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死にぞこない:前編

やっぱり小説を書くのが好きなので、休むよりも小説を書いている時の方が癒されるようです。

なので、毎週木曜+αに。

基本は月曜日と木曜日の週2回更新を目指したいなと思います。

 あれからどれくらいの時が経ったのだろう。


 儂が体を起こすと、全身からバキバキと乾いた音が鳴る。


 痛みはもう感じることもないが、相変わらず耳障りな音色だ。


「ユーディーン・オルゴノットともあろうものが、この体たらく。

 なんて無様なのだ」


 そう、儂はあらゆる差別なく、区別もなく、えり好みせず、私情を挟まず、この国に住むすべての「人」を守った守護神ユーディーン・オルゴノットだ。


 ……もう、それも何年も昔のことだが。


「あ、おじいちゃん起きたの?

 今日は、おいもがたっくさんのスープよ」


「やあシェリー、それはすべてお前がお食べ」


「だーめ!

 おじいちゃんには体力を取り戻してもらわないといけないんだから!」


 そうか……お前には儂がまだ、ユーディーンに見えるのだな?


 なら、見せてやる……痛ぁ!


 思い切り立ち上がろうとしたら腰が……くそっ、身体の言うことがここまで利かなくなるとは本当に情けないものだ。


 大丈夫、これくらいならまた横になればすぐに元に戻る。


 そう……すぐにな。





 ――


「よう、シェリー!

 これから舞台を見に行くんだが一緒にどうだ?」


 おじいちゃんの残した食事を片付けていると、幼馴染の男の子「リック」がやってきた。


 前はよく遊んだけど、最近目つきがいやらしくなってきてなんだか嫌な感じ。


 口調もすっかり変わってしまって、いったい誰なのかもうわかんない。


「おい、何してんだ!

 さっさと俺の馬車に乗れよ!!」


 うわ、でた。


 この辺りに最近引っ越してきた悪ガキ「ロナウド」だわ。


 こいつとリックが付き合うようになってからというもの、リックは以前とどんどん変わっていく……もちろんダメな方に。


 もう付き合うのはよしなさいって言ったでしょ?


 これ以上こいつみたいになったら許さな……なにすんのよ!!


「え?

 だってロナウドが女の胸に触るのは挨拶だって……」


 そんなわけないでしょう!?


 本当にどうしちゃったのよ、あんたは劇団に入っておじいちゃんの後を引き継ぐって、そういったじゃない!!!


「それは無理ってもんだぜ。

 だって、お前のじいさんもう死んでるじゃねえか!」


 そういってロナウドがおかしそうに笑う。


 絶対許さない……リック、私はあなたを一生軽蔑する。


「笑ったのはロナウドだぞ!?

 僕は笑ってないじゃないか!?」


 なら、そいつを今すぐぶん殴って!!!


「で、出来るわけないだろ?」


 何でできないのよっ、このいくじなしっ、もう二度とうちに来ないで!!!




 ……やっちゃった。


 おじいちゃんの面倒を見るようになってからも会いに来てくれたのは、リックだけだったのに。


 でも、あれだけは許せない。


 私のおじいちゃんはまだ死んでなんかない。


 今はただ休んでいるだけ。


 ぜったいにまたあの舞台の上で……。


 ぽろりと涙が落ちた。


 その先を何となく見てみると、昔リックにもらったおもちゃの指輪が輝いていた。


 昔と違って小指にしか入らないのに、つい薬指に入らないか試してしまう。


 やっぱり入らない。


 ……ねぇリック、あんたは本当にもうあの日の約束を忘れちゃったの?


 一緒におじいちゃんの舞台を見たとき、あなたとっても感動してたじゃない。


 お願いリック、もう一度あの時のあなたに――



「お邪魔するよ。

 おじいさんの具合はどうだい?」


 あ、ドールマンさんこんにちは。


 さっきまで起きてたのだけど、もう寝ちゃったみたい。


 私がそういうと、少し寂しそうな笑顔をこちらに向けて話し始めた。


 ドールマンさんが経営している劇団の財政状況がもう立て直せないところまで来てしまったという。


 代わりの役者は見つからないし、ここら辺でもう劇団をたたもうと思っている?


 そんなっ、嘘でしょ!?


 私の目の前は真っ暗になった。


 だってそうでしょう?


 おじいちゃんが体を悪くしてから、他の劇団は全部おじいちゃんなんて最初からいなかったかのように私たちの前から消えてしまったんだもの。


 最後に残ったのは一番新しいドールさんの劇場だけ。


 友達と遊びにも行かず節約したお金も、余分なお金は全て看病に使ったから貯金なんてない。


 髪も肌もどんどんボロボロになっていくけど、それでもあの日の約束のために私はどんな苦労もいとわなかった。


 なのにおじいちゃんは立ち上がることもできず、今頃リックは軽い女を探してナンパでもしてるんだろう。


 もう嫌だわ……え、いい話って何?


 新しい路線の劇団を作って、そっちの収入で元の劇団を存続させる計画がある?


 え、嬉しいけど、何で私にそんな話を……私が役者に?


 無理よ、おじいちゃんと違って私は素人。


 そんなことできるわけが……これを着て踊ればいいだけ?


 いえ、衣装を渡されても私は……何よこれ!!


 なんで所々に穴があいて……こ、こんなもの着れるわけないでしょう!?


「おいおい服も自分で着れないのか?

 じゃあ、俺が手伝ってやるよ」


 そういう意味じゃなくて……え、なんでロナウドがここにいるのよ!


 

―お知らせ―

1話完結形式は変わらず、前編・後編などに分けることにしました。

そうすることで、本来予定していた木曜日が「来る前」に、書きあがっている部分を投稿できてしまいます。

とっても不思議。


明日の木曜日には後編を投稿します。(執筆中)

これからしばらくの間は週2回更新に。


いつも読んでくださってありがとうございます!

ちなみに好きな食べ物は「かまぼこ」です。


――白木凍夜

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