つげる
2011年にオカルト・超常現象をテーマとした創作同人誌『PLAN9 FROM OUTER SpFILE』に掲載した短編です。
東日本大震災とマヤ暦の予言騒動がネタ元になっています(もともと売上を東日本大震災の義援金とする目的で作られた同人誌でした)。
あれからオカルト界隈は、よりスピリチュアルでより陰謀論的な方向に向かっている気がします。
"君”と"僕”は13年後の今、どうしているのでしょうね。
※pixivに掲載済みのものを加筆修正して投稿しています。
地球が滅亡するんだって、と君が言う。
屋上の手すりにもたれかかり、曇り空を見上げ、セーラー服のタイを風にそよがせ。
いつ、と聞く僕に来年の十二月、と答える。
もう一年と半分くらいだね。
指折り数える僕に、君はほんの少し笑った目を向ける。
冗談なの、と聞きかけた僕がその目の奥に見たのは、結構大きな不安の色。
もう十年、幼稚園の年少の頃からの付き合いだもの、それくらいは分かる。
困ったな、高校生にもなれないや。
コーヒー牛乳の紙パックを持ったまま、僕は君の足元にそう言いながら座り込む。
でも、どうして滅亡するの、と君の左顎の下のホクロを見上げて尋ねれば、なんかねフォトンベルトとかってとこに入って太陽が凄い事になるんだって、と答えが返る。
凄い事って何さ。
思わず吹き出した僕を、君は眉間にシワを寄せてにらんでくる。
思ったよりも本気?
気まずさに目をそらす。
晴れた日の屋上は昼休みを過ごすにはベストなんだけど、今日みたいに少し肌寒い日は僕らのような物好きしかいない。
君は沈黙。
ますます気まずい。
ストローで中身をすするのもためらってしまう。
でも、それを破ったのも君。
福島のおじいちゃんみたいに、なっちゃうのかな。
ぽつりと、君が言う。
滅亡ってさ。
みんな、なくなっちゃうんだよね。
家もさ、人も、いなくなるんだよね。
パパもママもおばあちゃんもベンもみゃこもなっちもゆっかもヒロおじさんも章子おばちゃんも香奈姉も、いなくなるんだよね。
あたしも、あたしも裕も、いなくなる、死んじゃうんだよね。
一気にそこまで言うと、君は手すりに額を押し当てる。
何と言っていいのか、どうしても言葉が出てこない僕は、ただただストローの先を噛んでいるしかなく。
その時。
頬に、雫が落ちた。
雨じゃない。
君の左目から零れた、雫。
変な事信じちゃったな、と思わなくもない。
昔から思い込み強かったな、そう言えば。
でも、君が悲しくて苦しくて辛いのは、紛れもない真実であって。
だったら、そん時一緒にいるよ。
思わず言ってしまう。
きょとん、と僕を見下ろす君に、僕は続ける。
今日からずっと、隣にいるよ。
どんな時も何があっても、僕が隣にいるよ。
地球が滅亡するかもしれないけど、一人ぼっちに絶対させないよ。
何それ。
君が笑う。
恥ずかしい、けど、君の笑顔が少し嬉しい。
もういいだろ、そろそろ教室戻ろう。
ごまかしながら立ち上がった僕の背に君が言う。
じゃあ今日から一緒に帰ろ、昔みたいにさ。
2024年12月1日に東京ビックサイトで開催される文学フリマ東京39で、UFOや超常現象など、我々の世界をささやかに彩る事象を、肯定/否定などの立場を越えて慈しむサークル「Spファイル友の会」(G-59)から『UFO手帖9.0』が頒布されます。
小説ではありませんが私も「UFOと漫画」というエッセイで参加していますので、ご来場の際はぜひお立ち寄りを。




