超底辺作家の承認欲求の話
〈 小説家になろう 〉 というサイトを利用し始めてから、 もう一年近く経過していた。
稚拙な文章をちまちまと投稿する日々。
初期に比べれば、多少なりともマシな文章を書けるようにになっただろうか。
そんな自問をしながら、 今日も作品を投稿する。
投稿するのは異世界転移ファンタジー。
遅ればせながら、 流行りに乗って考え始めた連載作品だ。
載せたばかりだから、 まだPVも多くはない。
それでも、 自分で楽しんで書いてるつもりだった。
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投稿から二日ほど経った。
ふと気になって、 いつものようにサイトに入り、 ポイント・レビュー・PVを見に行った。
( ポイントやレビューは無いにしても、 PVはそれなりに付いただろ。 )
そんな軽い気持ちだった。
いざ、 見てみると
PVは一桁だった。
言葉を失い
世界から色が消え
携帯を落としそうになった。
曲がり形にも異世界転移モノだぞ?
そのジャンルが激戦区なのも知っていた。
なんなら、自分の文章が決して上手くないことも自覚していた。
それでも、 いやそれゆえに、 対策も取っていた。
投稿時間はいつも同じ
後書きでの次話投稿時間の報告
Twitterでの宣伝
三~五話区切りでの盛り上げ
主人公の活躍
リア友への宣伝もした。
( …それでこのザマか。 )
がっかりなんてものじゃない、確かな絶望感があった。
初めての経験ではなかった。
しかし、山張って読者受けを狙って練りに練った作品だ。
かけた時間の分、反動も大きい。
いや、 わかってたはずだ。
薄々でも勘づいてたはずだった。
多くないPVが さらに減少傾向にあったことを。
それでも、 気づかないふりをしていた。
認めたくなかったのだ。
こんなに実らないなんて。
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思い返せば、 小説を書き始めたのも、 誰かに認められたいと思ったことからだった。
学校での国語の成績は良い方だし、 本もそれなりに読んでいた。
今思えばその程度だった。
処女作ははっきり言って下手だった。
それでも書いたという実感があって、 僅かなPVでも嬉しかった。
純粋に書くことを楽しんでいた気がする。
それが今となっては、 認められたい・ポイントが欲しい・読んでくれ、 そんな欲望が全開だ。
「なろう作家はポイントを食って文を吐き出す」
この言葉の意味を心の底から理解できた。
評価が無いと辛くなる。
「自分が楽しんで」なんて、 ただの綺麗事で、 実際は認められたかった。
でも認められなかった。
一流ばかりの舞踏会では、ド三流のドレスに身を包む田舎娘はシンデレラになれないのだ。
自身に需要がない。
そんなことを思い知らされた。
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それから四日経った。
明日は定期更新の日だが、 無論投稿出来るほど書けていない。
書きたくないと思った。
認められたいと願った。
そして、 自分の手で終わらせたいと思った。
自分はこの感情の名前を知らない。
いや、知らないふりをしたい。
成功した他人を認められない今の自分は醜い。
今の自分は良作を生み出すことも、良作を認めることも出来ない。
ただ、嘘つきにはなりたくなかった。
書きかけの話、 とりあえず場面だけはキリのいいところまで書いた。
そして、話の最後に 「打ち切り」の文字を加えた。
自分はもうモチベーションを保てない、そんな気持ちを込めて。
どーも
イルミネと言います。
知ってる人はこんにちは
初見の方ははじめまして
これは単に自分の葛藤を吐き出したかっただけの話です(笑)
小説家にとってはバッドエンド
しかし主人公にとってはハッピーエンドなのでしょうね
あ、これは完全にフィクションです。
自分はこれからも書ける限り書いていきますので、明日更新の連載小説:雪が降るまで異界でともに。 もよろしくお願いします。