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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第二章 オブリビア建国編
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ロイの経済システム

「ガクト、僕そんなことやるって聞いてないよ」

「俺が、ついさっき言ったことだからな」

民衆の前で堂々と宣言した後、ロイに呼び出されて、国の外れにあるロイの家に行くこととなった。

彼の家は、他の民家よりも趣深いというか、古めかしい雰囲気だった。

その家を眺めていると、気づいたロイが家に連れ込み、今に至るというわけだ。

「だって、ロイがまとめるのが一番うまそうだと思ったからだな…」

「なら、前から伝えておいてよ……。で、僕は何をしなくちゃいけないのさ?」

ロイは諦めたような表情を浮かべ、問いかける。

「そうだな、お前には経済システムの構築と法整備をしてもらいたい。それが終われば、お前がやりたがってた研究とやらを、好き勝手にやってくれたらいい」

「経済って、ガクトの国であったもののことだよね?」

「ああ。物や労働力に対するお金の動きのことだが、ざっくり言えば、労働力とそれに見合った報酬を交換していくことだな。それを繰り返すことで、国は発展する」

ロイは不思議そうに返答した。

「別にオブリビアには必要ないんじゃない? 皆、楽しくやってるよ」

「確かに、信頼感だけで色々できたら最高だ。だが、そう甘くはない。いつか、人々にも限界がきて、国として機能しなくなる。だから、仕事に見合った報酬を与え、喜ばし、国の経済を発展させることで、国力も強くなるはずなんだ。その為にも、お金という存在は必要不可欠なはずだ」

「そのお金というのは、金属を加工してできるんだったよね?」

「その通りだ」

「その金属はどこで手に入れる? 魔法を使えばできるかもしれないけど、現状それに手を貸すほど、住人の力は残ってないよ」

俺は笑みを浮かべて答える。

「一つ、それに見合いそうなものがあるんだが……」




……数日後。

俺は、従者と共に大量の鉄鉱石と金、銀の塊を持ってロイの前に現れた。

「何これ?」

ロイは少し顔を引きつらせながら、そう聞いてきた。

「これは、金属の原石だな」

「どこでこれを?」

「元住人だった者達が、暮らしていた街ってのが気になって、調べてみたんだ。そうしたら、そこが鉱山で大量にこの石があってな。それをここの貨幣として利用しようという魂胆だ」

「はあ」

「加工技術は、職人志望に伝えてある。あとは、誰がどれだけの働きをすれば、どれだけの報酬になるのか、それをロイが考えてくれたらいい。自分の国の住人のことをより知ってるロイだからこそ、それを決めることができるはずだ」

「う〜ん、大変そうだね。でも、ガクトに任された以上、やるだけやってみるよ」

「ああ、頼む」

そこからロイは毎日のように国中を歩き回り、住民達の仕事を観察していた。

俺が渡したノートに、観察記録を記していく。

その姿は、とても真剣で真摯なものであった。

……また数日後。

「できたよ」

「おっ、サンキュー」

俺は渡されたノートに書かれた、仕事内容とそれに合わせた資金提供の量を確認した。

農業や工業。小売業、さらには魔法を使った魔法業と呼べるものまで事細かに調べられ、それに見合った資金の量も見事に計算されていた。

俺は全てを確認して言った。

「完璧だ。助かったよ」

「お役に立てて何よりさ」




俺はロイの情報を元に、オブリビア銀行を設立して、国として完成した日から今日に至るまでの働きに見合った報酬の金を、住民達に渡して歩いた。

通貨の名前はリビア。

日本円と価値は変わらず、二千円札を除いた全ての貨幣を硬貨の色形を変えて作った。

そして、税制令を発令して、累進課税に基づいて、少しずつ国としての資金を蓄えている。

蓄えた資金を国のために使い、それのために労働力を提供し、お金が国中を駆け巡る。

そうやって、少しずつ少しずつ、オブリビア発展していくのだ……。

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