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王子様もひとりぼっち

 かわいいメイドさんが、ミルクティーを持って来てくれるんだろうなぁ。

 楽しみー!

 わくわくしながら、セイラさんとメイドさんを待ってる。


「おまたせー」

 来たのはセイラさんだけ。


 あれ?

 メイドさんは?


 手際よく、ミルクティーがティーカップに注がれる。

「あったかいうちに、どうぞ」

 わたしの前に置かれたティーカップから、漂う、甘い香り。


「いただきます」

 さっそくカップに手を伸ばし、一口味わう。


「おいしい!」

 初めてミルクティーを飲んだけど、甘くておいしいんだね。


「良かった。僕のオリジナルブレンドなんだよ」

 わたしの向かいに座って、セイラさんが説明してくれた。


「僕が焼いたクッキーもあるよ。よかったらどうぞ」

「ねぇ、セイラさん。このお城に、メイドさんとか、しつじさんはいないの?」


「いないよ」


 悲しそうな笑顔で、セイラさんが話し出す。


「この星の国には、僕しかいないんだ」


「どうして?」

「神様に怒られた、堕天使だからかな」

「おこられたの? 許してもらえないの?」

「許されないことをしたんだよ。神様は罪を犯した僕を、この星の国に送ったんだ」


「何をしたの? かみさまだって、ちゃんとお話しすれば許してくれるよ。きっと」

「そうだと良いね」


「さみしくない?」

「寂しくないって言えば、嘘になるかな」

「セイラさん……」


 星の国はすごく楽しい国。

 だけど、ちがう。

 セイラさんの『つみ』を、かみさまはゆるさなかったんだ。

 なにをしたのか、わたしには、わからない。

 だけど。

 ひとりぼっちで、この星の国でくらすことが、『つみほろぼし』になるのかな?


「でも、今日、ありすちゃんに会えた。『誰かと一緒にクリスマスイブを過ごしたい』って思っていたらね、星たちが、君の姿を映し出したんだ。お絵描きしてたでしょ」

「あのとき聞こえた声は、セイラさんだったんだ!」

「星たちが、僕の声を届けてくれたんだよ!」


「わたしもね、いつもじゃないけど、ひとりぼっちなんだ。パパとママ、おいしゃさんでね、クリスマスイブはいつも、おしごとなの」


 だからね。


「クリスマスイブは、いつもひとりぼっち。ケーキもピザも、チキンだって、ひとりで食べてるんだよ」


 でも。


「でも、ことしは、セイラさんといっしょに過ごせた!」

「僕も、ありすちゃんと過ごせて嬉しいよ!」


「ミルクティーが、冷めちゃったね。新しいのを持って来るね」

 そう言って、ポットを手に、テラスを出るセイラさん。


「クッキー食べて、待ってて」


 その時、空からきれいな星がふってきた。

「セイラさんに、会わせてくれてありがと。お星様」

 すっごく楽しい、クリスマスイブだよ!

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