ヴィーヌの本懐 懊悩
「ヴィーヌのやりたいこと、ね」
「ああ、何か一つでも恩返ししたくてな」
俺はティカに一連のことをティカに話した。
「悪いけど、私も知らない」
「まあ、当の本人もやりたいことはないって、言っていたからな」
「でも、やりたいことがないって、人にあるのかしら?」
ティカは不思議そうにそう問いかけた。
「あるよ。俺のいた世界では誰でもあり得ることだ。ただ、ヴィーヌはそういう悩みじゃない気がするんだ」
「と言うと?」
「何かやりたいことがある。でも、そのことについて迷い続けているというか。すまん、上手く言えない」
俺がもどかしくそう言うと、ティカは微笑を浮かべた。
「ガクトがそこまで分かってるなら、いつかきっと解決する。だから、ヴィーヌに向き合い続けてあげて…」
幼く見える少女なのに、その言葉は重く暖かく、俺の心に響いた。
「まあ、料理でも食べて、考えてみたら?」
ティカは残りの料理を差し出した。
「そうさせてもらおうかな……」
俺は料理を一口食べた。
「美味い」
「そうよかった」
俺は自然に笑みを浮かべることができた。
「ガァァァァァァァァ!」
「うわっ!」
「私が…」
ヴィーヌは魔法を放ち、犬のような魔物を焼いた。
「ヴィーヌ、やりすぎだ!」
一緒にいたルースに叱られる。
そう、俺達は今、荒野に出ていた。
ヴィーヌの魔物を捕まえたいという要望に、ルースを連れて行くという条件のもと、成立させているのだ。
「ごめんなさい」
「いや、分かればいいんだが……」
魔物狩りに来たはいいもの、ヴィーヌは様子がおかしかった。
武器製作という技術ができた今、魔法の使用は無駄が多いため、極力減らしたかったのだが、ヴィーヌは何度もピンチに巻き込まれ、その度に魔法を使っていた。
「ヴィーヌ、疲れるんだったらそろそろ帰るか?」
俺は息を切らせるヴィーヌに問いかける。
「ううん、もう少しだけ……」
そして、ヴィーヌは再び動き出した。
慣れない剣を何度も何度も振り回す姿は、何かを振り払うように、もがくようにしか、俺には見えなかった。
「ヴィーヌ、後ろ!」
ルースが注意を促す。
「あっ!」
「危ないっ!」
襲われそうになったヴィーヌを、俺が魔物にナイフを突き刺すことで庇った。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう、ガクト…」
彼女の顔は青く、疲弊していた。
「ルース、すまない。俺達は帰るよ」
「ああ、その方がいい」
「えっ、私はまだ…」
「帰ろう」
「……うん」
俺はヴィーヌの肩を抱き、オブリビアへ歩き出した。
俺達は門をくぐり、オブリビアの中へと入った。
「ガクト、ごめんね。私のせいで……」
「いや、いいよ。気にすんな」
俺は、深呼吸をして、ヴィーヌに提案をする。
「ヴィーヌ、久しぶりの俺の部屋に来ないか?」
「えっ?」




