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具零な商品《間食》
月海が苦戦していたころ、王城の一室で二人の男が語り合っていた。
「それで、おぬしは一体何をするつもりなのだ? あの娘たちに希望をみるとは、一体なぜじゃ?」
「なぜ希望が必要かと思う?」
相変わらず王冠を指で弄ぶ王と、その姿を横目に寿司を頬張る常時。
「そんなすました顔で二巻食いを延々として、「魔力も使わず」よくペロリと平らげるものだな。あの時を思い出すよ全く」
「もう昔の話の事ですよ。今じゃあの頃程食べれませんからね」
「……(十分くっとるがな)」
「俺は考えた訳ですよ。鋼の後継者を育てようってね。そして希望の種はきっと世界を救います」
「そこじゃよ。なぜ、世界規模になる?」
「1年後。1年後です、この大陸は消滅の運命を迎える予定なんですよ」
一拍して。
「な、なんじゃってー!?」
「おっと、そろそろ月海達の様子を見に行くか。それじゃ」
「ま、まままま・・・」
まてェ! と悲鳴に似た声をあげた王を放って、常時は王城を後にした。
続く!
鋼の後継者、という名称はオマージュさせていただいきました。




