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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第二章 オブリビア建国編
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ヴィーヌの本懐 答え

「さあ、応募者諸君。集まってくれてありがとう」

俺は教壇の上で話し出していた。

場所は完成した学校の体育館。

俺の眼前には教師希望者が何百人と並んでいた。

「今日は、待ちに待った採用試験の日だ。応募者は207名。その内、採用者は10名程だ。倍率20倍の厳しい条件だが、君達の努力と実力を楽しみにしている」

俺は受験者一人一人の顔を確認しながら、喋るように心掛けた。

「時は満ちた。候補者諸君、頑張ってくれ!」

俺の言葉に呼応して、監督者達が誘導を始めた。

誘導される中には一人、美しい金髪が揺れていた者がいた。




出来たての教室に、大人達が分かれて入っていく。

その姿は、大学受験を控える高校生に相違なかった。

クラスは三つに分けられ、それぞれの監督者が俺の考案した問題を配っていく。

俺は廊下を行き来しながら、受験者の様子を窺う。

紙は元の世界の製紙技術を取り入れ、効率よく生産したものを利用し、ペンは未だ未発達のため、俺の持っていたシャーペンを魔法で再現したものとなっている。

「はてさて、俺の問題は解けるかな?」

教科は、国語、数学、理科、現代社会、保健体育、そして、基本魔法知識の6種だ。

英語や歴史といった主要な科目は、この国では今のところあっても全く意味がないので省いている。

しかし、保健体育や魔法知識といったものはこの世界の実生活で必ず必要となると思い、変則的に取り入れてある。

全教科一時間の計六時間で筆記試験が行われる。

時計の針は開始の時間を示していた。

「開始っ!」

俺は監督者に指示を出し、試験をスタートさせた。

各教室の受験者達が一斉にページをめくる。

「ファサッ!」という紙の擦れる音が、教室にこだました。

一心不乱に問題に向かい、懸命にペンを動かす姿は、美しく思えた。

そんな姿を見ていると、6時間という時間はあっという間に感じた。




俺は筆記試験の答案用紙を全て受け取り、一人校舎の一室で厳正にチェックしていた。

「うーん、みんなよく出来てるけど、まだまだのところも多いな」

テストの結果を元に、上位50名が二次審査の面接を受けることになっている。

「おっ、これはヴィーヌの答案か」

俺は不正がないよう、しっかりと答えと照らし合わせながら、丸をつけていく。

「ふっ、やってくれるな…」

俺は一人、微笑を浮かべた。




「次の組、どうぞ!」

扉を開けると、五人がゆっくりと礼をして中に入ってくる。

その中にはヴィーヌの姿もあった。

「お座りください」

五人はゆっくりと座席に座る。

「まず、一言。一次試験合格おめでとう。それだけは言わせてくれ」

五人は無言で会釈をする。

「俺が聞きたいのは、なぜ受験したのか? ここで何をしたいのか? だ。君からどうぞ」

俺はヴィーヌに尋ねる。

「はい」

ヴィーヌは立ち上がり、答え始める。

「私は迷っていました。自分が何をしたいのかを。でも、ある人の姿を見て、人に何かを伝えたいと感じました。伝えることは、どの職業を通してもできると思います。でも、私は教育というものを通して子供達に知ってもらいたいと思いました。自分が恩師に受けたように。それが私の受験した理由であり、私の求めていた答えだと思いました。そして、私は知るということの楽しさを伝えたいです。私自身が感じた面白さ、そして具体的に活かせる知識。そういった大切なものを、伝えていきたいです」

ヴィーヌは、嘘偽りのない目ではっきりと言い切った。

「ありがとう。とても良かった。では、次の方」

俺の言葉に彼女はホッとした様子を浮かべる。

緊張感を解いて、溜息をつくのは減点だが、その言葉は俺に響いた。

次の受験者が話し始めている。

しっかりと耳を傾けなければ……。


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