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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第一章 魔法世界の救世主編
9/70

知識と理解の魔法

ロイが開けた穴からの水は落ち着き、ゆっくりと溜まり始めた。

「よーし、次は周りを固めるぞ」

スコップと共に持って来た、大量の石を井戸の中の側面に埋め込んでいく。

「ティカ、覚えたか?」

「……覚え…た…」

「なら、ロイと手順は一緒だ。俺の動きを参考に、井戸の中が石でしっかり固められている様子をイメージして、魔法を使うんだ」

「分か…った」

ティカが生み出した魔法陣が、置かれていた石に力を与え、自律的に井戸の中へ埋まっていく。

井戸の地盤が固められたのを確認すると、ルースとパトラに呼びかける。

「最後だ。ルース、パトラ。俺が積み重ねるように、余った石を井戸の周りを囲むように積んでいってくれ」

俺は、丸く開いた穴の周りを石で囲んだ。

「こんな感じだ。頼むぞ」

「……了解」

「……オッケー」

二人が手を伸ばし、石がすごいスピードで積み重なっていく。

「よし、それくらいだ」

異世界に来て二日目。簡易的ではあるが、井戸が完成した。

魔法を使っていた彼らは、やはり疲れの色を見せている。

紐にくくったペットボトルを投げ入れ、出来たての井戸水を皆に差し出す。

「疲れただろう。とりあえず、これを飲め」

皆、笑みを浮かべ、ゴクゴクと水を飲み干した。




井戸が完成した後、俺達は帰路についていた。その最中、ヴィーヌが尋ねてきた。

「ガクト、どうして使ったこともない…魔法が使えたの?」

「それはだな、お前達の魔法の特徴に起因している」

「特徴?」

訝しげな表情を浮かべている。

「例えば、お前らが元々使っていた魔法は雷とか炎とかだろ」

「うん、あと空から水を落としたり、地面を揺らしたり…とかもある」

「なら、やはり俺の予想は正しそうだな。お前らの魔法は、何かを理解していないと発動できない。逆に言えば、ちゃんと理解していたら、何でもできる。雷とか炎ってのは、昔から本能的に理解していてただろうし、実際に見て聞いて覚えていたから、魔法として使えた。ロイと話していた時も同じだ。意思疎通ってのは絶対に必要だから、本能的に理解していて使えた。そんな感じだな」

「私が新しい魔法を使えたのは、ガクトに教えてもらったから…ってこと?」

おお、理解が早い。流石だ。

「その通りだ。ロイとかも同じで、俺の見本を覚えることで、それを再現して魔法を使うことができたってことだ」

「なるほどー」

彼らの魔法は再現できることに意義がある。だから、知っていれば知っているほど色々と利用できる。

ただ、その魔法にも弱点がある。食事をしっかり取らねばできないって事と現実に無いものはできないという事だ。

例えば、盾を魔法で作る事とする。その時、鉄製や木製の物理的に存在する盾は作る事ができる。しかし、結界のように不可視で定義できないような盾を作ることは不可能だ。つまり、ゲームやアニメのような、何でもありの魔法というわけにはいかないのだ。

このことは、いずれヴィーヌ達に話さねばならない。

だが、今はしっかりとした友好関係を築く事が先決だ。

ヴィーヌ達と会話しながら、歩いているうちに自宅に到着していた。

「よし、昼からも働かなくちゃならないから、うまい飯作ってやろう」

そう言うと、皆昼ごはんに目を輝かせていた。


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