表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女なる兵器 Act.1〈旧版〉  作者: 深瀬凪波
第二次龍鬼戦争
52/109

少女なる兵器 第34話「自己犠牲と友情」

これは、龍造と龍城が率いる氷島の反対側へ移動するための奇襲艦隊の場面である。龍造、龍城、亰龍、秋龍、雷龍、電龍の6人は陸上の戦車隊が、氷島の反対側に敵戦車を追い詰めた時に海上から艦砲射撃を加える作戦であったが、敵潜水艦の奇襲攻撃により龍城は………………

 海龍達が方向を変えて移動し始めた頃、龍造率いる奇襲部隊は氷島の裏側へ周ろうとしていた。作戦では、陸上部隊が島の反対側まで追い詰めた敵戦車隊を艦砲射撃で撃滅させることが任務であった。


 艦隊には龍造以外に、龍城、亰龍、秋龍、雷龍、電龍の5隻が編成されていた。その後方には、龍翔と龍彩を中核とした空母機動部隊がついてきていた。空母は安全圏から敵戦車隊に航空爆撃を行う。万が一にも敵艦隊が空母に近づこうものなら、神龍型駆逐艦が敵艦隊を薙ぎ払うようになっていた。


 しばらくして、氷島の反対側へ向かうルートの中間地点に差し掛かった。道中、敵艦隊と接敵することはなく順調に事が進んでいた。しかし、簡単にはいかないことが現実である。秋龍の逆探が敵潜水艦を複数隻捉えた。


 「龍造さん、龍城さん、近くに敵潜水艦が潜んでいるようです。」


 その言葉を聞いた龍造が全員に指示を出す。


 「艦隊、陣形を単横陣に移行!! 敵潜水艦の雷撃に注意せよ!!」


 龍造の指示で艦隊は単横陣へ移行した。単横陣とは、対潜水艦の陣形である。横一列に爆雷を投下し、爆雷の命中率を上げるための陣形だ。しかし、この中で潜水艦への攻撃手段を持っていたのは、秋龍、雷龍、電龍の三隻のみであった。それに対して敵潜水艦の反応は14もあった。


 ーさて、どうしたものか……雷龍と電龍はともかく、龍造さん達は対潜能力が無い…………ー


 秋龍がそんな事を考えている時だった。かすかな雷跡が赤く染まる海に映る。


 「敵潜水艦が魚雷を発射しました!! 回避行動を!!」


 秋龍が叫ぶ。その声で全員は回避行動を取った。魚雷は一発も当たること無く横を通り過ぎていった。


 ー今の方向、あそこか!!ー


 秋龍が魚雷の方向と深度を見て、敵潜水艦の大凡の位置を把握した。


 「ほら、沈みなさい!!」


 秋龍はベルトに固定してあった爆雷を手に取り、敵潜水艦が居るであろう位置に向かって爆雷を放り投げた。

 爆雷は水中で爆発した。それと同時に、高い悲鳴が聞こえてきた。敵潜水艦に命中したようだ。それと同時に、敵潜水艦の反応が1つ消える。


 「敵潜水艦、1隻撃沈しました!!」


 秋龍の報告と同時に、雷龍が爆雷を蹴り飛ばす。爆雷は遠くへ飛んで行き、水中で爆発した。またもや高い悲鳴が聞こえてくる。


 「敵潜水艦、1隻撃沈」


 その後も、秋龍、雷龍、電龍の活躍によって敵潜水艦は少しづつ撃沈されていった。


 「最後の敵潜水艦を撃沈。逆探にも反応はありません」


 雷龍が最後の敵潜水艦を撃沈し、脅威は去った。


 「艦隊、陣形を再び単縦陣に、引き続き氷島の反対側を目指す」


 龍造が指示を出して陣形を入れ替えている時だった。何処からかは分からないが魚雷が4発、雷龍に向かって突っ込んできた。


 「雷龍、危ない!!」


 龍城が雷龍の前に出た。それと同時に、龍城に魚雷が命中した。大きな水飛沫を上げ、魚雷は爆発した。


 「龍城さん!!」


 雷龍が叫んだ。水飛沫が治まると、そこには片膝を付いた龍城の姿があった。龍城は額から血を流していた。魚雷の破片が額を切り裂いたのだろう。


 「龍城!!」


 龍造が駆け寄ると、龍城は来るなと言わないばかりに手を前に出した。


 「龍造、貴女達は先に行きなさい。私は左舷スクリューがさっきの攻撃で破壊された。このままじゃ足手まといになる。だから行って!!」


 龍城は自身の状態を見て、龍造達に先に行くように伝えた。


 「えぇ、分かったわ。後で迎えに来るから必ず生きていてね」


 龍造はそれだけ言うと、亰龍達を連れて前進し始めた。


 ー黙っていてごめんなさいね。さっきの爆発で敵艦隊が周りに集まってきてる……私はそれを引き付けるから……だから……ね………………ー


 しばらくして、龍造達がある程度離れると龍造は艤装の主砲に手を添える。


 「何かと白銀色は嫌いだったけど、今は悪くはない…………ありがとう、龍造…………」


 龍造は、龍造への感謝の言葉を述べた。

 次の瞬間、龍城の目の色が変わる。


「主砲、それぞれ敵艦隊が近づいてくる方向へ旋回!! 高角砲、機銃は対空射撃用意!! さぁ、始めましょう…………」


 敵艦隊を迎え撃つべく、龍城は兵装へ指示を出した。兵装が指定した方角、方向を向くと、龍城は深く息を吸って叫んだ。


 「探照灯、照射開始!!」


 その言葉と同時に、煙突周りに取り付けられていた6基の探照灯が水平線と空を照らし始めた。照らす先には龍城へ向かってくる無数の魚雷艇と敵艦、無数の航空機が映った。


 龍造達は、龍城からかなり離れた所を航行していた。しかし、龍城のことが心配になり、龍造はふと後ろを振り返った。すると、6本の光が空と水平線を照らしていた。その先には、無数の魚雷艇と敵艦、無数の敵機がギリギリ目視で確認できた。そして、その光の発生源が龍城であることに龍造は気が付いた。


 「龍城……貴女………………」


 場所は龍城が居るところに戻る。龍城は測距儀と主砲を連動させ、敵艦隊の正確な進路方向を割り出した。


 「主砲、1番、3番、撃ち方始め!! 撃て!!」

 龍城の指示で1番砲塔と3番砲塔が魚雷艇に対して発砲した。しかし、魚雷艇の小柄な船体と速さで砲弾は躱されてしまう。それと同時に、敵巡洋艦が砲弾を打ち返してきた。回避ができない龍城は、2発の砲弾を喰らってしまう。


 「何のこれしき、これくらいでは龍城型は沈まない!!」


 しかし、魚雷艇は4方向から同時に攻めてきている。測距儀が反応できるのは一方向のみで、1番砲塔以外の主砲はほぼ感で撃っているに過ぎなかった。

 突如、龍城の探照灯が80度上を向く。そこには急降下爆撃の体制に入っていた敵機が複数機居た。


 「高角砲、機銃、撃ち方始め!! 薙ぎ払え!!」


 高角砲郡と機銃郡が対空射撃を開始する。しかし、迎撃が遅すぎた。数機を撃墜することに成功するも、それは爆弾が投下された後だった。

 龍城の艤装と左肩に爆弾が命中し、爆発した。


 「…………っ!!」


 龍城に痛みが走る。艤装はそこまで被害を被ることはなかったが、4番砲塔付近で火災が発生していた。

 大龍帝国艦艇の弱点……それは天板である。速力を上げるために天板装甲は極力削られていたのだ。その為に航空爆撃は大きな脅威であった。しかし、今回の場合は単独で航空機数百機と魚雷艇数百隻を相手しているのだ。


 龍城は分かっていたのだ。最初から勝目など無いと。それは兵器時代、初陣で航空機の猛攻撃を受けて沈没したを龍城だからこそ分かったことだ。しかし、龍城はそれでも意地を張ってみせた。


 「火災が何だ!! 航空爆撃が何だ!! 全て受けきってやる!! かかってきなさい!!」


 その後も、龍城への集中攻撃は続いた。龍城は度重なる攻撃で血だらけになり、対空兵装は全滅、2番砲塔と4番砲塔が大破して使用不可能となってしまった。


 「…………もぅ……ここまでか……………………」


 意識が朦朧とする中で、龍城は自身の最期を悟った。そして、敵艦から砲撃が放たれた。

 しかし、その砲弾が龍城を貫くことは無かった。龍城の目の前で砲弾が両断された。龍城が少し横を見て目を丸くした。そこには龍造が居た。


 「龍造……なんで……貴女がここに…………」

 「貴女を助けに来たのよ。さぁ、一緒に行きましょう」


 龍造はそう言いながらが龍城の止血をする。そして、龍造は龍城に方を貸して移動を始めた。

 しばらくすると、敵艦隊を殲滅した亰龍達と合流した。そして龍城は、合流した秋龍を見て目を丸くした。


 「秋龍……貴女……その目…………」


 秋龍の左目が縦一文字に切り裂かれていたのだ。


 「これですか、少し油断してそれで…………」


 傷の深さ的に失明しているのは明らかだった。

 龍城は自身を責めた。やはりあの時1人で死ねば良かったと思った瞬間、龍造が龍城の頭を叩いた。


 「龍城、提督と約束したでしょう? 全員生きて帰るって。既にそれは叶わないけど、今いる私達は何としてでも生きて帰るわよ」


 龍造は龍城の心の奥底を見据えていた。そして、暁翠に言われたことを思い出させた。


 「…………そうだったわね……生きて帰りましょう!!」


 龍城は力強く答えた。そして、再び氷島の反対側へ向けて龍造の方を借りて前進し始めた。


 ー龍造……ありがとう……………ー

今回も、龍城が自身の身を滅ぼして龍造達を進ませようとしました。今になっても龍城は過去の束縛から逃れられていない所があることが見受けられます。また、龍城には1つだけ引き出しがありますが、今回は相手が航空機だったこともあり使用しませんでした。果たしてその引き出しとは…………


さて、ここからはちょっとしたキャラクターの小ネタを言いましょう

今回初登場である亰龍、秋龍、雷龍、電龍の4人は、練度が何かと高いです。紀龍型2番艦の亰龍は紀龍と同じ区刀と短刀の扱いが得意です。秋龍、雷龍、電龍は風龍の妹であり、風龍から様々な技術を教え込まれています。今回は使わなかった合気道等も得意としています。中でも秋龍は頭がキレる方であり、状況判断の能力は風龍型の中では1番であります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ