パトラのお遊戯 競天馬
「パトラ、次にプロデュースするのは何なんだ?」
「それはね…」
俺はカジノの上にあるパトラの部屋に呼び出されていた。
また何かの事業を起こそうとしているらしい。
「競馬を開こうと思うの」
「競馬っ! 面白いがその馬はどこにいるんだよ?」
最重要の馬は、現時点でオブリビアには存在していなかった。
「いるじゃない。この間、ガクトとパトラが連れてきた…」
「あのペガサスを使うのか?」
「そう、それ。それでできるんじゃない?」
この間、連れてきたペガサス。名付けて『トゥルーペガサス』は、未だ俺達に懐き、街の一角で飼っていた。
「なんか可哀想な気がするんだが……」
「走らせてあげない方が可哀想でしょ」
パトラの正論に言い返せない。
「それに、ペガサス?が来てから、いっぱい仲間のペガサスがこの街に来てるの」
「えっ、そんなの知らないが」
「そうなの。競馬をするために全部私が面倒を見てるわ」
「ペガサスは言うことを聞くのか?」
「ええ。ご飯をあげれば、その人に懐いて、しっかりと言うことを聞くわ」
「そうか。なら、安全第一でやってみてもいいんじゃないか?」
「本当? なら、早速競技場の準備するわね」
パトラのプロデュースでオブリビアに新しい施設が建設されようとしていた。
その顔は、初めて出会った時よりもずっと生き生きとしていた。
……二週間後。
「できたわ。できたわよ、ガクト」
「分かってるから」
俺はオブリビアを囲む外壁の外に建てられた、巨大な楕円状のドームにいた。
外観は、ヨーロッパ調の色で壁を塗られ、どこかイタリアのコロッセオを思わせる作りだ。
しかし、中に入れば、整備された客席とペガサスが駆けるであろうコースが作られていた。
「しかし、二週間でよく完成したな」
「ええ。魔法建築業者に頼んで、作らせたから。かなりの大金を支払ったけど」
この銀髪の少女は、いつの間にかブルジョアライフを送っていらっしゃった。
「で、レースはいつから?」
「まだ、出場選手と競技場の準備とかがあるから、暫くは無理ね。でも、1ヵ月以内には開催するつもりよ」
「へぇー」
俺は計画的に考えられたパトラのプランに感心した。
「それに、折角ペガサスを使って開催するから、本家の競馬と少し違いを見せようと思ってるの」
「ほぉー。面白いな。どんな風に変えるんだ?」
「コースに障害物とかを置いて、そこの部分だけは飛翔して走らせるつもりよ」
「ペガサスの翼を活かしたいい考えだな」
「でしょ」
「でも、安全面だけは気にしろよ」
「分かってるわ。安全第一でいきましょう」
パトラが作ったドーム状のスタジアムは、陽に照らされ輝いていた。
「第一回、オブリビア建国記念杯、開催します」
司会の声が響き、ファンファーレを模した魔法が鳴り響いた。
「わぁーーーーー!!!」
観客席に座った住人達が歓声をあげる。
競技場はめでたく満員御礼だ。
「天馬と騎手の入場です」
競技場の下に設けられた通路から、天馬を引き連れた騎手達が入場してきた。
「一番カラミティ。騎手はビリー騎手です」
「わぁーーーーー!!!」
「二番クイーンリバティー。騎手はムーロ騎手です」
「わぁーーーーー!!!」
「三番ディープライト。騎手はハート騎手です」
「わぁーーーーー!!!」
「そして四番リードウラヌス。騎手は英雄ルース騎手です」
「わぁーーーーー!!!!!!!!」
英雄ルースの出場に観客のボルテージは最高潮になった。
出場天馬と騎手は、計10人。
コースは、一周1キロを三周の計3キロである。
天馬は、手綱を引かれ所定の位置に入った。
ファンファーレが鳴り響き、天馬達がいるゲートが開いた。
レーススタートだ。




