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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第二章 オブリビア建国編
39/70

パトラのお遊戯 決着

「コーナーを曲がり、三周目に入りました! オッズ一番人気のリードウラヌスは現在三番手。現在トップは、オッズ二番人気グランドスカーレット、二番手はオッズ三番人気クイーンリバティーです」

「基本的には人気通りの三馬がトップ集団にいますね。しかし、グランドスカーレットが後続を離し逃げているので、このまま逃げ切るかもしれません。でも、私は各馬の追い上げを期待しています」

「さあ、ガクトさんの期待もかかっています。この勝負どうなるのでしょうか?」

ルートが前を直走る中、俺は三周目に入りスピードを上げ始めた。

すでに俺の左手前には二番手のクイーンリバティーがいる。

「すまないが抜かせてもらうぞっ!」

「させないっ!」

前を走るムーロ騎手は天馬を操作し、加速する。

「おおっと、ムーロ騎手。これはうまい。ルース騎手が寄ったタイミングで加速! 相手を精神的にも追い詰める、見事な走りだあ!」

「どうだ! ルース。お前には抜かせない!」

「ガクトに借りた恩をここで返す!」

俺は右手に携えた鞭を軽く当てる。

呼応するように加速したウラヌスの手綱を強く引いた。

ウラヌスは砂を強く踏み込み、ジャンプ台でもないのに飛び上がった。

そして、前を走るクイーンリバティーを飛び越え、一気に抜き去った。

「飛んだあああ!!! ルース騎手飛びました!」

「ルール上問題はありません。しかし、地面から直接飛び立つのは勢いが少ないため、非常に危険で難しいです。それを実現するルース騎手の実力には眼を見張るものがあります」

「わぁーーーーー!!!」

観客は俺のプレイに凄まじい歓声をあげていた。

後ろからは、馬の駆ける音と共に、ムーロの驚嘆の声が響いていた。

俺は飛び上がった勢いを活かし、さらに加速した。




「来たかっ! ルース」

「ああ」

俺は逃げていたルートに残り500メートルの地点で追いついた。

前にはギミックの巨大な坂が見えている。

「さあ、二人で盛り上げようか」

「ああ、負けんぞルートっ!」

「こちらもだ」

二人の騎手に呼応し、天馬はさらに加速する。

「さあ、グランドスカーレット、リードウラヌス、後続をぐんぐん離していく! 1対1のガチンコ勝負だあ!」

俺とルートは鞭を打ち、ギミックの坂を駆け登る。

「はああああ!」

「はああああ!」

坂の頂上を数秒で通り過ぎると、天馬に指示を送り、大きく翼を広げる。

「残り、300メートル。先にゴールを切るのはどちらだ!」

俺が見る景色は空から地面へと変わり、このレースの中で最高速のスピードを体感していた。

空気を掻っ切る風切り音と俺とルートの息遣いが耳元にこだましていた。

「クイーンリバティー! リードウラヌス! どちらも一歩も引かない。抜きつ抜かれつ、デッドヒートです!」

「ルート!!!」

「ルース!!!」

二人の騎手はそれぞれの天馬と一心同体、比翼連理となり、ゴールラインに迫った。

「はああああ!」

俺は天馬を信じ、鞭を振るい、手綱を握った。

その想いに応えるように、ウラヌスは思わぬ伸びを見せる。

空気抵抗を物ともせず、ゴールライン直前、先頭に躍り出た。

「リードウラヌスっ! 一着!!!!!」

「わぁーーーーー!!!」

歓声は轟音となって、競技場を揺らした。

「圧巻の走りでした。ルース、おめでとう!」

解説のガクトが賞賛してくれている。どうも、照れくさいものだ。

「さあ、着順はリードウラヌス。グランドスカーレット。クイーンリバティーでした。人気順に並んでいるので、オッズは荒れませんでしたが、素晴らしい走りでした。以上で実況解説を終えます。ありがとうございました!」

「ありがとうございました!」




「パトラ! 思った通りに行ったか?」

「あら、ガクト。最高だったわよ」

俺は競技場の帰り道、パトラに話しかけた。

「みんな、楽しそうだったし、私の収益もそれなりに……」

「客前で言うなよ」

「ふふっ」

「まあ、俺も楽しめた。次の企画に期待してるぞ」

「ええ、任せておいて!」

競技場でその会話を終える頃には、赤を強くした太陽が、美しくコースを染めていた。

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