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天才教師が魔法世界で救世主になる物語  作者: 松風京四郎
第一章 魔法世界の救世主編
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暗澹の一年

全てを失った集落は、見るも無惨な景色であった。

無限に湧き出ていた水や植物は、一切の姿を消し砂となり、吹き付ける砂埃が、ガタガタになった住居をより汚していた。

まさに、地獄。

棲みつくものなど皆無に等しい集落に、5人の愚者達は住むこととなった。

「まず、どうしようか?」

私は出来るだけ、体力の消費を減らすために、魔法の力を制限して使う。

「横たわってる死人(しびと)達を、どうにかしなくちゃいけないんじゃない?」

パトラは道端で倒れている一人の住人を見据えて答える。

「そうね、一体どうしようか?」

「死人の処理なんて知らないから、住居の中に入れておけばいいんじゃない?」

あまり興味なさそうな顔でそう答える。

「まあ、亡くなった人も外に放置されるよりは、安心かもね。やろう!」

そう答えると、他の4人も頷き、行動を始める。

「ふっ!」

ルースが倒れていた人間を持ち上げる。

そもそも、ガタイが良く、力持ちでありそうなルースではあるが、硬直した死体を持ち上げるのは、苦労している様子だ。

「はっ!」

近くにあった民家に数人を運び込む。

「よし、これでいいだろう」

ルースが仕事の完了を知らせてくる。

「ありがとうね。助かったわ」

「いいや、お安い御用だ」

そんな掛け合いをしていると、私の服を引っ張ってくる者が一人。

赤髪の幼女、ティカだ。

「お腹すいた。どうしよう?」

「取りに行こうか? 全員で行く?」

ロイが会話に割り込む。

「いや、一人で行こう」

「えっ、どうして?」

「皆で狩りに行っても、僕達のこの力は大して変わらない。無駄に人員を割くよりは、誰かが狩りに行き、残りが力を温存して待つのが得策だと思う」

「なるほど。じゃあ、毎日交代制で狩りに行って、獲物を取りに行こう」

「了解した」

「分かったわ」

「オッケー」

皆の同意を確認して、誰が行くかを決める。

「とりあえず、今日は私が行くわ」

私は皆に了承を取り、一人、荒野へと歩き出した。




私達は、その日から毎日、交代制で荒野へ出向き、魔物を魔法で狩りながら、食料を手に入れていった。

ごく稀に見つかる、食べられる植物や、たまに空から降ってくる雪や雨には、何度も命を救われた。

しかし、虚しいことかな。魔物にも有限性がある。

何匹も魔物を取り続ければ、次第にエンカウントする魔物は減り、一匹も出会うこともなかった時もあった。

獲物が減れば、食料も減る。それに伴って、私達の体は徐々に痩せ細っていっていった。

それでも、私達は運命に抗った。

食べる量を管理し、節約や断食などを行い、なんとか耐え凌いだ。

しかし、運命は常に残酷だった。

寒さに震える季節になり、食料が今まで以上に枯渇した。

懸命に努力するが、それを嘲笑うように食料は底をつき、皆、満身創痍の状態になっていた。




「今日は…私の…番…ね。行って…来る」

お腹の減りと、意識障害からまともに伝えることもできないが、それを聞いている彼らも、頷くことが限界だった。

過酷な冬の季節をギリギリ生き残り、暖かくなり始めたある日、トボトボと私は狩りに出た。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

数歩、歩くだけで、息が切れる。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

呼吸するのすら苦しい。

「あっ、あれは」

霞む視界に見えたのは、何日振りかに見た魔物の姿であった。

「取ら…な…きゃ…」

私は全く力の入らない腕を、脳に無理やり命令させ、前に突き出す。

「はっ………」

魔法を放とうとした直前、視界が黒く染まり始めた。

「だ……め……。私…が……取ら……な……」

視界は全て黒くなった。

力も入らない。

何も考えることもできない。

金髪の少女は、荒野の真ん中で倒れた。

「……大丈夫か?」

その謎の言葉が、少女が最後に記憶した言葉だった……。

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