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住めば都という言葉がある。
まさに、そんな感じで、日々をすごしていた。
そして、子供も生まれた。
「そう、そんな感じよ」
私は、第1王子と第2王子、そして第1王女に、王族として知っておくべき知識を教え込んでいく。
「お母様、こうですか」
第1王子が私に聞く。
「ええ、そうよ」
いつくしみながら、私は彼らを育てている。
「楽しそうだね」
そこに、微笑みかけながら、夫である国王がやってきた。
「お父様!」
王子二人は、すぐに国王の下へと向かう。
「お父様、剣術の訓練はしないのですか」
「ハハハ。まずはちゃんと座って勉強をしてからだ。ちゃんと基本がないと、訓練のときにも危ないからな」
「わかりました、お父様」
第2王子がすぐに机に戻る。
だが、第1王子は、なかなか戻ろうとしない。
私は、第1王子の手を引き、机に座らせた。
「それで、あなた。どうしてこのようなところに?」
確か、国王の今日の予定は、部隊の巡察だったはずだ。
「実は、人間が迷い込んだという連絡を受けてな。そこで見ることとなったのだ」
人間が迷い込むのは、あまりない。
私たちがここに来たのも、たまたまだという面が強いほどだ。
「でも、ここは下手をしたら、ほかの国々よりも住みやすいですからね」
「まったくだ。周囲100km四方以上に渡る原生林のおかげだな」
そう、私が国から逃げ出して、おそらくは父上はお怒りだろう。
でも、それは、ここにいて、見つからない限りは問題ない。
これからも、たまに人が迷い込んでくることがあるだろう。
それでもかまわない。
ここは、魔物の王国。
人がめったに来ないところ。
そして、今までいたところよりも、すみやすいところ。