少女なる兵器 第25話「京華の対応」
京華が鎮守府に来てから、水月達の生活は少し変化した。それだけでなく、京華は何事にも世話を焼いてくれた。数日の間の日々は、水月達にとってかけがえのないものになる……………………
水月は、京華が鎮守府に来てから、何かと生活環境が変わった気がした。いつも自分達がしていることを、基本的に京華が一人で片付けてしまっているからである。それどころか、京華は水月達の世話を焼いてくれている。朝食の自宅から、書類仕事までのほとんどが京華がやってくれていた。空いた時間で、それぞれは演習の実施や旧大龍帝国の戦闘詳報を読み漁って、戦術を学んでいた。
水月は、新年早々から鎮守府の中を見回っていた。理由は特に無く、ただの気まぐれであった。そんな中、鎮守府の門近くを通りかかった時、いつものように龍造と龍城が剣術の訓練をしていた。そこへ、鎮守府の本部から京華が出てきた。京華は出てくるなり、龍造と龍城の剣術訓練を手伝い始めた。水月には、何を言っているかは聞こえなかったが、京華が斬り方の変化型を訓えているのは見て分かった。
それから数分後、指導を終えた京華が水月に近寄ってきた。京華は近寄ってくるなり、水月に見ていた理由を聞き始めた。
「どうかしたの? ずっと見ていたみたいだけど?」
水月は、京華にどうしてそこまで尽くしてくれるのかと、疑問に思っていたことを話した。すると京華は、少し微笑みながら話し始めた。
「貴女達って、日々努力しているじゃない。それを見てると、せめて、その努力できる時間を増やしてあげたいと思うの。ただそれだけよ。」
京華が答えた理由は、単純なものだったが、その心には、尽きぬ優しさと愛情が含まれていた。その時だった、暁翠が慌ててこちらに走ってきた。
「京華、すまないが急いで薬品調合室に来てくれ。海龍の容体が悪化した。」
その言葉を聞いた京華は、暁翠と共に鎮守府本部内へ走って行った。
後から聞いた話だが、海龍の放射線病が悪化したらしく、訓練中に吐血したそうだ。暁翠と京華が調合した薬により、さらなる悪化は防がれ、徐々に回復しているそうだが、それでもしばらくは、布団から起き上がれないらしい。水月は、心の何処かで不安を覚えていた。
翌日、水月は海龍の妹である、清龍、潮流と共に、鎮守府から数キロ離れた沖合に来ていた。水月自身が、清流と潮流に頼み込んで、演習に付き合ってもらっていた。
間もなくして、演習が始まると。清龍、潮流は潜航を開始した。水月には、逆探が備わっていないため、二人の位置は把握できなかった。頼りになるのは、己の感と雷跡だけだった。
数分後…………水月は、未だに二人の位置を把握できていなかった。水月は、二人の位置を探り当てようと、移動を開始しようとしたその時だった。水月はとっさに爆雷を発射する。爆雷は、着水と同時に爆発し、大きな水飛沫を上げた。水飛沫の中から魚雷が現れ、水月の横を通り過ぎていった。爆雷よ爆発により、進路が逸れたようだった。しかし、安心はできなかった。清龍、潮龍は別々に行動している可能性だってあり得た。水月は、焦りをあらわにしていた。その時だった、空から声が聞こえてきた。
「心を水と同化させてみなさい。そうすれば、自然と水中の中が分かるようになるわ。」
その声は、京華の声だったが、姿は何処にも見えなかった。しかし、水月に迷っている暇はないため、心の中を一度無に返し、水に心を寄せようとした。すると、波の音に混じって、スクリュー音が聞こえてきた。水月は、すかさず音のする方向へ爆雷を発射させた。爆雷が爆発して、数秒すると、清龍が浮上して来た。清龍は、自らを大破判定と断定し、その場で仰向けになった。
「なるべく消音を徹底したつもりだったのに、バレちゃったわね。」
清龍は、悔しそうにしていたが、同時に少し嬉しそうにしていた。
清龍の言葉の直後、水月は、清龍と反対方向に爆雷を発射した。爆雷の爆雷後、潮龍が浮上して来た。
「負けちゃったわね。こっちも消音を徹底したのに。」
潮龍も悔しそうにしていたが、まんざらでも無かったようだった。
その後、鎮守府に戻った水月は、真っ先に京華の元へ行った。京華を見つけると、声がしたことに対して京華に聞いた。すると、京華は少し口角を上げて答えた。
「ちょっとね、妖術を使って話しかけさせてもらったわ。だって貴女、素質があったから。」
京華がいった言葉を、水月は理解できていなかった。しかし、京華の次の言葉で、水月は全てを理解した。
「貴女には、おそらく水龍の血が流れてるのよ。ほんの少しだけどね。でも、それだけでも水の流れ読んだり、感じることはできそうだったから。」
水月は、自分の血に、水龍の血筋があった事に驚いていたが、それと同時に、波の音に混ざって聞こえたスクリュー音に納得していた。それからしばらく、水月と京華は話し合っていた。
しばらくして、京華が鎮守府を去る日が来た。その日は、全員が廊下の窓から、京華の様子を見ていた。しかし、水月と龍造だけは、暁翠に門前までついてくるように言われていた。門前の前で、別れの挨拶を済ませると、京華が暁翠に話しかけた。
「暁翠様、私が依頼した例のアレはできているのでしょうか?」
その問いに対して、暁翠は口角を上げて答える。
「あぁ、しっかりと仕上げてあるさ。」
すると、暁翠はすぐ隣にあるガレージのシャッターを上げる。すると、中には濃緑色の軽トラックのようなものが駐車されていた。
「お前に依頼された、機動トラックだ。最大時速は120km/sまで出せるように設計してある。鋼材には、龍甲丙三型を使っているから、そこそこの硬さはある。」
「ありがとうございます。暁翠様。」
暁翠の言葉を聞いた京華は、笑顔で暁翠にお礼を述べた。京華は、機動トラックに乗ると、エンジンを掛けて、出発の準備を整えた。京華は、門を出る前に、鎮守府本社に居る全員と、暁翠達に手を振り、鎮守府を後にした。
投稿期間が空いてしまい、申し訳ございませんでした。リアルの都合上、これからもどんどん投稿ペースが下がっていくと思いますが、楽しみに次回の投稿を待っていただけると幸いです。そして、この「少女なる兵器」も、いよいよ中盤に近くなってきました。今後のストーリーにご期待ください。




