エピローグ
爆弾を止めた僕たちは悠々と九凱邸を出た。
なんか、もう何年も外に出ていなかったような気がする。
橋のところまで来て、九凱邸を改めて見上げる。
見れば見るほど凄いお屋敷だ。
橋を越えたらきっとスマホも使えるだろう。
そうしたら、警察に連絡してあとは任せよう。
うん?
そういえば。
九凱邸には電話があったはずだ。小道が使えなくされたと言っていたが。
そして、それを鵜呑みにしていたが、本当に使えなかったのだろうか?
もしそれが嘘で実は使えていたら、こんな苦労はしなくても済んだのかな。
まぁ、今更言っても遅いし確かめる気もないけど。
僕と星咲は橋を渡りきった。
だんだんと九凱邸が小さくなる。
と、スマホから圏外の表示が消えた。
それを確認するが早いか、星咲はスマホを操作しはじめた。
「あ、もしもし?殺人事件だよ。すぐに来てくれるかな?」
おぉ。
単刀直入にいったね。
「……え?私の名前?私の名前は星咲さしほ。ルパンさんさ!」
モノクルの位置を直しながら語気を強める。
……イタズラ電話だと思われるんじゃね?
案の定、星咲はしきりに「だーかーらー」と発している。
やれやれ。
僕は奪うように電話をかわると、事の顛末を説明した。
END