戦う理由と戦い方
その日の夜。ケイは他の転生者を集めた。彼らは向かい合うようにして座って、ケイから昼の話を聞いた。マイルズが腕を組んで、話し始める。
「まあ、そう思う奴は多いだろうな。この世界がゲームの中じゃねえなら、俺も同じことを考えたと思うぜ」
「ここはゲームの中の世界だから、茗荷さんの望みは叶わないってことですか?」
「俺は叶わねえと思ってる。運営が『幻想大戦』の中に戦争が終わる展開を作ることはねえだろうからな」
「でも、これは『幻想大戦』じゃないわ」
ケイとマイルズの会話を聞いていたアマーリアが口を挟んだ。
「ゲームでは作られていなくて入れなかった場所にいるのだもの。作られていない展開が起きることも、あると思うわ」
「……そうだな」
マイルズはアマーリアの言葉に頷いて、ケイの方に視線を向けた。
「お前は、どうしたいんだ?」
ケイは俯いた。
「ボクは……人が死ぬのは、良くないと思います。だから、茗荷さんがこの戦争を終わらせたいって思う気持ちは、よく分かります。ボクも同じ気持ちだから。……でもそれは、戦えないボクが決めることじゃないと思うから……その、戦える職業になろうと思っているんです」
「やだ」
セムトはケイの言葉を聞いた瞬間に、彼女の体を引き寄せて抱えこんだ。
「ケイが転職する必要はないよ。ボクがずっと一緒にいて、守ってあげるんだから」
「でも、それだとボク、何も……」
抱えられた状態のまま、ケイが反論しようとする。セムトは彼女の口を片手で塞いだ。
「出来なくていいよ」
アマーリアが困ったように笑って言った。
「そうね。ケイちゃんの気持ちも分からなくはないけれど、転職するのはやめた方がいいと思うわ。大丈夫よ。アナタが戦えない職業のままでも、アタシたちはアナタに協力するから」
マイルズが目を細める。
「俺は正直、お前がそっちの選択肢を選んでくれることを願ってたんだよ。お前が戦ってほしいって言うなら、セムトも本気を出すだろ。村が襲撃された時は、相手を倒す速度も技術も、ソイツに負けてたからな。レベルを上げて、ソイツと同じくらい強くなってから、改めて勝負を挑みてえんだ。前は勝てたが、あれはお前が側に居なかったからであって、俺の力じゃねえ。俺は俺の力でセムトに勝ちてえんだ」
セムトがケイの口に当てたままだった手を外す。ケイは周囲を見回して、戸惑いながら言葉を発した。
「今でも、それでいいのかは分からないし、不安ですけど……ボクは、この戦争を終わらせたいです。お願いします」




