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自慢させて:後編

 ……そういえば、あいつはいったいどんな風に笑うんだったかな。


 最後に笑ってくれたのはいつだったか。


「なっ、なに今の動きっ!

 お父さんすごいっ!!」


 別にこれくらい大したことはない。お前もそのうち――


 ……ああ、そうだった。


 昔はいつもこんな顔で……笑っ、て……


「本当ね!

 くるって回ってしゅぱんっ!

 しゅっ、しゅっ」


「あはは、それお父さんの真似ですか?」


 マルッテが……笑ってる……俺の前で……


「あっ、ゴブリンさんを治してあげないと!」


「だっ、ダメですよ治しちゃ!?」

 

 ゴブリンまで治すのか?


 ならまた俺の技を見せてやろう……


「何を満足そうにしてるんですか?

 言っておきますが、あの子の笑顔を取り戻したのは私のケーキですからね!」


 ふふっ、何を言うかと思えば。


 お前もわかってるんだろう?


 あの子があんな風に笑えるようになったのはおそらく「あいつ」のおかげだ。





 ――


 依頼を終えてから数日が経った。


 今日こそユーリさんと二人きりで食事しようと思っていたのに、何か話があるとかで「ルーク」に呼び出された。


 せっかく今回の依頼でお金が貯まったから前から狙っていた「首飾り」を買おうと思ってたのに、もう売り切れてたし……最低な日ね。


 ほらルーク、来てあげたわよ?


 さっさと大事なお話とやらを…………あ、それって。


「マルッテ、来てくれてありがとな。

 話の前に……ほら、これをお前にやるよ」


 え、どうしてこれをルークが持ってるのっ!?


「お前、最近よくこの首飾りすげえ欲しそうに見てたからな。

 だからやるよ……たっ、たまにはこういうのもいいだろ?」


 嬉しい……ルークって「あれ」から仲間のことをしっかり見てくれるわよね。


 そういうところ……結構好きよ?


「そ、それって……

 実は俺もお前のことが、初めて出会ったときからずっと――」


「あら、それなあに?」


 あっ、ユーリさんっ!


 見てくださいっ、これですっ!


 私がユーリさんにプレゼントするって約束してたやつ!


「まぁ素敵……貝殻のネックレスね?

 前に絵本で見た人魚さんたちが、皆こういうのつけてたわ……とってもうれしい!」


 やったぁ!


 それでですねっ、このあと夜景がキレイで美味しい料理を出してくれるお店を「たまたま」見つけたのでよかったら……


「お、おいっ!

 それ俺が買ったやつ……」


 え、私がもらったものを私がどうしようと私の勝手でしょ?


 あと、私もう冒険者やめることにしたから。


 お父さんも元気になったし、私が知らなかっただけでそもそもウチって結構お金あるらしいし。


 話を聞いたら、お父さんが仕事できなくなったのも「特殊個体」とはいえゴブリンのせいだったみたいだし。


 ゴブリンはもう、うんざり。


 一生ゴブリンなんかと遭わなくてすむ別の仕事を探すわ。


 お嫁さんとかいいかも……ぽ。


「そうか、応援するぞ」


 ん、ジルも来たんだ。


 今から二人で遊びにでも行くの?


 あんまり、いかがわしい遊びはしないようにしなさいね……あ、ユーリさんっ! 


「お、おいマルッテ。

 まだ話は終わってねえぞっ!?」


「もう諦めろルーク。

 元はと言えば「お前の注意不足」で「マルッテがゴブリンに襲われた」ことが原因だ。


「い、いたのかジル。

 それよりどういう意味だ?

 確かにあの事は今でも悪かったと思ってるけど……」


「マルッテがどうしてあんなにユーリに好意を寄せてるのかはわからないが、二人が出会った「きっかけ」をつくったのは間違いなくお前だ。

 ユーリのおかげで奴隷落ちを免れた上に、後遺症どころか傷跡さえ残さず綺麗に治してもらったんだ……惚れる気持ちもわからんではないだろ?」


 それでですねっ! 今日新しく下着を買ったんですけど、よかったらユーリさんに見てほしいなって……きゃ!


「だ、だけどあいつらは女同士だろ!?」


「それがどうかしたのか?

 マルッテが冒険者を辞める理由も「ゴブリン」に対して恐怖心を抱いたからだと言うのなら……やはりすべての原因を作ったのはお前自身だ」


 あとあと、冒険者やめちゃったので今日泊るところがなくなっちゃって……ちらっ。


「そうなの?

 うーん……それなら私のお部屋に来る?」


 い、いいんですかっ!? 


 まさかユーリさんの方からお部屋に誘ってもらえるなんて……♡


「ま、待てよっ!?

 お前さっき俺のこと好きって……!!」


 はんっ、ばっかじゃないの?


 私はあんたのせいで死ぬとこだったのよ。


 本気であんたなんか好きなわけないでしょ?


 だいたい私は昔から女の子の方が好きなの……もういい?


 私はもうあんたと何の関係もないんだから放っておいて!!!


「なるほど。

 これでマルッテがお前ではなくユーリを好きになった理由がわかったな。

 単純にお前より……「魅力的」なんだ」


「はは、嘘だろ。

 さっきの首飾りには俺の今までの稼ぎをほぼ全部つぎ込んだんだぞ?

 親にも今度帰る時は彼女と一緒だって手紙に書いてもう送っちまったのに……

 なのに……なのにこんなの、こんなのって…… 

 こんなのってあるかよぉぉぉおおおおおお!!!!」


 え、それ何の話ですか…………あはは、それ本当ですか?


 もちろん私はユーリさんの話なら全部信じますけど……そんなことが!?


 くすくす、ユーリさんってお話まで上手なんですね?





 ――


 ただいまー!


 あ、お父さんも家にいたのね。


 また怪我してるじゃない、あとでユーリさんにみてもらってね。


 え、家に帰ってきた理由?


 うーん、なんて言うか……コウノトリさんが遊びに来ちゃったみたい?


 ちょっとお父さんっ!?


 ユーリさんに何かしたら許さないからねっ!


 ていうか、私だと皆を止められないから絶対に手を出しちゃダメよ?


 あ、お母さんもお父さんを止めて……って、そのお腹っ!


 ……ふーん。


 まあ、今のお父さんなら別にいいんじゃない?


 それに、ユーリさんの妹になれるだなんて最高に自慢できるわよ!


 まあ、お嫁さんの私ほどじゃあないけどね?


※マルッテとルークとジルの3人が、初めてユーリと出会ったのは、第10話「回復スキル使えます」になります。

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