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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第一章 魔法世界の救世主編
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災厄の再来

俺達はやれるだけのことはやったつもりだ。

魔物の攻撃方法、集落の防衛方法、予期せぬ事態のための対処策、ありとあらゆる状況を考え、対策をした。

「今日も、お疲れさん。よく頑張ったな」

「はぁ…はぁ…」

「ふう…ふう…」

「ほぉ…ほぉ…」

「ぜぇ…ぜぇ…」

「ひー…ひー…」

皆、それぞれのやり方で息を切らしている。

もちろん、魔法を使い続けた結果だ。

俺が教えて作ったのは、戦艦の砲台やその玉、ナイフの金属を使った、剣や槍、体を守る鎧などだ。

それを魔法の力を使い、再現した。

「いやー、思わぬ収穫があったなー」

疲れていない自分は呑気にそんなことを言う。

よく考えてみれば、とてつもなく失礼なことだ。

「それを…知る…ために…魔法…使い…過ぎ…だよ…」

息を切らして、ヴィーヌが怒りの表情を浮かべる。

「結局、魔法で疲れる予定だったからいいだろ。後で、色々食わしてやるからさ」

「それで…何…が…分かった…んだ?」

ルースが疲れた表情をしながら、尋ねてくる。

「お前らの魔法のことだ」

「今まで…の…こと…以外…でか?」

「ああ。と言っても、凄く単純なことなんだが…」

「話を…引っ張る…な」

ルースが苛立ちを見せる。

「分かった、分かったから。あんまりカリカリするな。その…魔法なんだが、再現する事象や物体が複雑だったり、規模がデカかったりすると、その分、体力の消費が激しいってことだ」

「どういうこと…だ?」

「例えば、この剣」

魔法で作られた、銀の輝きを放つ剣を手に持つ。

「意外と重いな。それでだが、この剣は結局のところ、刃、(つか)(さや)の三つのパーツで出来ている。装飾とかを省いたとしたら、案外単純な武器だ。これを作っていた時のティカは、俺が様子を見ていたが、そこまで疲れたようには見えなかった」

「そう、なのか?」

ルースがティカに尋ねる。

「まあ、そうかもしれないわね。案外、簡単に出来たかもしれない」

ティカの言葉を聞き、話を続ける。

「逆に、この砲台はどうだ?」

重厚で重量のある、兵器に触れて答える。

「砲台は、そもそもパーツも、材料も多い。爆発的な勢いに耐える金属、運ぶための車輪、打ち出すための穴、玉を送り出すための火薬の仕組み。そんな複雑で大変なこの砲台を作った時のパトラは、一回で行動不能になる程へたれこんでいた」

「本当なのか?」

「ええ……そう……ね」

少し訂正がいるようだ。現在進行形でパトラは行動不能だ。

「確かに、正しそうだな。覚えておこう」

俺は真剣な表情を浮かべて答える。

「そのことが分かった今、無闇に魔法を使うことをやめろよ。前も言ったが、使う時は、俺が指示する。指示されて気分を害するかもしれないが、絶対に後悔させないと俺は誓う。だから、頼むぞ」

皆、表情は明るい。

「「「「「もちろん」」」」」

その言葉は、集落中に響き渡った。




俺は部屋に戻り、ソーラーチャージャーで充電した、タブレットを弄っていた。

もちろん、電波が立つわけがないが、ネットを要しない機能は、電力があれば使えた。

「必要な準備物は、これでよしっと…」

魔法で生成したものを、タブレットに打ち込み、確認していく。

「あいつら、よく眠ってるな」

俺が深夜、作業を行っている中、5人はバズーカでも打ち込まなければ、起きそうもない程、深く眠りについていた。

「まあ、あんだけやったんだから仕方がないか」

今日の出来事を思い返しながら、5人の寝顔を眺める。

皆、気持ち良さそうに寝ているが、パトラだけは何かいやらしさを感じる。

セクハラをしたら、懲戒免職の上、監獄行きだ。

あれ、今どこにもお偉いさんも警察がいないんじゃないか?

なら………。

ダメだ。ダメだ。

俺は何を考えているんだ。

「すうー、すうー、すうー」

俺が至極くだらないことで葛藤している中で、寝息を立てながら爆睡している。

「全く無防備過ぎて、困ってしまうな」

独り言をずっと呟きながら、タブレットに目を移す。

「夜ってことに、何か意味があると思うんだがなぁ…」

何も思いつかない上、電波が無くほとんど使い物にならないタブレットを、親指でコツコツと叩く。

「ドドドドドドドドッ! ズドーーーーーン! ゴロゴロゴロ!」

「おおっ!」

急な揺れと、凄まじい落雷が俺を驚かした。

「近いな。もう来るか」

俺は規模の大きさに、そんな予測を立てる。

「ううっ……、ガクト?」

ヴィーヌがさっきの音で目覚めたようだ。

「ヴィーヌ、明日、多分魔物が来る。しっかり寝とけよ」

起きたばかりのヴィーヌに、命令するようにそう答えた。




………翌日の夜8時頃。

「いよいよだ。皆、準備はいいか?」

金髪の少女は答える。

「もちろんよ」と。

青髪の少年は答える。

「準備万端だよ」と。

赤髪の幼女、いや少女は答える。

「ぶっ飛ばしてやるわ」と。

茶髪の男は答える。

「今度こそ、倒す」と。

銀髪の美女は答える。

「せいぜい、楽しむわ」と。

皆、己の信念の元、覚悟を決めていた。

その覚悟に誘われるように、それは、ゆっくりと、堂々と、威圧的に近づいてきた。

「全て、予定通り、予測通りだ。万全は尽くした。あとは俺達が戦い抜くだけだ。さあ、知力と体力と魔法を使い、あの魔物を狩るぞ!」

「「「「「おおっ!」」」」」

その掛け声に呼応するように。

「ウオゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

凄まじい唸り声が、開戦の証となった。

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