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少女なる兵器 Act.1〈旧版〉  作者: 深瀬凪波
第二次龍鬼戦争
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少女なる兵器 第41話「戦友を探して」

暁翠からの依頼で、仲間の住所を探してほしいと依頼された水月。しかし、捜索は困難を極めることとなった。道中の喫茶店で風龍に出会うも、その日なそれ以降進捗が無かった

しかし翌日、早めに出発してみると予想外のことが起こり、案外にも簡単に住所を知れることとなった………………

 翌日、水月は街中を周回していた。というのも、暁翠からの仕事のためである。


 前日、暁翠が水月に仕事の依頼をしたのだ。内容は、鎮守府を離れた娘達の捜索であった。鎮守府からの行先は聞いておらず、無線は諸事情により使えず、電話は持っていないという状態であった為、自身で探し出す他なかったのである。

 しかしながら、暁翠は戦後の後処理に追われている為、捜索をしている暇はどこにもない。そこで水月に白羽の矢が立ったのだ。


 「で、探し始めて1時間後経つけど……どうやったら見つかるのよ…………」


 水月は途方に暮れていた。日本の一部に過ぎないとはいえ、地上は広すぎる。仮に県外へ出てしまえば、捜索はより難しくなる。

 そうして更に2時間が過ぎ、気がつけば昼頃になっていた。

 水月は近くの喫茶店に入り、軽食を取ろうとした。


 「いらっしゃいま……せ…………」


 喫茶店に入ると、見覚えのある人物がそこ居た。それは風龍であった。

 突然の出来事に、風龍は一瞬その場で固まってしまった。

 水月は何もなかったように、近くの席に座った。そしてメニュー表を一瞬見て、呼び出しボタンを押した。

 すると、近くに居た風龍が席までやって来た。


 「ご、ご注文はいかがなさいますか?」


 風龍は平然としようとしていたが、動揺して途中で言葉を噛んでしまっている。目も泳いでいた。


 「ベーコンエッグトースト一つとブラックコーヒーを一杯お願いします」

 「かしこまりました。お持ちするまで少々お待ち下さい」


 そう言い残すと、風龍はカウンターの内へ戻って行った。

 風龍はカウンターに戻ると、水月が注文したものを店長に伝えた。

 店長料理が用意している間に、風龍は水月に渡された紙切れを見た。紙切れには「住所を教えて欲しい」とだけ書かれていた。

 風龍はシャープペンシルを取り出すと、急いで住所を書き始めた。幸いにもその間、呼び出しボタンが押されることはなかった。

 そして住所を書き終えると、風龍はカウンターの外に戻った。タイミング良く、水月に出す料理が作り終わった所であった。

 風龍は盆に料理とコーヒーを水月の元へ持って行き、その僅かな間に紙切れを渡した。


 「ごゆっくりどうぞ」


 風龍はそう言うと、カウンターの内側へ戻って行った。


 「風龍さん、彼女に何をお渡ししていたのですか?」


 店長が風龍に問いを投げてきた。どうやら気づかれていたようだ。風龍自身、紙切れを渡す時は見えないようにしていたつもりであったが、店長には見られていたようだ。


 「彼女は私の同僚でして……住所を聞かれたのでお答えするために住所を書いた紙を渡しました」

 「なら良いのですが……今後は前もって知らせてくださいね」

 「はい」


 風龍と店長がそんな会話をしている内に、水月は食事を終えていた。

 その後は会計を終え、引き続き捜索を続行した。

 しかし、その後は特に進捗は無く。結局その日は、風龍の住所を知れたことだけであった。まあ、最初はこのようなものだろうと、水月は考えながら帰宅した。


 翌日、水月は朝の5時きっかりに起きて朝食を作り始めた。暁翠は疲れのせいか、まだ寝ている。

 しばらくして朝食をつくり終えると、机を出して先に朝食を食べた。暁翠の分は食卓カバーを被せて置き手紙と共に机の上に置いた。

 そして、水月は捜索を開始するために家を後にした。


 そして、水月はいつもの交差点の横断歩道の角にやってきた。ここなら仕事行きの人がよく通るため、誰か通るのではないかと考えていた。


 それから2時間後、水月は交差点の横断歩道に来たことを後悔していた。人が多すぎて、逆に見つけられないのである。

 水月は諦めてその場を立ち去った。そして、いつものように歩道を歩き始めた。

 

 それから30分後、水月はとあるバス停の近くで休憩を取っていた。今日の気温は29℃、春にしては暑すぎる。それに水月は正装で活動をしているため、服の層が何重にもあって熱が籠もっていた。


 ー上着は置いてくるべきだたわね…………ー


 そんな事をを考えていると、バス停の前に1台の小型トラックが停車した。その小型トラックは、どこか見覚えがあるような気がした。

 すると、小型トラックの窓が開き、京華が顔をのぞかせた。


 「水月、良かったら乗っていかない?」

 「…………すいません、お言葉に甘えさせていただきます」


 水月は一瞬迷ったが、暑すぎることもあって京華のトラックに乗せてもらうことにした。

 トラックの中は冷房が効いていて、とても涼しい環境であった。

 涼んでいる水月に、京華が話しかけてきた。


 「水月、こんな所で何をしてたの?」

 「元帥の依頼で、仲間の住所を探しています」

 「なら、私に任せておいて。少し飛ばすわよ」


 京華は何か知っているらしく、トラックを反対車線へ移した。そのまま製鉄所がある方まで向かっていった。


 約30分後、製鉄所に着いた京華は駐車場にトラックを停め、製鉄所の中へ入っていった。

 しばらくすると、京華がトラックに戻り、水月に話しかけてきた。


 「入る許可を貰ってきたわ。行きましょう」


 そう言うと、京華は水月を連れ出して製鉄所に入った。

 製鉄所に入ると同時に、作業員の人がヘルメットを渡してくれた。2人はヘルメットを身に着け、製鉄所の階段を登り、高い位置の通路から奥へ進んで行く。

 しばらく進むと、下に誰かが見えた。よく見ると、氷月と流月であった。作業服を着ているのを見ると、2人はここで働いているようだ。


 「彼女達はここで働いてるのよ。仕事終わりは夕方6時になるわ。彼女達は明日が休日だから、聞くのは夕方にしたほうが良いわ」


 京華はそう言うと、駐車場へ戻り始めた。水月も諦めて、夕方に仕切り直すことにした。


 そしてまたもや数時間が経過した。あの後水月は京華と別れ、再び歩いて街を周っていた。気がつけば時刻は11時を過ぎていた。

 どこかで食事をしようと思った水月は、とある事を思い出した。そう、白蓮から貰った名刺であった。

 水月はポケットから名刺を取り出すと、店のある場所を確認した。幸いにも店はこの近くで、白蓮はまだ働いている時間帯であった。

 水月は急いでその店に向かった。


 約20分後、水月は白蓮が働く中華料理店にやってきた。扉を開けると、席は満席状態であった。

 諦めて帰ろうとすると、後ろから声が聞こえた。


 「待ってたわよ。水月」


 気がつけば、白蓮は水月の背後0距離にいた。

 水月は振り返ると、やはらはそこには白蓮がいた。しかし、何故か青いチャイナ服を着ていた。おそらくは職場の正装なのだろう。


 「大丈夫よ、取って食べたりはしないわ。氏名の個室席があるから、店員にこの合言葉と氏名する人の名前を伝えてね」


 そう言うと、白蓮は紙切れを渡して店の奥へ入って行った。

 水月は、心臓の鼓動が早くなっているのを感じていた。白蓮が0距離に来るまで、まったく気配を感じなかったからだ。

 その事を一度心に仕舞って、店員に合言葉と白蓮の氏名をすると、奥の部屋に通された。

 部屋の中には白蓮が待機しており、店員はメニュー表を渡して去って行った。


 「で、聞きたいことは何? 1時間コースの合言葉を教えたから、1時間はここに居るわよ」


 白蓮は1時間コースの合言葉を伝えていたらしく、時間外もここにとどまってくれるそうだ。

 水月はこの時間を無駄にしないように、白蓮に聞ける事を全て聞こうと思った。


 「白蓮さんは、鎮守府から出ていった仲間の住所を知っていますか?」

 「ええ、知っているわよ」


 白蓮はあっさりと答えを返した。それも、住所を知っていると言うのだ。これは有力情報であった。

 白蓮は、そのまま続きを話し始めた。


 「と言っても、一部の娘達だけよ。紙に書いたほうが良いかしら?」

 「お願いします」


 そうして、白蓮は紙に知っている仲間の住所を書き始めた。寄月、幻月、斬龍、龍珱と、様々な住所が書き出された。

 しかし、水月に驚くことがあった。捜索が難航と思っていた、龍造、龍翔、龍彩の住所を白蓮が知っていたことだ。これは予想外のことであった。


 「私が知っているのはこれが全てよ」

 「あの……どうやったらこんなに住所の特定が?」


 水月は、どうやってこれほどの数の住所を特定することに成功したのか違和感を覚えていた。大龍帝国の元首脳であったとしても、白蓮は武闘派だ。これ程の数を揃えるのは、ほぼ不可能に近いのだ。


 「去音が調べたのよ。去音は情報や政治、経済の操作に長けている。それに、去音は借金を返済しないまま高飛びした奴を追いかけてるのよ。その過程で個人情報を探ってるのよ」


 水月はその事で完全に理解することができた。去音が情報を集めていたのならば、それは限りなく可能に近い。


 「取り敢えず、料理を頼みましょう。今回は私が奢るわ」


 そう言いながら、白蓮は料理を注文した。

 その後は、食事をしながら白蓮から情報を共有してもらった。住所だけではなく、詳しい位置情報までも共有してもらえた。

 そうして残り時間が少なくなってきた頃、白蓮が水月に話しかけてきた。


 「水月、私の血を取り込むつもりはない?」


 あまりにも突然の言葉の内容に、水月は飲んでいた水を吹き出してしまった。


 「ゲホッ……ゲホッ……それは一体?」

 「龍族の正式な血を取り込めば、龍族とは念話が使えるようになる。これなら新しい情報をすぐに共有できる」


 水月はそこで戸惑った。確かに血を取り込めば念話は可能になる。しかし、それは人であることを捨てるという事だ。


 「ありがたいお話ですが、お断りしたく…………」

 「そう、気が向いたらいつでも言ってちょうだいね」


 水月が断ったと同時に時間切れとなり、水月は白蓮と共に外へ出た。

 裏戸は路地裏に繋がっており、そこから路地を進んで街に出た。

 しかし意外なのは、白蓮がチャイナ服のままでいることである。


 「白蓮さん、どうしてチャイナ服を着たままなんですか?」

 「これ? これは首脳時代からの服よ。いつもこれで生活してたのよ」


 水月は一瞬、頭の理解が追いついていなかった。普通考えても、チャイナ服で外に出歩くことには抵抗を感じるだろう。しかし、白蓮はそんな事を気にしていない。

 そんな事を考えていると、水月の頭が混乱してきた。


 「大丈夫よ。幻術を使っているから、一般の一には普通の服を着ているように見えてわよ」


 そこで水月の頭の処理が終わった。しかし、結論は出なかった。


 それからしばらく歩いて、水月は白蓮と別れた。

 そこから水月は、ここからは一番近い場所にある涼月の元へ寄ることにした。


 場所は変わって、水月は近くのアパートにやって来た。ここに涼月が住んでいるらしいが、普通に考えてここに涼月がいるとは思えなかった。

 そう思いながら水月は扉を叩いた。

 すると、扉から涼月が顔をのぞかせた。


 「水月さん……どうしてここに?」

 「風の噂でね。元気にしてるのか確認しに来たのよ。それじゃ、私はこれで帰るわね」


 涼月が居ることを確認すると、水月は去って行った。

 涼月はそのまま扉を締め、床に腰を下ろした。


 「駄目だ……やっぱりあの人の前では緊張する…………」


 涼月はそう口ずさみ、ため息を付いた。

 水月はそんな事はつゆ知らず、その場を立ち去った。

さて、ここから始まるは波乱万丈の仲間探しと、ある意味の修羅場展開が待ち受けています。今回のことはまだ序の口に過ぎません。次回はあの元姉妹艦が搭乗します。

そして、しれっと最後に登場した涼月ですが、性格は氷月のように無口で人見知りな所が多い子になります

以上、今回の数秒キャラクター紹介のコーナーでした

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