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暴走電化エデン!   作者: 友利色良
第一章 暴走勃発
22/29

第一話 やがてお掃除ロボットでさえ俺達を殺しに来るのか? 21


「平井常務。その事についてご説明があります」


『弁解』という言葉を『ご説明』に置き換えた西条さんは、平井常務を連れて少し俺達から離れた場所に移動した。

 俺達から距離をとったのは、今からつく大嘘に横槍ツッコミを入れられるのを警戒したからだろう。

 

 上司を蹴り上げた西条さんが、どんな言い訳をするのか聞いてみたいところだが、今は村井部長に聞いてもらわなければならない事がある。


「あの村井部長、ちょっとよろしいでしょうか」


「ん?」


 俺はポケットから封筒を取り出して、村井部長に差し出す。


「あ、それや。村井部長、実は今朝、二階堂と出先でですね。亡くなる直前の渦中博士から、これを無理矢理に渡されたんですよ」


 青森さんが俺の言に補足してくれると。


「なに……? お前達……渦中博士と会ったのか!? 亡くなったと報道で驚いたが……」

 

 今にも額に汗を吹かせそうなほどに驚愕する村井部長に、「そうなんですよ……。その時の渦中博士の様子が明らかにおかしかったんです……」


「……詳しく話してくれ」


「もちろんです」


 そう青森さんは深く首肯して、今朝の事を話し始めた。

 ある程度の自身の推測を織り交ぜながらも、分かりやすく伝えた。

 やがて、眉間に深いしわを寄せた村井部長は、苦悶の深いため息をついて。


「……渦中博士の死因は発表されておらず、このロボット達の暴走。その寸前に託された鍵か……。やれやれ……あまりに出来すぎだ」


 言って村井部長は、受け取った封筒からカードキーを取り出した。


「部長。今回の一件と関わりがあると思いますか? この渦中博士に渡された物が……」


「それは中身を見るまで俺も分からん。……と、まぁそんな、予測が外れた時の事を考えた、保身的な発言を止めて本音で言えばだ。このタイミングで、こんな物を渡されたら、とても無関係だとはどうしても思えん……なぁ?」


 急に差し込んできた陽射しを嫌うような、しかめっ面を浮かべた村井部長はさらに。


「二人が会った時には渦中博士はまだ、ピンピンしていたのだろう? しかしその直後に博士は死んだんだ。怪しめと言っているようなもんだ」


「部長……。警察は俺らの事を調べに来ますよね?」


 心の不安定さがダダ漏れになっているのを、青森さんは抑えずに訊いた。


「あぁ、そこのとこだ。警察だけなら特に問題は無い。落とし物を届けてくれた、とでも言えばいい。二人は他に博士と接点は無かったんだろう?」


「えぇ、もちろん無いです」


 そう首肯した青森さんに続いて。


「はい。俺もありません」


 そう俺も追従ついじゅうした。

 すると。そんな俺たちを村井部長はジッと見て、「まぁ、警察……だけなら……なぁ……」と、俺達に話すでもなく独り言を呟いた後、動かなくなった。


 それはもう、全く動かずジッと俺達を凝視したまま……。

 本当に動かなず……。

 えぇと……。

 何これ、すごく気まずい……。

 俺が何かよからぬ事をしでかしたのだろうか。

  

 隣を見ると青森さんも「あ、あの……部長?」と、狼狽うろたえている。


 すると。


「二人以外の誰かに向かわせるか……」


 何かを決断したらしい、村井部長がいきなりそう呟いた。


「はい?」


 青森さんが聞き返すと。


「ここで考えても仕方ない。何を渡されたのか現物を見てみなくては何とも言えん。だから俺の一存だが、回収しに誰かに行ってもらう」


「あの……ですけど、いいんですか!? 社長と副社長には……」


「二人には事後報告するさ。それにあの渦中博士が命がけで残した物だ。お前達も気になるだろう? もし、中身が俺達に手がつけられそうにない代物シロモノだったら、適当な弁解を考えてだ。改めて警察へ押し付ければいいだけだからな」


「なるほど……。流石ッス、部長」


「それで誰を現場へ向かわせるかだが……。とりあえず今、お前達は行かない方がいいな。俺もこの馬鹿げた事態の、システム調査があるから動けん。となるとだ……」


「じゃあ、アイツですか?」


 村井部長の言葉に合わせるように、青森さんが西条さんの方を見る。

 西条さんは未だに大袈裟なジェスチャーを交えて、やや仏頂面な平井常務に釈明をしていた。

 

西条アイツを向かわせるぐらいなら、ウィルスまみれのロボットを向かわせた方がまだマシだ!」


「そ……そっすか……」


 村井部長の勢いに、思わずたじろいだ青森さんと目が合う。

 バカバカしいほど信用がない、西条さんに対する評価を聞いたところで。

 

「では誰……あ、一人」


「あぁ、そうだ。水島に行かせよう。うってつけだ」


 言って携帯を取り出した村井部長は、水島さんであろう通話相手と三言さんことを話して通話を終了させた。

 


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