表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女なる兵器 Act.1〈旧版〉  作者: 深瀬凪波
第二次龍鬼戦争
55/109

少女なる兵器 第37話「氷島の極秘施設」

水無月京華、龍造京花の2人と出会った海月達。山岳部で待ち構えてる敵戦車隊を突破するべく、山岳部へ向かった。

 山岳部へ着くと、京花が山岳部の岩肌を触り始め、岩肌の一部が凹んだ。

 すると、洞窟の中の壁が開き、隠し通路が現れる………………

 京花の話を聞き終えた海月達は、水無月京華、龍造京花と共に前進していた。後から聞いたことだったが、京華は暁翠、京花ら霊花に助太刀に来るように命じられたらしい。

 しばらくすると、山岳地帯に入った。胤月の情報によると、渓谷入り組んだ道で敵戦車隊が待ち構えているらしい。海月は、ここから先どうするかを考えていた。

 すると、京花が近くの岩肌を触り始めた。


 「京花さん、一体何を?」


 京花は何も言わず、岩肌を触り続けていた。そして突如、京花が触っていた岩肌の一部が凹んだ。すると、近くの洞窟から物音がした。

 その場へ行ってみると、洞窟の入口内部の隣に通路ができていた。ここは、隠し扉になっていたらしい。


 「ここの通路は、氷島のありとあらゆる所へ繋がっている。二部隊に分かれて、片方を私が先導して敵戦車隊の背後へ回り込む道を案内する。京華の方は、敵戦車隊を正面から抑える」


 京華は説明と共に、作戦の提示も行った。海月はその作戦を承諾し、もう片方の部隊を京華と深月に任せ、通路へ入ろうとした。

 その時だった。洞窟内部から何か音が聞こえてた。海月は直ぐにそちらを向き、主砲を構えた。するとそこには、片足を失った亰月が壁に凭れていた。


 「亰月!!」


 海月が亰月に近づく。亰月は腹部に大きな傷を負っい、口から血を吐いていた。亰月は既に意識が混濁していた。命の炎が消えかけていたのだ。


 「か……い……げつ……あ……の……ばけ……もの……は………」

 「大丈夫、そいつならもう京華さんと京花さんが片付けてくれた。だから死なないで!!」

 「そ……う……それ……なら……よか……た………………」


 その言葉を最後に、亰月の目から光が消えた。


 「…………亰月……ごめんなさいね…………………………」


 そう言いながら、海月は亰月の目を閉じさせた。そのまま、海月は京花の元へ戻り、通路へ入って行った。海月に選別された部隊は、それぞれの方向へ向かって進撃を再開した。

 海月達が通路に入って直ぐ、京花が海月に話しかけてきた。


 「海月、良かったの? あの別れ方で?」

 「いいんですよ……別れは手っ取り早く済ませるに越したことはありません……冷静さを失わないためにも……………」

 「悪いとは言わないけど、永遠の別れは一度きりだからしっかりと噛み締めておきなさい」


 そう言いながら、京花は仮面を顔に装着した。

 それと同時に、別の通路から何か物音が聞こえてきた。京花は立ち止まり、物音が聞こえてきた通路の方向を見た。


 すると、人間のような何かが現れた。しかし、それは人間ではなかった。皮膚がただれ、片腕が無い者も居れば、片目が無い者居た。それは、吸血鬼の死骸だった。


 京花はその存在を視認すると、常人の目では終えない速さでスタートダッシュを切った。一瞬の内に死骸との間合いを侵略し、懐をとった京花は悪魔の鉤爪を死骸の心臓に突き刺した。隣りに居たもう1体も、腰に装備していたナイフをコンマ1秒で抜き、それを心臓に突き刺した。


 海月達はその光景に呆然としていた。たったの5秒で2体の死骸が再びとどめを刺されたのだから。

 しかし、その光景を見ているのも束の間であった。正面の通路からも死骸が何体も出てきたのだ。


 「海月、そこをどいて!!」


 海月の前に出た瀧月は、両腕に装備していた35mm高射機関砲を掃射し始めた。死骸はみるみる内に数を減らしていった……はずだった。倒れた死骸が再び立ち上がったのだ。


 「どうして……どうして死なないのよ!!」


 瀧月の表情に焦りが生まれる。瀧月は機関砲の弾を掃射し続けた。

 そうしている内に、砲身が加熱したことによって自動冷却装置が発動し、高射機関砲が撃てなくなってしまった。


 ーしまった!! 乱射しすぎた!!ー


 その僅かな間に、1体の死骸が瀧月の懐を侵略した。瀧月は一撃を覚悟した。しかし、その死骸の攻撃が瀧月に当たることはなかった。

 そう、海月が死骸を蹴り飛ばしたからだ。死骸は激しく吹き飛ばされ、周りに居た他の死骸と共に吹き飛んだ。


 「瀧月さん、ここからは私達が何とかするわ!!」


 そう言って、海月の後ろに控えていた古月と妨月が飛び出した。古月と妨月は短刀を取り出し、死骸の心臓を的確に指していった。そこに海月達からの援護射撃が加わり、死骸群は瞬く間に壊滅した。


 「やっと……終わったわね…………」

 「お疲れ様。こっちも片付いたわ」


 戦闘終了と同時に、京花がこちらにやってきた。京花はかなり血塗れであったが、気にしている様子は一切なかった。


 「ねえ、少し来てくれない」


 京花はとある一つの部屋に海月達を連れてきた。京花は部屋の扉を開けた。途端、異様な匂いが流れ込んできた。海月達は、あまりの匂いに鼻が曲がりそうになる。

 しかし、問題はそれ以外にあった。そこには、大量の吸血鬼の死骸が放置されていた。動いてこそいなかったが、拷問死した吸血鬼の死骸の山はこの世の終わりを現しているようだった。


 「見て、酷いでしょう…………」


 京花が海月達に話しかけるもが、その内容は頭に入ってこない。唯一わかったことは、旧大龍帝国は極秘裏に吸血鬼を拷問し、その生命を奪ったことだけであった。

 その時、外で何かが爆発する音が聞こえてきた。

 

 「始まったようね……急ぎましょう」


 京花は外で戦闘が始まったと判断し、海月達の誘導を急いだ。

 その頃、京花の予想どおり外では激戦が繰り広げられていた。


 「チッ……1両1両が硬い………………」

 「氷月、流月、貴女達はここから出ないでちょうだい。追加装甲が施されたとはいえ危険だわ!!」

 

 幻月、堀月、沈月が前で盾となり、後方で隙を見た寄月達が攻撃を加えていた。しかし、敵1両1両の装甲が分厚いため有効打が出せずにいた。


 「もういい、私が出る!!」


 しびれを切らした流月が、幻月の横から飛び出した。流月は主砲を発砲した。それと同時に、敵戦車も流月に対して発砲する。

 流月が放った砲弾は、敵戦車を1両爆散させた。しかし、流月も肩に砲弾を被弾してしまった。

 暗月は、流月を引っ張って岩裏に退避させた。それと同時に京華が砲弾を取り除き、止血を開始した。


 その一部始終を、海月達は敵の背後から見ていた。

 

 「…………今よ!!」

 

 京花がタイミングを見計らって、飛び出す指示を出した。飛び出した全員は、敵戦車の後部に容赦なく砲弾を撃ち込んだ。

 初撃で6両の敵戦車を撃破し、形勢が逆転した。前衛部隊と奇襲部隊によって、敵戦車は瞬く間に壊滅した。


 「終わったわね……後は残党を………………」


 海月が指示を出そうとしたときだった。それはあまりにも突然のことで、誰も反応できなかった。

 震月の上から1発の大口径榴弾が降ってきたのだ。それは、震月の腰に命中した。それだけなら良かったのだが、そこには砲弾が取り付けられていた。

 次の瞬間、弾薬が誘爆して大爆発を起こした。近くに居た響月、岩月、氷月、流月、が爆発に巻き込まれた。

 

 「震月!! 皆!!」


 海月は直ぐ側に近寄った。震月はその場に倒れていたが、岩月、氷月、流月は直ぐに立ち上がった。響月は爆風で吹き飛ばされ、岩に激しく体を打ちつけていたため上手く立ち上がれずにいた。


 「あれか……撃て!!」


 岩月は崖の上にいた敵を視認すると、25cm破砕砲を撃ち込んだ。砲弾は見事に命中し、敵戦車を木っ端微塵にした。


 「震月!!」


 響月は匍匐前進で震月の元まで行き、震月の手を掴んだ。


 「響……月……カハッ…………ごめん……な……さい……ね…………」


 震月は血を吐きながら響月に話しかけた。震月は意識が混濁しており、目の焦点もあっていなかった。それでも、震月は最後の力を振り絞って話を続ける。


 「響……月……私の……最期の……我がままを……聞いて……もらって……良いかしら…………」

 「何でも聞く!! だから最期なんて言わないで!!」

 「これ……以上……誰も……死なせ……ないで…………」


 響月は震月の言葉を聞いて驚いた。震月は自分が死ぬといという時に、仲間の心配をしていたのだ。


 「ここで……死ぬのは……私が……最後で……いい……だから……これ……以……上……は………………」


 そこで震月の言葉が完全に途切れた。目を見ると、光が消えていた。

 響月は、震月の首元に手を当てた。脈は感じられなかった。

  

 「震月……貴女の最期の頼み……受け取ったわ…………だから……安心して………………」


 響月は、涙を流しながら震月の亡骸に呼びかけていた。そして、響月は震月の目をそっと閉じさせた。


 「皆、行きましょう……だけど、これ以上は死なないで」


 響月は全員に忠告をした。これ以上死者を出さないために。

 響月は心に固く誓ったのだ、これ以上犠牲は出させないと………………

さて、今回は2人の犠牲者が出ました。震月と亰月です。

 亰月は前回から安否不明でしたが、今回で命を落としました。作中では書かれませんでしたが、亰月はみぞおちと肩に鉄骨を複数回刺され、出血多量で既に死にかけていました。それでも海月達が来るまで生きていたのは、亰月の強靭な精神力だったのでしょう。

 震月はほぼ無傷な状態でしたが、弾薬誘爆によって命を落としました。20.3cm臼砲を発射するための薬莢内の火薬と、砲弾の中に含まれている炸薬量は凄まじいものでした。その直撃を受けてなおギリギリで生きていた震月は、強靭な忍耐力を持っていたと言えます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ