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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第三章 第二の来訪者編
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マリの実力

「それでは、早速ですが、授業を行います。皆さん、ノートはありますか?」

他のクラスを見に行き、帰って来ると自己紹介は終わっていた。

始業式後から授業なんて、よっぽどの変わり者でもない限り、嫌がるに違いないだろう。

「先生、ノートが無くなったら、どうすればいいんですか?」

一人の生徒(まあまあな大人)が質問した。

「オブリビア学園が支給します。紙もインクもまだまだ発展が少ない為、仮にどこかの店で売っていたとしても、かなりの高額になると予想されます。だから、足りなくなればいつでも声をかけてください」

「分かりました」

丁寧な対応と綺麗な微笑に生徒はニヤケ顔を見せる。

これが日本の夜の街の出来事なら、確実に職質ものだろう。

「では、授業を始めます。今日は数学の授業です」

ヴィーヌは設置された黒板に白いチョークで文字を書き出す。

チョークもこちらの世界でようやく作られだした、最新技術に近いものだ。

「今日は三角関数についてです」




ヴィーヌの授業は滞りなく進んだ。

計算された分かりやすい授業は、俺も眼を見張るものであった。

「sin、cos、tanというものがあって…」

「先生っ!」

突然、マリが声をあげた。

「はっ、はい。何ですか?」

ヴィーヌは動揺を見せながらも問いかける。

「早く、問題を出してください。面白くないんで」

辛辣に、堂々と、ヴィーヌはそう言った。

「えっ、でもまだ理解に追いついてない人も……」

「詰め込み教育? ってやつよ。やるだけやろうよ。先生」

駄々をこねる子供のようにマリはそう訴えた。

「皆さんはそれでもいいですか?」

ヴィーヌが他の生徒に問いかけると渋々頷く。

「では、三角形ABCにおける角Aのsinを答えて…」

「二分の一です」

単調な口調でマリはそう答えた。

「せっ、正解です」

「凄い」

マリの実力の高さに皆、驚きの表情を見せる。

「では、次の問題を…」

ヴィーヌの問いかけに他の生徒の回答を許さず、利己的にマリは答え続けた。

俺はその光景を見て、不思議で仕方がなかった。

高校に入れないなら、かなりおつむが弱いのかと思っていたのだが、高校レベルの問題を入学してまもない少女が答えるなんて、全くもって想定外だった。

「ったく、何であいつ高校に行けなかったんだ?」

俺の疑問は深まるばかりだった。




授業は途中からマリの独壇場になり、ヴィーヌも困った表情を続けていた。

と言っても、マリは間違えている訳ではないし、そこまで悪いことをしてるとも言えない為、言及できなかった。

「先生っ!」

「はっ、はい」

「何も面白くないので、帰っていいですか?」

マリはまた無茶苦茶なことを言った。

進学早々、こんなことをやらかすとは意外とヤンキーだったのか?

「いや、まだ授業は終わっていないし」

「すみません。私、こういう性格なので…」

マリはそう言って、教室を飛び出した。

俺の目線を感じる暇もなく、マリはテクテクと学園を出て行ってしまった。

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