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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第三章 第二の来訪者編
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提案

「学校?」

マリは訝しげな表情を浮かべた。

「そうだ。お前が行けなかった学校に行ってみないか?」

俺はこの少女に教育を受けて欲しかった。

知ることの面白さを知り、青春というものを謳歌して欲しかった。

将来学校に行かなかったことを、後悔しないように。

「そんな施設、ここにあるの? まだ、できてあんまりたってないんでしょ」

「つい最近できた。今年の4月10日。その日がオブリビア学園の開校日だ。俺の権限でクラスの一つに入れておくから大丈夫だ」

「ふーん、別にいいけど…さあ。ガクト君は日本に帰りたいと思わないの?」

唐突な疑問に俺は心をえぐられた気がした。

「えっ?」

「普通の人間なら、元いたところに帰りたいはずでしょ。ガクト君は違うの?」

確かにそうだ。

今まで考えようとしなかったが、なぜ俺は帰る手段を考えようとしなかったのだろう?

そう疑問にした時、意外と簡単に答えが出た。

「そうだな。確かに当たってる。でも、俺はこの世界から離れたいと思わない」

「どうして?」

「今の生徒達には輝きが足りない。何かを為し得ようとする気概がない。でも、ここの住人達は違う。生きる為に、学ぶ為に、皆必死にもがき、足掻いている。その姿は本当に輝かしい。俺が求めていた姿がここにはあった」

「生徒って、ガクト君先生でもしてたの?」

「してたじゃない。今も教師だ。ここの住人達を贔屓するのは、今までの生徒達に悪いが、俺はそれでもここの人達を尊敬している」

「ふーん」

彼女は納得したように頷いた。

「それよか、話を戻そう。で、どうだ? 学校に行ってみないか?」

「まあ、どっちでもいいけど、ガクト君がそう言うなら、行こうかな」

彼女の言葉に俺はホッとした。




「ガクト君に促されて、つい二つ返事で了解しちゃったけど、あんまそそられないなー。せっかく、逃げてきたのに、また囚われちゃうのかな? でも、まあ。クラスメイトは私をすぐに疎ましく思うよね。そうしたら、また自由になれるかも…。誰もいない、一人きりの自由に…」

そんなことを彼女が考えていたことなんて、これっぽっちも知らなかった。

そのことを知るのにまだまだ時間は必要だった。




……4月10日。

「うっ、うーん」

俺はソファに差す朝日に起こされた。

ぐぐーっと伸びをして、起き上がる。

ソファに寝ていたおかげか、首が少し痛むが、そんなことはどうでもいい。

今大事なのは、遅刻をせず、真っ当な開校宣言をしなければいけないことだ。

ベッドでは何も気にしていない様子で、悠々と眠るマリの姿があった。

その傍らにはパトラがデザインした朱色のブレザーと真っ白なシャツ、ヒラヒラと揺れるスカート、胸元を彩るリボン。イコール、オブリビア学園オリジナルの制服がある。

俺はその制服を見て、思わず笑ってしまった。

予想もつかない未来に。

生徒達の輝きに。

さあ、歴史的な1日の始まりだ。

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