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少女なる兵器 Act.1〈旧版〉  作者: 深瀬凪波
第二次龍鬼戦争
37/109

少女なる兵器 第19話「差し込む光」

輸月が死に、暗い空気が立ち込めた鎮守府、その中で起こったハプニングの数々が、鎮守府の暗い空気を解いていく…………

 輸月が死亡し、鎮守府には暗い影が落ちた。暁翠は、輸月を失ったあまり、無理な執務仕事をしていた。

 ー元帥も、他の娘達も完全に落ち込んでいる……何とかしないと…………ー

 水月は、この状況を冷静に見ていた。しかし、また、水月も冷静を維持することが精一杯だった。所属が違えど、輸月と過ごした時間は水月にとっても変わらなかったからだ。

 張り詰めた空気が続いて数日後、暁翠と水月は、大量の書類を抱えて、廊下を歩いていた。

 「元帥……子の大量の書類は何ですか?」

 水月の質問に、暁翠は直ぐに答えを返す。

 「また、鎮守府関係ない書類でも混ざって…………」

 その時だった、無理な執務仕事を重ねていた暁翠の腰に激痛が走った。原因は長い間椅子に座り続けた事だった。バランスを崩した暁翠が水月のいる方向に倒れる。

 「え?」

 水月も咄嗟のことで反応ができなかった。暁翠が倒れたことにより、手に持っていた書類が辺りに散乱する。しかし、暁翠は倒れる時に手を壁に着いていた為、壁にもたれている状態だった。しかし、それだけではなかった。支えている腕の間に水月がいたのである。

 「すまない、水月……」

 暁翠は、反射的に水月に謝った。

 「だ、大丈夫です……元帥……」

 水月は、かなり混乱しているようだった。無理もないだろう、突然このようなことが起こるなど予想もできるはずなかったのだから。

 「水月……助けを呼んできてくれないか……腰が…………」

 暁翠が、水月に助けを呼んできてほしいと頼み込んだ。

 「あ、あの……元帥……大変言いづらいんですが……私……腰が抜けました……」

 どうやら水月は、暁翠との状況に驚いて腰を抜かしてしまったようだった。

 「元帥……どうすれば……」

 水月が、暁翠に尋ねた時だった。直ぐ側から何かが落ちる音が聞こえた。二人がその方向を向くと、紫月が書類を落として驚いていた。

 「紫月、丁度いい所に…………」

 暁翠が、紫月に助けを求めようとした瞬間、紫月が悲鳴を上げる。

 「いやぁぁぁぁぁぁ!! ななな何してるんですか!? こんな廊下のど真ん中で堂々と……龍城さぁぁぁぁぁぁん!!」

 叫びながら、紫月は来た方向に走り去っていった。

 「待て、紫月!! 誤解だ!!」

 暁翠が叫ぶも、紫月に声は届かなかったようだ。その時、演習を終えた冥月が通りかかった。水月は冥月に向って叫ぶ。

 「冥月、少し助けて…………」

 二人を見た途端、冥月が叫ぶ。

 「夜桜姉さん!! 少しこっちに来て!!」

 冥月の声を聞いて、直ぐに夜桜が現れる。

 「どうしたの? 冥月…………」

 夜桜は、二人の状態を見てその場で固まった。

 「夜桜姉さ…………」

 水月が、夜桜に話し掛けようとした時だった。夜桜が怒りを露わにする。

 「元帥……私の妹に何してるんですかぁ?」

 怒りを露わにした夜桜が、ゆっくりと暁翠に歩み寄ってくる。

 「ま、待て、夜桜、誤解だ!!」

 「そうよ、夜桜姉さん、誤解よ!!」

 二人の声が被る。夜桜は、水月の言葉に耳を傾けた。

 「どういう事? 水月?」

 「俺が腰を痛めてこの状況に、水月は腰を抜かして動けない状況だ。とりあえず水月を支えてやってくれ。」

 暁翠が、夜桜に状況を説明する。夜桜は状況をすぐに理解し、水月を支えて暁翠の腕の間から移動させる。それを確認すると、暁翠は壁から手を話して床に倒れた。

 「元帥!? 大丈夫ですか!?」

 夜桜に支えられた水月が暁翠に向って叫ぶ。

 「大丈夫だ、俺の事はそのまま放っておいてくれ。」

 「いえ、それは駄目です。」

 そう言って、水月は夜桜の肩から離れると震える足で、暁翠の元まで歩み寄る。

 「水月、何をしているんだ、お前はゆっくりしていれば…………」

 「駄目です、医務室に行きましょう。」

 水月は、暁翠の言葉を遮り、自身の肩を貸して暁翠を支える。そのまま、水月は震える足で暁翠を医務室に運び始めた。医務室に移動している間に、暁翠は少し笑っていた。

 「元帥、どうかされましたか?」

 「もしかしたら、輸月が怒ったのかもしれないと思ってな…………「しっかりしろ」ってな。」

 「…………そうかもしれませんね、輸月は真面目でしたから。」

 気付けば、暁翠の顔からは暗い表情は消えていた。

 そうしている内に、二人は医務室に着いた。暁翠は、医務室の医療棚の中から腰痛用塗り薬を取り出して腰に塗る。

 「水月、すまなかったな。」

 「いえ、大丈夫です。ですが、今後無理だけはしないでくださいね。」

 「あぁ、分かった。」

 暁翠は水月の言葉を受け止めると立ち上がろうとした。しかし、期待のはすぐに体制を崩す。それを見ていた水月は、暁翠を再び支える。

 「今日はもう休みましょう。何かあれば私に言ってくださいね。」

 「あぁ、そうだな。少しばかり言葉に甘えるとしよう。」

 暁翠は、少し笑いながら水月に言葉を返した。

 水月は、暁翠を支えたまま医務室を出た。その瞬間、廊下の奥の方から紫月の叫び声が聞こえてきた。

 「龍城さん、居ました、あそこです!」

 その言葉と同時に、龍城がこっちに向って走ってきた。

 「提督、紫月から報告がありましたがどういう事ですか? 提督がそのようなことをするとは到底思えないのですが?」

 龍城は、紫月が勘違いして伝えた報告を確かめに来たようだった。それに対して、暁翠が答えるより早く、水月が答えた。

 「あれは、ちょっとした事故よ。元帥は紫月に状態を伝えようとしましたが紫月は慌てて走っていったので勘違いをしていると思うわ。」

 「分かったわ。では、私は紫月に軽く説教を解くとしましょう。」

 そういうと、龍城は紫月が居る方向に歩き去っていった。

 その後、水月は暁翠を部屋に送り届けると、一時的に自室へ戻った。自室に戻ると、机の上にカレーが置かれていた。どうやら、夜桜からの差し入れらしい。

 「夜桜姉さん……ありがとう。」

 水月は手を洗うと、夜桜が置いていってくれたカレーを口にした。一口目を飲み込んだ直後、水月は激しく吐血した。それと同時に、冥月が水月の自室に入ってきた。

 「水月姉さん、少し話が……………水月姉さん!? どうしたの!? とりあえず医務室に!!」

 冥月が急いで水月を医務室へ連れて行く。医務室に着くと、冥月は医務室にある電話で暁翠に連絡をいれる。報告を聞いた暁翠は、震える足で医務室へ来た。その頃には、水月の吐血は収まっていた。

 「水月、何があったんだ?」

 水月は、少しの沈黙の後、何があったかを話し始めた。

 「…………夜桜姉さんが……差し入れてくれたカレーを食べたら突然………………」

 丁度その時だった。夜桜が医務室に駆け込んできた。

 「水月!? 大丈夫なの!?」

 それと同時に、暁翠が夜桜に問を投げる。

 「夜桜、お前カレーに何を入れたんだ?」

 「え? 確か、玉ねぎ、人参、じゃがいも、後は燃料をちょっと…………」

 最後の言葉に、暁翠は恐る恐る質問する。

 「まさかとは思うが、燃料をカレーの中に混ぜたんじゃないんだろうな?」

 「そうですけど?」

 夜桜は、なんのきょとんとしながら答える。その言葉を聞いた暁翠は、顔に手を当てて下を向いていた。

 「夜桜……燃料は艤装の中に入れるものであって、食事に入れる物では無いぞ…………」

 「え!?」

 どうやら夜桜は、燃料=自分達の食事調味料だと思っていたらしい。

 「夜桜姉さん…………私は大丈夫だから……次から気をつけてちょうだい…………」

 「ごめんなさい、水月…………」

 夜桜は、水月に謝罪をすると、冥月と共に医務室を出ていった。

 「水月、少し胃カメラで喉を確認して良いか? 龍双眼で内部を見たところ、喉にしかダメージは入っていないようだ。」

 「はい……分かりました…………」

 水月の了承を得ると、暁翠は胃カメラを持ってきた。

 「水月、横になった状態のまま口を開けておいてくれ。」

 水月は、暁翠の指示に従い、横になったまま口を開ける。そこへ、暁翠が胃カメラを差し込む。

 「成程、喉が全体的にやられている感じか。水月、食事は食べやすいものにするか。後、しばらくは安全にするように。」

 「ふぁい……」

 様々なことが度重なって起こる中、吸血姫の怨霊は、少しずつ着実に勢力を拡大させていた。

夜桜の手料理……恐るべし…………ここで初めて炸裂する夜桜の「ド」がつく天然さ、しかしながら、夜桜は戦闘になるとその圧倒的火力と射程を持って敵を葬ります。

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