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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第一章 魔法世界の救世主編
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激動の一日の終わり

この世界の住人が使える『魔法』の秘密が分かり、これからの生活に活かせないかと俺は自宅で計画を立てていた。

もちろん、ヴィーヌ達5人も一緒だ。

「ヴィーヌ、そう言えば、お前ら一体何を食って、生活してきたんだ?」

ソファに座り、くつろいでいたヴィーヌに尋ねる。

「そこら辺にいる、…生き物」

「生き物なんかいたか?」

ヴィーヌは少し考えて答える。

「ガクトが、私を助けてくれた時、襲ってきたのが…いたでしょ。それ…だよ」

「えっ、あんな奴食ってるのか?」

「うん、とっても…おいしい」

少なくとも俺は、全く食欲を掻き立てない、産物だったのだが、こいつらにとっては生命線なのだろう。

「どうやって、取ってたんだ?」

ちょっと、笑みを浮かべて、ヴィーヌが答える。

「『魔法』を使って、雷を落としたり…燃やし尽くしたりして、…捕まえた」

なんで少し嬉しそうなんだ?

もしかしてこいつは、隠れSなのだろうか。

「でも、これからは…注意する。ガクトに…言われたから」

「ああ、頼むぞ。あと、あの生物のことは、これから『魔物』と呼ぶことにする。俺が知っている限り、あんな生物は存在しないからな。ちゃんと区別しないと」

「『魔物』。うん、…覚えた」

少し、ヴィーヌが笑みを浮かべた。こいつは知るということが好きなのだろうか。

「よーし、そろそろ飯にするか」

「「「「……っ!」」」」

その言葉を発した瞬間、今まで何も反応しなかった4人が、ビクンと動いた。

『飯』という言葉の意味を覚えたのだろうか。随分、都合のいいことだけを覚えるものだ。




この世界にも、夜が訪れた。

俺がこれからのことを考え、食材の量を調整しながら作った料理を、なんの背徳感もなしに平らげると、何事もなかったように、ベッドに倒れこんだ。

5人で仲良く川の字になり、俺のベッドを占領している。

本当に仲良しなのだろう。

俺は5人が使った食器を、最低限の水量で洗い流した後、全員が眠りに就いたのを確認して、一人机で考え事を始めた。

「これから、この世界で生きていくには、まず彼らの協力が必要になる」

眼前で寝静まっている、5人組に目をやる。

(まず、第一に食料と水だ。特に水は絶対に必要になる。計算してみたが、どんなに節約しても、持つのは1週間〜2週間が限界だろう。それ以降を凌ぐためには、やはり魔法の力を頼る他ないだろう。そのためにも魔法の仕組みをもっと知らなければ)

グーっと背筋を伸ばし、今日という1日を振り返る。

「それにしても、まさかこんなことになるとは、全く想像もつかなかった。神に願って、神が本当に叶えることなんてあるんだなぁ。しかも、すぐに。でも、少なくとも、彼らは俺を必要としている。俺の知識を。俺という存在を。だから、彼らの期待に応えなければ。教師なんだから」

小さな独り言を長々と述べると、立ち上って、リビングに布団を敷く。

敷いた布団に寝転がり、目を閉じる。

「まあ、やるだけやってみるか」

そう小さく呟くと、激動の1日が終わりを迎えた。

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