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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第三章 第二の来訪者編
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邂逅

「はぁー、気持ちいいっ!」

「そんなこと言ってないで、早く獲物を探して…」

ティカにそう釘を刺されながら、俺は飛行を楽しんでいた。

ティカの生み出した新たな魔法の形は、今や移動手段の一つとして確立されていた。人間の生涯の夢とまで言われ、機械の翼でやっと手にした飛行技術を嘲笑うように、悠々と自由に空を飛んでいた。

「おっ、いたいた」

「早く捕まえるわよ」

翼を一打ち、加速して眼前に見えるファイアバードの群れを襲う。

片手にナイフを持って行う狩りも知らない内に慣れていた。

「ガァァァ!」

断末魔の悲痛な声に少し申し訳なさを感じながらも、ナイフを的確に急所に振るう。

俺より数万倍くらい強いであろうティカは、両手にナイフを持ちドリルのように回転しながら、ファイアバードを一閃した。

何十といたファイアバードの群れは、ものの数分で壊滅状態となった。

「こんなもんでいいか?」

大量のファイアバードを腰のネットに携えているティカに尋ねる。

「ええ、十分よ」

「なら、もうちょっと空中散歩を楽しもうかなー」

翼を一打ちし、自転車を漕ぐくらいのスピードで天を駆ける。

「ちょっと、その力私があげたこと忘れないで…」

ティカの忠告を無視して、ゆっくりと空を舞う。

見える景色は、俺より低い雲とどこまでも続く荒野の地平線であった。

「本当に何もない。土地が有り余ってるから、色々と利用していかないと…うん?」

遠くの地面に何かがいた。

「ティカ、あれ見えるか?」

「えっ、ああ。何かいるわね」

「新種の魔物か?」

「いや、あの形はどこかで…」

俺達は確認の為、ゆっくりと降下していった。




降下するたび、はっきりと見えてくるそれは、魔物にしてはやけに小さく、か細いものだった。

というより、どこからどう見てもそれは人間のそれであって、白いワンピースのような服着た少女は仰向けの状態で荒野の真ん中に眠っていた。

「おい、人間だぞっ!」

「ガクト、早く行きましょう」

俺達は降下速度を上げて、地面に着地した。

翼を消し、寝ている少女の元へと向かうと、あまり健康的とは言えない痩せた体がそこにはあった。

少女は身長150センチぐらいで、小柄な高校生ぐらいだと思われた。

容姿はかなり美形で、不思議な魅力を感じていた。

「大丈夫か?」

少女を揺らすと、脈が感じ取れ、生物としての暖かさがあった。

少女は生死を彷徨うような状態ではなかった。

「うっ、う〜ん」

少女は目を覚ました。

なんとも珍しい赤眼の持ち主だった。

「おっ、起きたか。こんなところで寝るとは、やけにファンキーな奴だな」

「誰?」

少女は声を発した。小鳥の(さえず)りのような可愛らしい声で、結構辛辣なことを言ってくる。

「オブリビアにいて、俺のことを知らない奴がいるとは、俺もまだまだだ」

「おじさん、ここどこ?」

「おじさんって、まだ俺三十代なんだけど…ここはオブリビア近郊の荒野だよ」

「オブリビア? それって何?」

「何って、国の名前だけど…。知らない?」

「知らない。私の頭の中にはそんな情報はないよ」

俺は不審に思った。

オブリビアの住人であれば、子供だろうと知っていることだからだ。

「ティカ、この子を知っているか?」

「いや、私は知らない」

「何この子供は?」

少女より低いティカを見下すように、言い放った。

「あんた、言ってはいけないことを…」

「まあまあ」

俺はティカをなだめる。

そして、考えていた。どこから来たのかと。未だ知らないこの世界のどこかにある国から迷い込んだのか。

それとも…。

「名前は?」

意を決して問いかけた。

「烏野マリ」

それがマリとの出会いだった。

この邂逅が数奇な運命へと繋がることなど、今は誰も想像できなかった。

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