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おっさん異世界でフグをさばいていたら伝説になる  作者: 北真っ暗
2つ目の伝説

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第74話 合格者達

ギルドの掲示板には、今回の養成コース合格者の名前が張り出されていた。


――今回、見込みがあると判断された冒険者候補は以下の六名である。


アルト

10代の男性。都育ちで小柄。武術経験はないが運動神経が良く、志望理由は「大切な人を守りたい」という真っ直ぐな想いだった。


ローレンス

10代の女性。商家の娘で交渉・計算に長けている一方、体力には不安を抱えている。家業の傾きから、自分で稼ぐ道として冒険者を選んだ。


ハーネス

20代の男性。農村育ちの大柄な青年だが、見た目よりも臆病な性格で、手先が器用。村を出て稼ぐため、冒険者を志望した。


リィベル

10代の女性。狩人の父に育てられたが、なぜか弓の腕は壊滅的。冒険者として独り立ちし、父に認められたいという強い決意を持つ。


ドルン

20代の男性。元兵士で、鎧を着たまま動く訓練に慣れており基礎はしっかりしている。正義感の強さから上官と衝突して除隊となった過去がある。


ライカ

10代の女性。没落貴族の娘。冒険者として名を上げ、周囲を見返すために志望した。見た目に反し筋力が高く大きな武器を扱えるが、人の話を聞かないところがある。


残る四名は、惜しくも基準に届かず不合格となった。

納得がいかないと受付で声を荒げる者もいたが、ギルド長は一歩前に出て静かに言い放つ。


「今回合格したのは、短所を抱えながらも、それを補う長所を持ち、伸ばす余地がある者たちだ。これは日常の中で自分自身が気づくしかない。募集は続ける。何が足りなかったのか考え、また来てくれ」


その言葉には怒鳴り返す隙もない重みがあり、四名は悔しさを噛み締めながらギルドを後にした。


ナカムラたちは掲示板の前に立ち、合格者たちの顔ぶれを確認する。

今日から鍛えるべき者たち――。名前と顔を一致させるために、一人ひとりを静かに見つめた。

するとギルド長が振り返り、合格者へ向けて告げた。


「合格した諸君は、これから教官となるナカムラの指示に従ってくれ」


短い言葉を残し、執務室へと戻っていく。

その場に残された六人の視線が、一斉にナカムラへと向いた。


ナカムラは咳払いひとつ。

少し照れたように、しかし堂々と口を開く。


「えーっと、これから養成コースを担当するナカムラだ。よろしく頼む。色々と言うことはあるが――まずは、おめでとう。ここで必要な知識や技術を学び、いずれ一緒に冒険できることを期待している」


六人は緊張した面持ちでうなずき、次にどんな厳しい指示が飛ぶのか息を呑んだ。

ナカムラは彼らの視線を見回し、急に大声で言った。


「まずは、疲れただろう。皆で飯を食べよう。もう用意してある」


「……え?」

「食事、ですか?」


ぽかんとした声があちこちから漏れる。

まさか訓練より先に食事が出てくるとは思わなかったのだろう。

しかしそのタイミングで、コリーが柔らかな笑顔を浮かべながら補足した。


「まずはご飯を食べて、交流してくださいねぇ。しばらく一緒に活動するんですから、冒険者はコミュニケーションが一番大切ですよ」


そのまま彼女に案内され、なし崩しに席へと着かされる六人。

まだ状況が掴めないという表情だったが、運ばれてくる料理の香りに、やがて目つきが変わり始めた。

肉の焼ける香り、温かいスープの湯気、香草の匂い。

空腹は隠しようがなく、全員が「早く食べたい」という顔になる。

ナカムラはその様子を見て、ふっと笑った。


「いいか、最初に覚えておいてくれ。人間は食事と睡眠が一番大切だ。知識も技術も、その土台があってこそだ。だから――まずは飯だ。合格おめでとう」


その言葉とともに、ついに食事がはじまった。

生い立ちも年齢も違う六人だが、テーブルを囲めば自然と声が生まれる。

大皿を分け合う者。ぎこちなく自己紹介を交わす者。

必死に目の前の料理にかじりつく者。


最初の交流は、ナカムラの狙いどおり順調に進みはじめていた。


これから一ヶ月の訓練で、彼らがどんな冒険者に成長していくのか――

ナカムラは期待を胸に、次々と料理を運んでいった。

予約投稿が出来ておらず、時間から遅れてしまいすみません。

いつも、読んで頂いている方々、ありがとうございます。

これから新しい展開になっていきますが、今後ともよろしくお願いします。

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