗ねたような声を出した。
「ケイは僕のことを信じてくれないの?」
「だって、茗荷さんたちもそうだし……ボクだって、嫌だって言ったのに鎖をつけられたもん。信じられないよ」
「それなら、実際に会ってみようよ。帝国に張った根は残ってるから、ある程度の状況は分かるんだ。僕の屋敷は残ってるし、友達も生きてるから、帝国に行けばすぐに会えるよ」
「そっか。……じゃあ、そうしようか」
「では、私は皆にこの事を伝えてきます」
2人の会話を聞いていた茗荷が、そんな言葉を残して去っていった。ケイはセムトを連れて家に戻った。
「どうなった?」
マイルズが問いかける。ケイは自分の分の荷造りをしながら答えた。
「帝国を拠点にすることになりました」
「そうか。まあ、セムトがあの国に居たからな。その方がいいだろ」
マイルズの言葉を聞いて、アマーリアが頷く。そうして彼らは、帝国の首都を目指すことにした。




