7/8
6
その日の夜には、私は彼と一緒に、彼の寝室にいた。
すでに寝巻きになっている彼を見ながら、考えていたら、不思議な感じがする。
なにせ、今日出合った人と、その日のうちに結婚することになったからだ。
「いいんじゃないかな」
そのことを彼に話すとあっさりと答えられた。
「どうして」
「だって、こう出会えるのも、きっと神様がお決めになられたこと。だったら、我々は受け入れるしかないんじゃないかな」
その通りな気持ちになる。
「赤い糸で結ばれていると?」
「そういうことさ。それで、誰を結婚式には呼ぶんだい」
「誰も呼ぶつもりはないわ。きっとお父様は、私が死んだと思うでしょうし。その方が、お父様にとって幸せだと思う」
「僕も、元から誰も呼ぶつもりがなかったから、安心したよ」
彼は笑っていた。
結婚式は、王国の全員が出席した。
見張り兵の一部は出て来れなかったが、それは仕方はないことだ。
ここは魔物の王国、しかし、その王は全員の推戴によって人間である夫がなることになった。