俺に降りかかる裏切りは蜜の味!?
1週間に1度の更新を目指してやってきます。
前回は毎日なんてやってたらできなかったんで。
学生なんで定期テスト前は消えます。
楽しんで読んでもらえたらと思います。
拙い文章ですがどうかよろしくお願いします!
四月一日、俺は追われていた。大勢に追われていた今まで仲良くしてた仲間にも追われていた。そして、多分見たことない人にも追われていた。と言うか、街の住民皆から追われていた。
皆が皆、笑いながら追いかけてくる。片手に武器を持ちながら追いかけてくる。中には、もう人を切ったのか血まみれで、返り血を沢山受けた様な姿の人もいる。
ただ、よく聞こえる言葉がある。
「氷里ー!お前を殺すー!」
「よくもタダ食い続けられたなー!お前なんかギッタキッタンに切り刻んでやるー!!!」
そんな物騒な言葉だ。誰だよ物騒なこと言ってる奴。いや、誰かは大体分かってるけど…って、そう言う事じゃなくて!
なんでこんなに街全体から追いかけられなきゃなんないんだよー!!!
「美乃里!お前裏切ったのかよ!一緒にいるって言ったのはそっちだろ?なのに…なんでだよ!」
怒りの篭った言葉が、次々と喉の奥から訴えるように…いや、吠えるように出てきた。
本当ならこんな言葉は言いたくない。だが、美乃里から俺に対してやってきたことを思えば、それは至極真っ当な訴えだった。
そりゃ、感謝も多くしている。それに可愛いし、とにかく俺の好きな…いや、大好きな幼馴染みだった。なのに裏切られた。
人間不信どころか、ペットのドラゴンすら信じられなくなってきた。ペットにドラゴンとか言うと変だけど、その事は置いておこう。
俺は逃げるとにかく逃げる。この日本よりも狭い…いや、どちらかと言えば神奈川より狭い島国の中を。
逃げて逃げて、そして逃げ続ける。できれば島から出てしまうのが楽だろう。だが、島の外には俺の居場所がない。
なるべく島の外に出たくない。そうすると、島や街の皆を元に戻す必要がある。
昨日までは普通に接してくれた人たちまで、ああなってしまったのだ。これもきっとあの魔女のせいだろう。
俺はそう直感していた。
なんと言ったって、俺の次に強いのがあの魔女だからだ。それにほら、『魔汝様バンザーイ!』って旗に書いてあるしね。
ちなみに魔女の女は汝じゃないからそれ間違ってるから。誰だよそれ書いたヤツ。つか、どんだけ魔女は信仰増やしたいんだよ。
「異教徒を追い出せー!そして殺せー」
「こんな奴を島に残すなー!痕跡すら消し去るぞー」
なんでそこまで言われなきゃなんないんだよ!つか、俺の場合は確かに元々が仏教徒だから異教徒だが、いつものお前等なら、お前等も異教徒だよ。なんか言ってて混乱してきたし。
そろそろ海岸まで追い詰められちゃうな。どうしようか・・・
左右に逃げられれば楽なんだけど。自分から見て右、そして左の順に周りを確認した。
やっぱり、と言うか当然だが、横を壁のように女子供が並んでいた。
「こんな中どうやって逃げ切ればいいんだよー!」
「さっさと自殺でもすれば?」
「おまっ、ほんとに自殺するぞ俺」
独り言のつもりで発した言葉だが、美乃里には聞こえていたらしいく、返事が帰ってきた。俺はそんな返事求めてねーし!今度は心の中で言った。
だってさっきみたいな返事来ても嫌だし。
ん?待てよ自殺・・・
そうだ、自殺しよう!
補足しとくと、別に狂気に狂ったとかじゃなくて、自殺したように見せかければいけるんじゃね?
いや、却下だな。瞬間移動で島の反対側にでも行った方がいいか。よし、そうしよう。
思いついたら氷里の行動は早かった。
「転移、はじまりの浜!」
そう言いながら魔方陣を頭の中で展開させる。そして同時に頭で血を捧げるイメージもする。イメージとは言ったが、実際に血が魔法陣の中に吸い込まれるとのことだ。しかし、赤血球一つでも魔法は発動するらしいのでイメージする時は、赤血球一つが魔法陣に吸い込まれるのをイメージとするようにしている。
現代知識あって助かったよ。一々、血を大量に消費してたら貧血で倒れちゃうからね。
しばらくすると足元に大きな魔法陣が現れた。転移の魔法は空間魔法なので黒い魔法陣が浮かび上がった。
魔法の種類によって魔法陣の色は異なる。それを知っていたので、周りから一斉に赤色の魔法陣が発動するのを見て焦った。
赤の魔法陣は、火の魔法だ。赤の魔法は水の魔法で帳消しに出来る。とは言っても、威力に差があれば帳消しに出来るどころか、全く効かなかったり、逆に反撃までできたりする。
目視で確認できるだけでも三十は魔法陣が展開されているので、一応保険をかけて水の魔法陣、すなわち水色の魔法陣を六十展開させた。頭の中で魔法陣一つを思い浮かべて、それをコピーするように増やした。そして同時に魔法を発動させる。
それよりも先に転移魔法を発動させておき、それから水の魔法を発動させる。それで安全が確保できるはずだ。水の魔法は、一番初歩のアクアビームを発動させた。アクアビームは、水鉄砲のように水が飛んでいく魔法だ。
魔法は、目視できる魔法陣の形を見ればどの魔法なのかが、確認できる。確認した相手の魔法陣は、どれも初歩のファイヤービームまあ、想像通りで火がビームみたいに飛ぶだけの魔法だ。
だからアクアビームで帳消しにできると思ったのだそして転移寸前にみんなの魔法が発動した。あちらこちらで赤と青が綺麗に輝きながら飛んでいた。
これぞファンタジー異世界!
なんて、この状況でそんなことを思ってしまったのは、自分でも凄いと思った。こんな状況下で、よくそんなのんきに考えられたもんだな。
しかも自分に向かってくる魔法に対して。
自分に余裕があったのは事実だが、もう少し気を引き締める必要があるのも事実だった。
そして魔法が当たる寸前に自分は転移をした。
転移先は、はじまりの浜。
どこかのRPGに出てきそうな名前は一体誰が考えたんだか。またしても、呑気に考えながら転移を完了した。
転移中は意識はあるが、そのほかの五感全てがなくなる。だからすごく楽なのだが、転移が終わったあとの地面に足が着く瞬間にいつまでも慣れないままだった。
そして着いた直後、慣れない着地と共に視界から流れ込んできた情報に驚きを隠せなかった。
「おいおい、嘘だろ?」
そう吐き捨てたあとに一声放つ。
「お前らよくも騙したなー!」
絶望に浸りながらも俺は気力を失っていた。足元の俺が出したものとは違う転移魔法を見ながら一言呟く。
「美乃里、お前だけは絶対に許さないぞー」
かつての、大好きだった幼馴染みを恨みながら、足元の転移魔法をひと睨みして、浮遊感に精神を任せた。




