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少女なる兵器 Act.1〈旧版〉  作者: 深瀬凪波
第二次龍鬼戦争
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少女なる兵器 第33話「死んだ彼女の為にも」

紫月と華月を氷島に送り届けるために敵艦隊を押さえつけている紀龍と斬龍が率いる護衛艦隊と敵の主力艦隊を叩くための水上戦車遊撃部隊。この2艦隊は撤退する紫月に近づく敵機に気が付き、護衛へと向かうも、その時には既に…………

 時は少し戻り、紫月が華月に別れを告げている時だった。紀龍率いる護衛艦隊、斬龍率いる水雷戦隊は、敵艦を次々と撃沈していた。


 「ねぇ、知ってた? ポニーテールって首を絞めるのに使えるのよ」


 紀龍は自身のポニーテールを使って、敵艦をじわじわ苦しめながらとどめを刺していた。


 「紀龍、効率が悪いから辞めなさい。後、完全に悪趣味よ」


 斬龍はそう言いながら、敵艦をゆっくりと刀でじわじわといたぶっていた。


 「斬龍、貴女こそ効率が悪いんじゃない?」

 「いえ、これは敵艦にこの世に生まれた痛みを刻みつけているだけであって………………」


 その瞬間、遠くで爆発音が聞こえた。その場に居た全員が振り向くと、何かが大爆発を起こしていた。その大爆発は、全員の心になにか不安を抱かせた。そう、紫月と華月が上陸作戦の為に向かった方向だったからだ。


 その場に居た全員が呆然としている間に、突如として無線が入る。無線をを受諾状態にすると、紫月の声が聞こえた。しかし、無線で告げられたのは耳を疑うことだった。


 「こちら紫月!! 全員に伝達する、軽空母型超戦車/華月型超戦車1号車 華月沈没!! 繰り返す、軽空母型超戦車/華月型超戦車1号車 華月沈没!!」


 華月が沈没したのだ。気がつけば、紀龍は絞め殺した敵艦を放していた。斬龍はその場に刀を落とし、駆逐艦達は呆然としていた。

 所属が違えど共に同じ釜の目費を食らった中だった。時には共感しあい、衝突したこともあった。


 そんな事を考えていると、突如対空電探が警告音を鳴らす。レーダーの反応に映る敵機の数を見る限り、何処かに空母機動部隊が隠れていることが分かった。

 しかし、問題はそれだけでなかった。その敵機編隊は撤退中の紫月に向かって接近していた。


 「全員直ぐに動け!! 紫月に危機が迫っている!!」


 紀龍が指示を出すとその場の空気が解かれ、全員は紫月を護るために動き出した。


 同じ頃、水月達が近くの海域を航行していた。水月達の役割は、氷島付近に展開している敵主力艦隊の殲滅であった。

 氷島付近を航行していると、遠くに人影が見えた。水月は双眼鏡を使い人影の存在を確認する。それは紫月だった。


 「夜桜姉さん、紫月がこちらに向かってきてます」


 水月は、旗艦である夜桜に人影が紫月であることを伝える。


 「そう……!!」


 夜桜が何かを言おうとした時、水上戦車遊撃部隊の電探に敵機の反応が出た。反応の方向を見ると、数百機の敵機がギリギリ目視で確認できた。


 「全員、急ぐわよ。紫月に危険が迫っている」


 夜桜の一言で、全員は紫月がいる方向へと進路を取った。

 その頃、紫月はただ闇雲に海域を彷徨っていた。爆撃により飛行カタパルトは大破し、対空電探も破壊されていた。残っていたのは8cm機関砲と、対空ミサイルが装填されていた試作型VLSのみだった。

 ふと左舷側に目を向けると、こっちに向かってくる数百機の敵機が目に入った。


 「チッ!! 機関砲、迎撃準備!! 射程に入り次第迎撃を開始せよ!!」


 その言葉と同時に、機関砲が迎撃を開始する。敵機は既に射程へ入っていたのだ。紫月は機関砲で弾幕を張るも数の差がありすぎた。次々に敵機が魚雷を投下し、その魚雷が紫月に命中してゆく。


 「仕方ない……VLS発射管開け!! 敵機へ向けて発射開始…………」


 紫月が発射指示を出そうとした瞬間、紫月の右手の甲に爆弾が命中した。激しい痛みを感じた紫月は、前に伸ばしていた右腕を反射的に少し曲げた。

 それと同時だった、どこからか複数の砲弾が飛翔してきた。その内の1発の砲弾は、紫月のVLS目掛けて一直線に向かってきた。


 ーえ? うそ? ダメダメダメダメダメダメダメダメー


 紫月にはそれがスローモーションに見えていたが、躱すことはできなかった。

 そのままVLSに砲弾が命中し、VLSに装填されていた対空ミサイルが誘爆を起こした。


 「ゔぅっ……!!」


 紫月の腕に言葉にできない激痛が走った。あまりの痛さに、紫月はその場に座り込んでしまった。

 数秒後、爆発煙が晴れた。この時紫月は違和感を覚えた。右腕の感覚が無いのだ。紫月は覚悟を決めて右腕を見た。しかし、そこには紫月にとって認めたくない光景が目に入った。


 「え?」


 あるはずの右腕が存在していなかったのだ。取り付けられていたVLSの距離が近かったのが原因だろう、VLS内の対空ミサイルの誘爆が別のVLSの対空ミサイルに誘爆し、その爆発の威力により右腕は跡形も無く消え去ってしまっていた。

 紫月は史実を受け止めきれず、右腕があった場所に手を添える。しかし、あったのは激痛と流れ出る血であった。


 「あ……ああ……嘘だ……嘘だ………………」


 紫月は半錯乱状態になっていた。そこで、紫月の脳裏に華月の言葉が過った。


 ー紫月、貴女には未来がある。私は兵器時代十分に生きた。けど貴方は進水からたった3日で沈んでしまった。せめて、貴女だけでも…………ー

 「そうでした……私は死ねないんです。私を守るために死んだ華月の為にも。腕を失ったから何だ!! 残った対空兵装で叩きのめしてやる!! かかってきなさい!!」


 その言葉と同時に、敵機が紫月に襲いかった。紫月は機関砲を上に向け、対空戦闘を開始しようとした。

 その時だった、突如敵機が大きな爆発と共に撃墜された。


 「紫月、貴方はよく頑張った。後は任せておいてちょうだい!!」


 水月達だった。紫月に攻撃が開始される前に間に合ったのだ。


 「夜月、弥月、貴女達は紫月に手当をお願い」

 水月の指示で、夜月と弥月が紫月の手当に当たる。その間に、水月達は敵機を次々と墜としていく。

 「夜月……弥月……ごめんなさい……私……華月を守れませんでした…………」


 紫月が夜月と弥月に謝罪する。


 「謝らないでください。華月姉さんは身を挺して紫月さんを守りました」

 「だったら、華月姉さんに預けられたその命を有意義に使ってください」


 夜月と弥月はそれだけ言うと、黙々と紫月の止血を進めた。


 ーあぁ……華月…………貴女は良い妹を持ちましたね……私を生かしてくれてありがとう……貴女の分までしっかりと生きます……だから……あちらで見守っていてください………………ー

今回は沈没までとは行きませんでしたが、紫月が片腕を失ってしまいました。紫月に搭載されていたVLSは試作型であり、自爆が多い代物でした。しかし、今回は敵戦艦の砲撃により対空ミサイルが誘爆し、紫月は爆発の威力で片腕を失いました。さて、紫月の今後はどうなるのでしょうか…………


※メタい話すると、この作品を思いついた時点で紫月の片腕欠損は決定していました

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