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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第一章 魔法世界の救世主編
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嵐の予兆と戦いの備え

「これが、私達の軌跡。ガクトに会うまでの話だよ」

自身の過去を赤裸々に告白したヴィーヌは、不安げではあるが、どこか心のつっかえが取れたような表情をしている。

「ありがとな、教えてくれて」

「ううん、私が勇気を出せたのは、ガクトの言葉があったからだから」

咳払いを一つ入れて、ヴィーヌに尋ねる。

「それで、だが。ヴィーヌ達の過去の出来事と今の異常事態がどう関係しているんだ? 何か心当たりがあるから悩んでるんだよな」

「ええ、そうよ。私達が昔、襲われた魔物が来た時、今と同じような事態が起きていたの。例えば、地震が起きたり、雷が鳴ったり、そんなことが短期間で何度も起こって」

「それが今の異常事態と重なってるってわけだな」

ヴィーヌは頷く。

「つまり、だ。その巨大な魔物ってやつが、また来るかもしれないってことなんだな?」

「そう……だと思う。信じたくはないけどね」

ヴィーヌを含んだ5人全てが、とても険しい表情を見せていた。

「なら、倒してしまえばいいんじゃないか?」

俺は全力で無邪気な笑顔を作り、そう言い放った。

「えっ?」

「何、言ってるの?」

皆、ポカーンとした表情を浮かべ、パトラにいたっては、かなり辛辣なことを言ってきた。

「だから、その魔物ってのを俺らだけで倒してしまえばいいんじゃないのかって言ってるんだ」

ヴィーヌが戸惑うように反論してくる。

「いや、そんなの無理でしょう。集落中の住人、全員で魔法を撃っても倒れなかったんだよ」

「そんなのやって見なきゃわからないだろ。少なくとも、今お前らは、俺の教育を受けて、強くなってるはずだ。その強力になった魔法で、魔物をぶっ飛ばして、出て行った奴らを見返せばいい」

「はあ」

俺は正直、このチート級の力を持ってしても、しかも今より何倍も多くの人員を割いても勝ち得なかった、その魔物とやらに、興味を持っていた。

しかし、それ以上にこいつらを置いて行った集落の連中に苛立ちを覚えていた。一度通用しなくても何か対策を考えようともしない。相手のことを理解しようとしない。

人間としての存在意義である思考を諦め、逃げに走ってしまう。その考え方を俺は心底、醜く愚かなものだと思った。

「お前らには戦う力と、相手を見定める知恵がある。だから、大丈夫だ」

「本当にそう思うの?」

ヴィーヌが強い疑いの表情を浮かべそう答える。

「もちろん、ただ特攻するだけじゃ、勝機はこれ一つも無いだろうが、今俺達は、過去の記録を持っている。それを思考し、推理し、戦いに活かせれば、十分に勝機はあると思うぞ」

「そうかな?」

「ああ、その魔物にリベンジしようぜ」

「うん、怖いけど、やってみる」

ヴィーヌはそう言ってくれたが、他の4人は理解できていない様子だ。

「とりあえず、戦いに向けて、準備するぞ!」

真っ暗な集落に俺の声が響き渡った。




翌日、俺達は部屋にあった建築の本を外に持ち出し、外壁を建造していた。

「俺の自論だが、戦いってのは攻めるより、守る方が重要だ。戦って勝ったとしても、街が壊滅してたら意味がないからな」

自論に従って作られた外壁は、頑強な岩で作られた壁と、俺の所持品のナイフや包丁の金属を再現して作られた棘によって出来ている。

「はぁ…はぁ…」

「全く、本当に疲れた…」

「ふっ、ふっ…、ガクトこんなものでどうだ?」

「おお、十分だと思うぞ」

もちろんこの外壁は5人の魔法を使って出来た産物だ。

推定100メートルの巨大な外壁を作るには、それはもう膨大なカロリーが必要なわけで、今もこうして彼らはへばっているというわけだ。

「こんな…もので…大丈夫…なの?」

パトラがヘトヘトになりながら、聞いてくる。

「とりあえずは、な。これがあるだけで、少しは被害がマシになると思う。ただ、お前らに聞いたところによると、その魔物は、物体を消失させるんだよな?」

「そうだよ。水も植物も全部消えていった。はっきり覚えてるよ」

ロイが俺の質問に答える。

「そうか、それは厄介だな。どうしたもんか」

ロイがもう一言付け加える。

「それに、僕達の攻撃が通じなかったことも重要だと思うよ」

「ああ、それなら大丈夫だ」

「はい?」

俺の軽い口調に、素っ頓狂な声をあげた。

「お前らの攻撃は、少なくとも効いていたはずだ。そうでなければ、魔法を受けた後、一瞬で動き始めたはずだ」

「確かに、あいつは少しの間、動きを止めていた。当たっているかもしれない」

「その魔物の動きは、おそらく、魔法の力で受けた傷を回復していたか、魔法の力に慣れていた、と言った方がいいだろう」

ヴィーヌが教えてくれた記憶を元にした、俺の推理だ。

まあ、100パーセント当たっているという保証はないのだが。

「それにもう一つ、分かっていることがある」

5人全員が驚きの表情を浮かべた。

「その魔物が来るのは、確実に夜だ。お前らの記憶と、異変の起きてる時間からして、どう考えても夜に来るはずだ」

「それもそうね。昔と同じ状況なら、そう考えるのが妥当だわ」

皆、俺の意見に納得しているようだ。

「よっし、決戦は夜だ。いつの日かは知らないが、早いとこ準備を終わらせるぞ」


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