魔法講義
正直、全く分からない。
ヴィーヌ先生が何を教えて、クラスメートが何を理解しようとしているのか、全く以って分からない。
「次は、ブロックの配置です。大切なのはどのように組み立てるかの具体的なイメージと、組み立てる順序です。強くイメージできるほど、想像通りに組み上げることができる上、構造をしっかりと考えることで、崩れにくい耐久力のあるブロックになります」
「はい」
私には何を言っているのか分からない。
外に出できたと思えば、すのこのような木の板の上に、虚空から固そうなブロックを生み出し、組み立てている。
ガクト君が言っていた魔法の授業のようだが、別世界の住人である私には全く以って縁のないことだ。
私はみんなの様子をただただ傍らから見守り、レポートしなければいけないらしい。
正直、何をどうまとめればいいのか、見当もつかない。
そもそも、私の辞書に『魔法』というカテゴリーは存在してないし、存在しないものを理解しろと言われても、甚だおかしい話だ。
「マリさん、見てて」
ルーナとかいう少女が必死にアピールしてくる。
何を私に求めているのだろうか?
「ボンっ!」
板の上には見事にブロックが四角形に組み上げられた。
「えへへ……」
彼女は笑顔を浮かべる。
「あはは……」
私は愛想笑いを浮かべた。
全く何がしたいのだろうか。
本当に訳がわからない。
「マリさん、どう。できた?」
教室に戻ると早々にルーナが尋ねてきた。
「まあ、適当にまとめたよ」
「そう、協力できてよかった」
彼女は笑顔を浮かべる。
私のために魔法を見せてくれていたのか。全く分からなかった。
レポートの内容は本当に小学一年生レベルのどうでもいいものとなった。
だって、仕方がないじゃないか。これをどうまとめろというのか疑問で仕方がないのだから。
「ねえ、マリさん」
彼女は目を輝かせ聞いてきた。
「マリさんの世界ってどんなだったの?」
彼女は聞いてきた。
私が絶対に答えたくない質問を。
「ねえ」
「関係ないでしょ」
「えっ」
「あなたには関係ないでしょ」
「いや、それはそうだけど……」
彼女は私の口調に慄いていた。
「私のことはもういいから」
「うっ、うん」
これで、少しはマシになるだろう。
彼女との関わりも、もうここで終わりだ。
きっと、これで、私の自由が……。




