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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第三章 第二の来訪者編
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お泊まり

マリと共に俺達はオブリビアを巡った。この国が、どのような成り立ちで出来たのか、魔法というものの存在、住人達の存在。

説明し得ることをできる限り説明した。

「分かったか? 魔法っていうのは…」

「はいはい。ガクト君、その話はもう覚えたから…」

「ああ、そうか」

マリの呆れた顔を見て、話を終えた。

「それにしても凄いね」

「…何が?」

「この街をたった数ヶ月で作ってしまうなんて」

マリは風景を確かめながら、そう答えた。

「ああ、それが魔法の力だ」

俺も納得したようにそう返した。

「地球では考えられない、空想上の産物。ここに来れてよかったかも」

マリの顔はホッとした様子だった。

俺はその表情が不思議で仕方がなかった。

例え、良い人と街に出会ったとしても、自分の知らないところに突然放り出されて、狼狽えないのは俺ほどの変わり者でもない限りおかしい。

俺は彼女のその表情に何かの危うさを感じた。

「で、ガクト君。私はどこに泊まったらいい?」

唐突にマリが尋ねてきた。

「そうだな、お前今日初めて来たんだっけな。この街にホテルらしきものはないし、例えあったとしても、金持ってないだろうし…」

俺が考え込むとマリが答えを出した。

「なら、ガクト君のうちに泊めてよ」

「へっ?」

思わず声が上ずってしまった。

「何日間でいいから…」

「いや、コンプライアンス的に何かやばそうな…」

「いいよね、ガクト君?」

彼女の強引さに従う他なかった。




「…どうぞ」

「お邪魔しまーす」

自宅にマリを招くと、躊躇なくうちに飛び込んだ。

「おおーっ、凄いね!」

俺の自宅の本の山を見て驚嘆の声をあげた。

俺の本は一部、オブリビア図書館という施設に寄贈し、保管してあるのだが、活版印刷の技術を取り入れ、書物の増刷ができるようになったため、未だ俺の自宅を離れられない書物が山積みであった。

「ほぉー、物理学。難しそう」

ペラペラと本を流し読みし、マリは答える。

「そういえば、マリは日本にいた頃何してたんだ?」

マリは本を閉じ、返答する。

「歳は15だから、高校に…」

「ああ、新入生だったか」

俺が食い気味に答えると彼女は首を振った。

「行けなかった。高校に行けなかったの」

何も答えられなかった。

とてつもない地雷を踏んだ気がして。

「まあ、別にいいけどね」

彼女は笑っていた。

無邪気に。

なんてことないように。

「まあ、悲しい話題は置いといて、ガクト君。何か料理作って。少しお腹が空いたから」

彼女の声に頷き、食材を取り出した。

「何がいい?」

トーンを抑えた声で問いかける。

「何でも。少し食べられればいいから」

「…そうか」

俺は今朝獲ったファイアバードの肉を捌き、火にかけ焼き出す。

……数分後。

「ほら、出来たぞ」

言葉通り直火で焼いた肉をマリに差し出した。

「いただきます」

椅子に座って、律儀に合掌した後、マリは肉を一口齧った。

「…うん」

彼女の表情が少し緩んだ。

「美味いか?」

「うん、これなら食べれそう」

マリはさらに一口、もう一口と、肉を美味しそうに食べ続けた。




食事が一頻り終わり、ひと段落すると、俺はマリに提案した。

「あのマリ、少しいいか?」

「うん」

ソファに座るマリは疲れているようだった。

できるだけ手短にしよう。

「マリ、学校に行ってみないか?」


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