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少女なる兵器 Act.1〈旧版〉  作者: 深瀬凪波
第二次龍鬼戦争
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少女なる兵器 第24話「水面に映る月のように」

水月にとって二度目の年末であった。水月はやるべきことを終えていた為、龍造と共に門の警備を任されていた。そしてこの年末は、暁翠な鎮守府にとある一人の人を招待していた。その人は、水月達のあり方を大きく変えてゆく………………

 時が過ぎるのは早い。水月にとって、二度目の年末がやってきた。年末はやはり忙しく、それぞれが鎮守府内の清掃にあたっていた。そんな中、自室と担当場所の掃除を終えた水月は、龍造と共に門前の警備にあたっていた。水月は、警備をしながら、考え事をしていた。

 「今日の昼頃、提督服姿の女性が来たら合言葉を答えるように言ってくれ。そして、「古日人龍化」と答えたら通してくれ。」

 暁翠の言った、提督服姿の女性の存在が気になっていた。間もなくして、昼頃に差し掛かった時だった。水月と龍造の前に、提督服姿の女性が現れた。水月が合言葉を問うと、女性は「古日人龍化」と、暁翠が言った合言葉を答えた。二人は、暁翠の指示道理に、その女性を中に入れた。

 それからしばらく時間経ち、夕方になった頃に警備が終った。水月は自室に戻り、風呂に入ってから食堂へ向かった。

 食堂に着くと、既に大半の娘達が集まっており、それぞれの話で盛り上がっているようだった。少し微笑みながら、水月は椅子に座る。

 それからしばらくして、全員が食堂に集合した。タイミングを見計らった暁翠が、食堂の扉を開けて入ってくる。

 「全員、今年もよく頑張ってくれた。今回も、1月3日まで休暇が与えられているから、それまでの間ゆっくりと休んで欲しい。それともう一つ、今回はある人をここに呼んでいる。」

 暁翠がそう言うと、食堂の扉から、提督服姿の女性が入って来た。暁翠が、自己紹介を話すように言うと、彼女は自己紹介を始めた。

 「始めまして、水無月京華と申します。今日から3日間、この鎮守府で滞在しますので、何卒よろしくお願いします。」

 彼女は、水無月京華と名乗った。提督帽で隠していた目は、澄んだ青い色をしていた。そして、提督服の肩には、大日本帝国海軍元帥の階級が刻まれていた。

 それから間もなくして、食堂は宴会状態になっていた。ほとんどの娘達が酔っていたが、暁翠と京華は酔わずに話し続けていた。酔わない体質であった水月は、その会話の内容を聞こうとしていたが、その会話は周りの声により掻き消されて中々聞こえない。諦めて水月が目を逸らすと、背後から声がした。

 「少し良いかしら?」

 慌てて後ろを振り返ると、さっきまで暁翠と同じ席に座っていた京華が立っていた。水月は戸惑いながらも京華について行った。

 場所が変わって、暁翠、京華、水月の三人は、旧大龍帝国本土へ来ていた。京華を先頭に、三人は軍港跡地の船着場跡へ来た。船着場跡は静かで、まるで時が止まってしまったかのようだった。月の明りが水面で反射して、その場はより静寂さを放っていた。そんな中、京華が自身の思い出話を始める。

 「ここ、舞鶴の船着場によく似てるの……300年前のことだけど、まるであの日に戻ったみたい…………」

 京華の口から語られたものは、第二次世界大戦中の記憶の一部だった。海軍元帥まで駆け上がった京華だが、戦地で兄を失い、大切にしていた部下達を特攻へと行かせてしまった時の記憶が、彼女を約300年間もの間も縛り続けていた。

 「水無月さん、前に進みましょう。きっと、彼らも水無月さんが前に歩みだすことを願っているはずです。」

 水月は、京華が話を終えたタイミングで、そっと語りかけた。その言葉を聞いた京華は、自然と目から涙が流れていた。京華は涙を拭うと、微笑みながら突然海に飛び込んだ。水月はその行動に驚いたが、水面に仰向けに浮かぶ京華の顔は笑顔だった。

 「こんなに清々しいのはいついらいかしら……ありがとうね、水月…………」

 そう言いながら京華は、右手で水を手ですくうように上に上げる。その時の京華の青い目は、月明かりに照らされて、月明かりに照らされた海のように輝いていた。

 それから暁翠は、京華を陸へ引き上げ、旧大龍帝国の自室へ連れて行き、風呂に入らせた。水月は暁翠に、旧大龍帝国の状態を照らし合わせて旧大龍帝国の使用許可を訪ねてきた。

 「見つからなければ大丈夫だ。」

 水月は苦笑いしながら、京華の濡れた提督服を高速洗濯機に入れた。そうして、京華が風呂から上がる頃には年が開けていた。京華が着替え終わると、その場の流れで天翔神社へ行くこととなった。

 天翔神社に着くと、昼間とは違う空気が漂っていた。それは表現しがたい静寂さだった。船着場跡の静寂さとは何が違った。それは水月自身も分かっていなかった。そう考えながら、天翔神社で参拝を終え、鎮守府へ帰ろうとした時だった。天翔神社の中から霊花が出てきた。

 「叔父上、少しばかし時間を貰っても良いか? 今宵は……いや、ここで話すわけにはいかぬな。」

 霊花は、途中で話すことをやめたが、暁翠には何を言おうとしたか分かっていた。暁翠は、京華と水月に先に変えるように指示を出すと、天翔神社の中へ入って行った。京華は直ぐ様ゲートを展開して、水月と共に天翔神社へ戻った。

 ゲートを潜って鎮守府に戻ると、そこは執務室前だった。水月がゲートの方向へ振り返ると、京華の姿を見て驚いた。京華の耳上付近から、龍の角が生えていた。京華は角に気がつくと、慌てて角を引っ込めた。

 「妖術を使ったり、ゲートを開く時にはどうしても角が出てしまうの…………」

 京華は恥ずかしそうに答えた。どうやら、角を見られるのはあまり好きでは無いようだ。水月は黙って頷き、京華と共に食堂へ戻った。

 食堂に戻ると、食堂内は一部を除いて爆睡状態だった。水月は、去年のことを思い出しながら、起きている全員で眠ってしまった娘達を部屋へ運び込む。そうして、自身達も自室へ戻ると、そのまま眠りについた。しかし、水月は眠りにつく前に、妙な声が聞こえてきたのを覚えた。


 ー………………いつか…………いつか目にもの見せてあげる……………………ー

ここでも登場する新しいキャラクター。皆様、そろそろ頭が混乱してきましたか? これからも、未登場のキャラクターの名前が大勢出てくるので、頑張って覚えていただけると幸いです。

さて、今回の新キャラクター「水無月京華」は、急遽登場が決まりました。なぜ登場させるに至ったかは、京華のストーリーを考えている上で思いつきましたが、それはまた別の話です。ドイツ架空戦記の完結と同時に、京華の人間だった頃のストーリーを書き始めようと思いますので、楽しみにしていただけたら幸いです。

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