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少女なる兵器 Act.1〈旧版〉  作者: 深瀬凪波
第二次龍鬼戦争
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少女なる兵器 第40話「白蛇」

戦争が終わり、暁翠と戸建て物件に住むことになった水月。しかし生活1日目から、暁翠は国会に出席しなければいけない為、水月は暁翠の使役獣の白と共に留守番を任されることとなる。

しかし水月は慣れない生活で体調を崩し、風邪をひいてしまった。そこで白は驚きの行動に出て……………………

 翌日、それぞれは新居を探すために鎮守府を出ていった。水月は鎮守府に残り、暁翠と共に鎮守府の片付けを手伝っていた。


 しばらくして鎮守府の片付けが終わると、暁翠と水月は鎮守府を出て和風の戸建の家へ向かった。

 暁翠は靴を脱いで土間ら家内へ上がると、障子を開けて部屋に入った。

 水月も靴を脱いで家内へ上がり、部屋の中へ入った。


 部屋の中は中心に机があり、隅には箪笥が置かれてあった。障子でできていた1つの窓から光が差し込み、部屋はほのかに明るかった。

 そうしている内に、暁翠が部屋の電気をつけた。どうやら電気は通っているみたいだ。


 そんな事を考えていると、水月は足元に何かの気配を感じ取った。ふと足元を見てみると、1匹の白い蛇が居た。


 「元帥、蛇が家の中に入り込んでいますが…………」

 「あぁ、いいんだよ。そいつは俺が使役している蛇だ」


 水月は目を丸くした。この蛇が暁翠の使役蛇だとは思ってもいなかったのだ。大龍帝国では、蛇は神聖な動物として崇められてきていた。それはある時から廃れてしまった風習であったため、蛇を見ることは少くっていたのだ。

 水月は暁翠から教わった歴史を思い出していると、気付けば白蛇は暁翠の首に巻き付いていた。


 「白、そんなに構って欲しかったのか?」

 

 そう言いながら、暁翠は白蛇……白の顎を人差し指でくすぐった。白は目を閉じながら嬉しそうに体をよじらせた。

 そんな中、白は水月に目を向けた。明らかに「何だこいつ?」と言う目をしていた。


 「白、こいつは水月だ。正式な結婚式はあげていないが、俺の嫁になる」


 暁翠の言葉を聞いた白は、暁翠の方からスルスルッと床に降りると、水月を見てお辞儀をした。

 

 「これからよろしくね、白」


 水月はそう言いながら、白の顎をくすぐった。白はくすぐったそうに体をよじらせた。

 そのまま白は、水月の腕をつたって水月の首元まで行くと、水月の頬に自身の顔を擦り付けた。それは白なりの愛情表現なのであろう。

 そんな事をしている間に、暁翠はトランクケースに荷物をまとめていた。そのまま暁翠は水月に話しかけた。


 「水月、俺は明日、国会に顔を出さなければならない。2日目の朝まで、ここの留守番を頼んでも良いか?」

 「はい、別に良いのですが……白のご飯はどうすれば?」

 「人間と同じ料理は食べれる。苦手な物と言えば野菜くらいだ」


 話している内に、荷物をまとめ終わった暁翠は土間に向かい、靴を履き始めた。

 そのまま暁翠は、水月に話し始める。


 「で、この家の構造や風呂の使い方を書いた紙は机の上に置いてある。風呂に関しては、使い方をよく読んでから遣ってくれ。下手をすれば、足を火傷する」


 そうしている内に、暁翠は玄関を出た。水月は急いで靴を履き、暁翠を追って外へ出た。

 外へ出ると、暁翠は立ち止まって水月のいる方を振り返った。そのまま暁翠は水月に近づいてゆく。


 「水月、白の事をよろしく頼む」

 「はい、気をつけて行って来てくださいね」


 そして、暁翠は行ってしまった。水月は、白と共にその後ろ姿を眺めていた。

 暁翠の姿が見えなくなると、水月は白と共に家へ戻った。そして水月は、暁翠が置いて行った家の構造と説明が書かれた紙に目を通した。


 数十分後、水月は一通りの内容を頭の中に叩き終えた。しかし完全に理解したわけではなく、一部の物については全く理解できてはいなかった。

 風呂に湯を入れるためのスイッチがあると書かれているが、そこにあるのはタイルのみでスイッチらしきものはみあたらなかった。他にも分からないところはあったが今はそれどころではなかった。

 しばらく探していると、水月は思い出したことが一つあったら。京花が氷島で岩肌のスイッチを押したことであった。

 それを思い出した水月は、タイルを触り始めた。すると、1つのタイルが凹んで風呂の中にお湯が注がれ始めた。

 

 「やっぱりそういう…………あ…………」


 水月は安心したと同時に、今が昼であることに気がついた。


 ーこのお湯……どうしましょう…………ー


 そんな事を考えている内に、風呂にお湯が溜まった。仕方ないと思った水月は、今日はここで風呂にはいることにした。時間は三時で、あまりにも早すぎる入浴であった。

 水月は体を洗うと、暁翠の書き置きとうりに木の蓋を風呂に沈めてから入った。この風呂は日本に伝わる五右衛門風呂と言うものらしく、直接入ってしまうと熱によって火傷してしまうらしい。

 

 ーこんな感じは始めてね……ある意味では疲れを感じてしまう…………ー


 水月は、環境の変化に疲れを感じてしまっていた。いつもなら書類仕事を夜遅くまで行ってから風呂へ入り、夜食を食べてからまた書類仕事のハードワークを送っていた。

 数分後、水月は風呂から上がり体を拭くと、鎮守府から持ってきていた寝間着に着替えた。着慣れた寝間着ではあったが、この家に居るせいかいつもとは違う感覚があった。

 それから数時間して、夕飯を作る時間となった。水月は土間で夕飯を作り始める。

 水月が薪の調整をしていると、玄関の扉が叩かれた。水月が玄関を開けると、そこには紫桜が立っていた。


 「紫桜姉さん? どうかしましたか?」

 「突然で申し訳ないけれど、今日だけ泊めてくれないかしら?」

 「取り敢えず入ってください。今、夕飯の支度をしていた所です」


 紫桜を家に招き入れた水月は、紫桜を居間に案内した。そしてすぐに土間に戻り、夕飯の支度を再開し始めた。


 1時間後、水月は夕飯を作り終え、土間にある小さな社に夕飯を出してから、紫桜が待っている居間の机に夕飯を出した。

 紫桜も、タイミング良く風呂上がりだったようだ。そして水月と紫桜は夕飯を食べ始めた。


 「水月は何でもできるわね……羨ましいわ」

 「そんな、私なんてまだまだですよ」


 それからしばらくして、2人は夕飯を食べ終わった。水月は食器を洗いに、土間にある水道へ向かった。

 土間に入ると、白が自身の皿を水道台に片付けていた。水月は、あの小さな体でよく運べるなと感心していた。


 それから数時間後、時刻は既に夜の九時を過ぎていた。水月と紫桜は、その日はそのまま寝ることにした。

 水月は押入れから布団を取り出すと、居間の机を部屋の端に避けて布団を敷いた。

 2人は布団に入ると、そのまま深い眠りに落ちた。


 翌朝、水月はいつものように朝6時に起床した。しかし、水月は体に異変を感じていた。いつもよりも体が重く、頭がボーッとしていたのだ。立ち上がろうとするも、焦点が合わないため立ち上がれなかった。

 その直後、紫桜が目を覚ました。


 「おはよう水月……? 水月、少し顔が赤いわよ」

 「いえ……そんな事は…………」


 紫桜は水月の言葉をよそに、水月の額を触った。紫桜自身の体温と比べてみると、水月の体温の方が遥かに高いことが分かった。

 紫桜は水月の額から手を離すと、持ってきていた無線で氷龍に急ぎ来てほしいと伝えた。


 5分後、氷龍が家にやってきた。氷龍は居間で仰向けになっている水月を診察した。

 診察を開始してから3分後、氷龍は水月の容態を理解した。


 「氷龍、どうなの?」

 「水月さんは風邪をひいています」


 氷龍の言葉を聞いた紫桜と水月は、一瞬言葉の意味が理解できなかった。


 「ちょっと待って、私達兵器が風邪をひくことがあるの!?」

 「半分兵器とはいえ、もう半分は人間です。風邪くらいひきますよ」


 その言葉に2人は納得した。忘れがちになるが、今は兵器ではなく人間の体を持っているのだ。体は人間でも、頭の中は兵器のままであることに改めて気付かされる。


 「それでは、私はそろそろ出勤しなければならないので失礼します。薬は枕元に置いていきますので」


 そう言い残すと、氷龍は玄関を出て行った。

 ふと、水月は氷龍の言葉に疑問を覚えた。氷龍が「出勤」と言う言葉をったのだ。つまりそれは、働き先が見つかった事を意味していた。水月は聞いておけばよかったと、心の中で後悔した。


 「水月、朝食は私が作るからここでゆっくりしておいて」

 「分かったわ……だけど……白のご飯を…………」


 そんな話をしていると、白が障子の空いた隙間から部屋に入ってきた。白を蛇だと知らない紫桜は戦闘態勢を取ろうとするが、水月が紫桜の服を掴んでそれを止めさせた。

 白は水月の枕元まで来ると、水月の頬に顔を擦り寄せて来た。水月は、白の頭を指でそっと撫でた。

 

 「水月、その子が白?」

 「えぇ……元帥の使役獣よ…………」

 「成程ね、分かったわ。白の分も作るわね」


 紫桜はそう言うと土間へ行き、竈に薪を焚べ始めた。

 数分後、紫桜はお粥を持って土間から戻ってきた。紫桜は水月の枕元に座ると、お粥を水月の口に運んだ。水月は何処か恥ずかしそうにしながら、紫桜が作ってくれたお粥を食べた。

 数十分後、水月はお粥をすべて食べ終えた。そして紫桜は、食器を持って土間の水道台に向かった。水道台では昨日のように、白が食器を水道台に置いていた。紫桜はそれを微笑ましく見ていた。

 数時間後、時刻は午後の六時であった。紫桜は暁翠に電話をかけていた。


 「なんとかならないんですか?」

 「今から電車に乗るんだ、どれだけ急いでも明日の朝になる」


 紫桜と暁翠は電話越しに揉めていた。紫桜の気持ちは分からなくはないが、仕事の都合上暁翠は霧の門を無闇に開けてはならない。それもあり電車で移動をしているのだ。

 それから数分して、やっと電車越しの揉め事が一悶着ついた。紫桜は電話を切ると、水月に話しかけた。


 「水月、ごめんなさいね。今日から仕事があって行かなきゃいけないの……明日の朝には指揮官が帰ってきてくれるから……」

 「分かったわ……それより紫桜姉さん……」


 そうして紫桜は、職場へと行ってしまった。水月は、またもや職場先を聞き忘れたと後悔した。


 それから夜は更け、深夜0時になっていた。水月は熱が上がり、まともに寝付けない状態にいた。水月は風をひいたことを後悔していた。紫桜に迷惑をかけていたと思っていたのだ。

 そんな事を考えていると、白が枕元まで近寄ってきた。


 「白……ごめんなさいね……私……元帥に貴方のことを任されたのに…………」

 「別に気にしてはおらん」

 「え?」


 突然、白が喋った。水月はその事に驚きを隠せなかったが、熱のせいでまともに喋ることができなかった。そんな水月をよそに、白は話を続ける。


 「お主は慣れない生活で疲れているのじゃ、それは誰でもそうじゃ。そしてこの際じゃわお主に提案がある。儂と契約してくれぬか?」


 白の言葉は、契約の依頼であった。しかし、白は暁翠と契約を交わしている。


 「契約は何重にも重ねられる。これといった問題は無い」


 水月の思考は白によまれていた。水月は力を振り絞って喋り始めた。


 「どうして……私と契約を…………」

 「暁翠の嫁であるのだろう? ならば儂が守護してやろう。暁翠はお主の事を、本気で思ってもおるそうじゃからな」


 水月はその言葉を聞いて、顔が少し赤くなった。しかし、それをすぐに振り切って白に言葉を伝えた。


 「分かったわ……その契約を受けいれる」

 「礼を言う。では、なるべく痛くないように」


 そう言うと白は、近くに置いてあった布切れを水月の近くにおいた。水月はその布切れの上に指を置いた。


 「力を抜いておけ。痛みが増す」


 白の指示に従い、水月は指から力を抜いた。次の瞬間、白は水月の人差し指に噛みついた。水月の指から血が流れ始める。それと同時に、水月の頭から意識が離れていった。体力が限界だったのだ。

 そこから水月は、手放した意識の中で何かを見ていた。周りには龍人族の家屋が並び、龍人族の人々が話し合っていた。そんな中、こちらから見る視点は細い裏路地へ入っていった。そこで視点には、ある人物が映り込んだ。それは見覚えがある人物であった。


 ーあれ……これってもしかして…………ー


 「水月!!」


 水月は自身の名を呼ぶ誰かの声で目を覚ました。目を開けると、目には暁翠の顔が映っていた。


 「元……帥? あれ、確か私は…………」

 「白との契約で意識を失っていたんだ。どうして契約なんか…………」

 「だって、元帥は私の事を本気で思っていてくれるのでしょう? なら、私もそれなりに長生きしなければいけないと思ったので」

 「そうか……ありがとうな」


 その後、水月は暁翠と紫桜の看病によって2日後に、体調が完全回復した。そして、いつもと変わらない生活を送れるようになった。

 水月の体調が完全回復してから5日後、水月は暁翠と居間にいた。ちょうど食事を食べ終えた所で、水月はいつものように食器を片付けようとしていたところだった。暁翠が水月に話しかける。


 「水月、少しお前に仕事を頼みたいんだ」


 なんと仕事の依頼であった。水月にとっては約1週間ぶりの仕事であった。水月は即座に暁翠に聞き返した。


 「それはどのような内容でしょうか?」

 「全員の住所を探してきてくれないか?」

 「……はい?」


 水月は突然の言葉に頭の理解が追いつかなかった。

終戦からの2話目で、喋る蛇が登場するという謎展開に驚いた読者様もいたのではないでしょうか? この小説ではこのような事が多々起こります。生暖かい目で見守っていてください。

さて、今回初登場した蛇の白。おそらく、これからも登場することがあるかもしれません。その時は「こいつまだ登場するのか」的な目で見つけてくださると嬉しいです。

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