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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第一章 魔法世界の救世主編
8/70

魔法の正しい使い方

翌日、朝食を済ませると家の外に出て、色々と準備をしていた。

スコップと大量の石だ。

「何してるの? ガクト」

ヴィーヌが俺に尋ねてくる。

「あぁ、井戸を作ろうと思ってな」

「井戸?」

聞いたことない言葉に不思議そうな顔を浮かべる。

「井戸ってのは、簡単に言うと、地下から水を汲み出して、利用するところのことだな」

「へぇー、地面の下に…水が流れてるんだ」

「ああ。まあ、場所にもよるんだが」

ペットボトルの水を一杯渡し、ヴィーヌに尋ねる。

「それで、だ。この水と同じ様な物が地面の下にないか、魔法を使って探してくれないか?」

少し不思議そうな顔を浮かべる。

「魔法を使うのはいいけど、そんなこと

…やったことないよ」

不敵な笑みを浮かべて、答える。

「大丈夫だ。俺の予想なら、多分できるはずだ」

「分かった、ガクトが言うなら…やってみる」

ヴィーヌが力を込めると、いつもの魔法陣が手のひらに浮かび上がる。

「地面の下に水が無いか、イメージするんだ」

アドバイスを送り、ヴィーヌを励ます。

「あれ…これって、水? 地面の下に…水が流れてる?」

その言葉を最後に、ヴィーヌを包む光は消えた。

「どうだ? 何か、分かったか?」

「う、うん。ここから、ほんの少し北に行った方に、水っぽいものが…ある」

「よーし、その位置しっかり覚えとけよ。俺はロイたちを連れてくるから、ちょっと待っといてくれ」

「分かった」

部屋に入り、ロイを呼ぶ。

「ロイ、ちょっとこっちに来てくれ」

「どうした? …ガク…ト」

自分でも驚いたのだが、ロイを始めたとした4人が、もう既に日本語を覚え始めていた。

朝起きて、ロイに「おはよう!」と言われた時は、正直心臓が飛び出そうになったほどだ。

この世界の住人は、やはり天才が多いのだろうか。

「他の奴らも連れて、外に出て来てくれ」

「分か…った」




外でヴィーヌと待っていると、ティカとルースとパトラを連れたロイが現れた。

「よーし、来たな」

「ガク…ト、どこに…行くん…だ?」

ロイが尋ねてくる。

「少し、北に行く。そこで、水を確保するんだ」

「ガクトが言うには、地面の下に…水が流れてるんだって」

「地面の…下に…水が?」

「ああ、そうだ。それで、水の位置は分かっているな、ヴィーヌ?」

「うん」

「なら、とりあえずそこまで連れて行ってくれ」

「分かった、ガクト」

そう言って、スコップを持ったアラサーと5人の少年少女は歩み始めた。




「ここら辺、だよ」

連れてこられたのは、北へ500メートルほど、集落の端にあたるところだ。

「よーし、俺が掘るから、それに倣ってお前らは魔法の準備をしとけ」

「…えっ? 僕達も…掘るんじゃ…ないの?」

ロイが疑問を投げかける。

それに伴って、ティカもパトラもルースも首を縦に振る。

「………俺も…同感………」

低音でルースが声を発した。

「いや、大丈夫だ。どうせ、お前らには穴を掘ってもらう予定だから。とりあえず、お前らは魔法の準備をしとけ」

皆、不思議そうな顔は変わらないが、俺の指示に従い、準備を始める。

「そろそろ、いいかな。お前ら準備は出来たか?」

数分、時間が経ち、そう尋ねた。

皆、首を縦に振る。

「よーし、まずロイ。俺のやることをちょっと見とけ」

「…うん」

その言葉を聞き、俺は地面を少し掘る。

「見たか?」

「…見たけど…それで…何したら」

「じゃあ、掘るっていうイメージを、もっと深くまで掘り進めるっていうイメージに変えて、魔法を放ってみろ」

「どういう…こと?」

「地中深くまで、穴が開けられるっていうことだ」

「よく…わからない」

「まあ、いいから、やってみろ」

怪訝な表情を浮かべながら、ロイは魔法を唱える。

「イメージしろ、魔法を使うと、目の前に大きな穴が開いていることを」

「うん」

手のひらの魔法陣と共に、大きな光を放ち、景色が白む。

「プシューーーーー」

光が消えると、深く掘られた穴から水が勢いよく飛び出していた。

眼前の光景に、皆、口を開いている。

一人だけ、不敵な笑みを浮かべながら一言。

「大成功だ。よくやった」

その言葉が聞き取れないほど、水は天高く吹き上がっていた。



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