期待と嫉妬
小学校五年生になった時、私の環境はすっかり変わってしまった。
「おっ、天才少女さん。よくぞお通りです」
「天才さんは何されても怒らないよね」
クラスメートとの均衡は崩壊し、虐められるようになり始めた。
難関中学への試験勉強が始まるこの頃には、他者を蹴落とすために虐めが横行する。華々しい私立小学校の裏では、無惨な虐めが横行する。このことは、誰も知らないし、誰も伝えようともしない、裏の顔だ。
「ほーら、そこに問題を書いといてあげたから、どうぞ解いて」
私の机の上には問題と言う名の誹りと悪口が書かれていた。
「とっても難しい難問だね。でもこれを解けないと中学校には行けないよ」
私は何も言い返せない。
恐怖と不安を抱え込んで、何をどう返したらいいのか分からない。
「あっ、もうそろそろ先生が来るね。早く、席に座らないと」
そう言って、私に群がって来るクラスメートは自分の席に着く。
私も仕方なく、自分の席に座る。
「よーし、出席を取るぞ」
担任は教壇でクラスメートの名を叫ぶ。
「次、烏野マリ」
「はっ、はい」
私は浮かない表情でそう返事してしまった。
その事を私は後悔した。
「どうした? って、お前の机なんだそれは!」
教師は私の机に描かれた惨状に気づいてしまった。
「いや、これは……その」
「誰がやった? こんな酷い事!」
教師はクラスメートに大声で叱責した。しかし、誰もかも黙り込むだけで何も答えようとしない。
「答えろ!」
教師はクラスメートを罵る。
誰も答えない。
このまま、一時間目の授業は無くなってしまった。
この事はクラスメートの嫉妬心に油を注いでしまった。虐めはさらに激化し、教師はそれを咎め、さらに虐めは酷くなった。
悪循環に陥り、家に帰れば、家族や親戚に期待される日々。
相談することもできず、日々苦しんだ。
悩んだ。
期待と嫉妬は言葉違ってもほぼ同じだ。
応対する仕方が異なるだけで本質部分は全く変わらない。
私は何をしたらいいのだろう?




