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少女なる兵器 Act.1〈旧版〉  作者: 深瀬凪波
第二次龍鬼戦争
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少女なる兵器 第32話「戻れぬ潜航」

これは、海龍が率いる潜水戦隊の場面である。海龍達は敵に気付かれずに敵艦隊を奇襲攻撃する手はずとなっていた。しかし、吸血鬼の血が混ざった赤く染まる海でアンテナ型電探が使えない状態になってしまっていた。電探が使えないため、状況を確認するために浮上した海龍であったが、それは悲劇の始まりであった…………

 紫月達が上陸作戦を行っていた頃、海龍達は密かに敵艦隊が密集していると予測される地点へと向かっていた。

 潜水艦での隠密行動とは難易度が高い。それもそのはずだ、水中からだと水上の様子が分からない。そして、集団隠密行動をしている以上、水中音波機などは使えない。発見されてしまうと、爆雷の集中攻撃を受ける可能性があるからだ。

 しかし、海龍型潜水艦には72式アンテナ型電探が装備されていた。これは、海中から水上に向けて伸ばすことにより水上電探とほぼ同じ機能を果たすものだ。海龍はこれを駆使して敵艦の位置を探っていた。

 しかし、問題が起きていた。


 ーおかしい……敵艦の位置どころか周囲の地形すら分からない…………ー


 72式アンテナ型電探が機能していなかったのだ。実は、赤く染まった海の海水に含まれる「吸血鬼の血」により電探の機能が阻害されていた。


 「我、電探が使えないため浮上して周囲を確認する」


 海龍は浮上して周囲を確認する事を選択した。無線を使い、浮上することを全員に伝達すると、海龍は浮上を始めた。

 そして、海面海面から顔を出した。しかし、海龍は浮上した瞬間血相を変えた。なぜなら、海龍の目の前には一発の爆雷が降ってきていたのだから。「ドォォォォォォン!!」と爆発音が海中に響く。海龍は緊急潜航を開始し、煌龍達が居る深度まで戻った。


 戻ってきた海龍の顔を見た煌龍達は絶句した。水中でも分かるほどに頭から血が流れていたからだ。そのような状態でも、海龍は適切な指示を飛ばす。


 「今すぐにこの海域から撤退する!! おそらく敵水雷戦隊に行動が読まれてる」


 海龍が無線を飛ばすと、海龍達は爆雷が飛んできた方向から九90度それた方向へ進路を切った。

 その次の瞬間だった、海面から何が沈んでくるのが確認できた。それは爆雷だった。


 「爆雷投下を確認!! 全員、回避行動!!」


 海龍は無線で指示を飛ばすも、肝心の自分は回避できていなかった。それもそのはずだ、海龍は先の直撃が原因視界がほぼ見えていなかった。海龍は度重なる至近爆発でまともに動けなくなってしまった。そしてついには、海龍の真横に爆雷がきてしまった。


 ーここまでか……………ー


 海龍が死を悟った次の瞬間、海龍を投げ飛ばす……いや、この表現が正しいのかは分からないが、投げ飛ばす者が居た。それは榛龍だった。次の瞬間、榛龍は爆雷の直撃を受けた。


 「榛龍!!」


 海龍が叫ぶも水中では声は届かない。しかし榛龍は何かを読み取ったのか、海龍に無線を送る。


 「海龍姉さん、緊急浮上します。敵の砲火を引き付けるので、その間に敵を壊滅させてください」


 そう無線で送ると、榛龍は緊急浮上を始めた。海龍は榛龍の意思を汲み取り、全員に無線を入れた。


 「全員、直に敵艦隊を発見せよ!! 榛龍が時間を稼いでくれる。急いで!!」


 海龍の指示を聞いた全員は、敵艦隊捜索に動き出した。それと同時に、榛龍が海中から姿を現した。榛龍は、浮上と同時に捉えた敵艦隊へ向けて25mm単装機銃を掃射し始める。しかし、弾丸は敵艦の装甲を貫通するには至らない。敵艦隊はそのまま反撃の砲撃を開始した。砲撃は榛龍に命中こそしなかったが、至近弾の爆発は榛龍の艤装にダージを蓄積させていった。


 一方海中では灣龍が敵艦隊を捉えていた。すぐに情報が無線で伝達され、海龍達は魚雷を放つ。合計49本の魚雷は、敵艦隊を一瞬で海の藻屑へと変えた。敵艦隊の轟沈を確認した海龍は、浮上してその場に膝を付いた榛龍へと駆け寄った。


 「榛龍!! 早く手当てを!!」


 海龍は焦りながら、榛龍の怪我をしている箇所にガーゼを当て、包帯を巻き始める。


 「海龍姉さん……ありが……………」


 それは、余りにも一瞬の出来事だった。榛龍が海龍に礼を述べようとした瞬間、榛龍の心臓付近を砲弾が過貫通し、榛龍の体に風穴を開けた。榛龍は激しく吐血すると、後ろに倒れた。


 「榛龍!!」


 海龍が叫ぶ。すると、榛龍は震えながら海龍の手を掴んだ。そのまま、榛龍は掠れた声で海龍に向けて話し出す。


 「海……龍……姉さ……ん……逃……げて…………」

 「何言ってるの!! そんな事できる訳…………」


 海龍の言葉を遮るように、砲弾が近くに着弾する。もう時間がないことを理解した榛龍は海龍の頬に手をかざす。


 「海……龍……姉……さん……もう……いいの……だから…………」

 その言葉を聞いた海龍は、涙を流しながら春龍をそっと抱きしめた。


 「海龍……姉……さん……あり……が……と……う…………………………」


 その言葉を最後に、榛龍の目から光が消えた。海龍は榛龍の亡骸をその場に寝かせると、そっと目を閉じさせた。そして直に、海龍は水中へと潜航した。


 水中に潜ると直ぐ、追撃の爆雷が投下された。海龍達は回避行動を取り、爆雷を回避した。

 しばらく回避行動を続けると、敵艦隊の追撃が止んだ。おかしいと思い、海龍は水面から顔を出すも、敵艦隊は発見できなかった。海龍は水中に戻り、全員を集合させる。


 「皆無事……よね?」


 海龍はそう言いながら、全員の顔を見渡す。見渡すなかには、深刻そうな顔をした陳龍の顔があった。


 「陳龍、何かあったの?」


 陳龍は口を開こうとするも、言葉が詰まって上手く話すことができなかった。しかし、陳龍は覚悟を決めて口を開き、言葉を絞り出す。


 「潼龍が……沈んだわ…………」


 陳龍の口から出た言葉は衝撃的な物だった。海龍自身が知らない所で、妹の潼龍が沈んでしまったのだ。そこからは陳龍が見た潼龍の最期が語られた。陳龍も爆雷の回避行動を取り、爆雷の至近弾を受けないようにしていたそうだ。次の爆雷投下を確認するために、ふと横を向いた時だった。潼龍に爆雷が直撃する光景が目に入った。潼龍は艤装が破壊され、緊急浮上すら行えない状態に陥った。さらに、潼龍の艤装に浸水が始まり、徐々に海底へ向かって沈んでゆく。潼龍は、こちらを見る陳龍を見つけると、無線で「またね」とだけ陳龍に送った。


 「それで……そのまま……潼龍は………………」

 「陳龍……もう良いわ……無理をしないで…………」


 海龍は陳龍を優しく抱きしめた。


 「皆、生きましょう……榛龍と潼龍の為にも……………」


 陳龍を抱きしめたま、海龍は指示を出す。陳龍が海龍から離れると、海龍が先頭になって進撃を再開した。

 海龍型潜水艦18番艦 榛龍、35番艦 潼龍は赤く染まった海の暗い水底へと沈んでいった………………

ということで、今回は2人が沈みました。どちらも初登場であったキャラクターですが、海龍型は50隻の同型艦数が居ます。このような形でも登場の機会がこれからも出てくるので、海龍姉妹の歩む道を見守って上げてください

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