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少女なる兵器 Act.1〈旧版〉  作者: 深瀬凪波
第三次龍鬼戦争
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第七十三話 未知の侵略 ②

 鎮守府正面玄関広場には、武装を終えた者達が集まっていた。これから始まるであろう、未知の存在との戦いに、不安が残るところがあった。

 その例として、海龍の姉妹の多くが、不安に支配されていた。これまで経験したことのない陸上戦に、対応できるかどうか分からないからだ。さらには、姉が不在ということも重なり、不安は増すばかりであった。

 その一方で、腹を括っている者もいた。元より気が強い者達が主だが、元より気の弱い者も、第二の故郷である鎮守府を守るため、自らを鼓舞していた。


 やがて、鎮守府本部の階段から、鎧に身を包んだ一人の男が下りてきた。その後ろには、戦争が終ってからの一年間で、何度か見たことのある顔の物もいる。

 男は鎮守府本部の玄関から一歩踏み出したところで止まり、グレートヘルムのバイザー部分を開いた。戦士達がそこで見たものは、鎮守府の主の顔だ。


 「お前達、先ほど紫桜から伝達されたように、謎の街に超大型飛行物体が飛来した。そこから解き放たれた謎の存在により、街は壊滅的被害を負った」


 鎮守府の主の言葉に、一部の者はざわついた。この短時間で、街を破壊した謎の存在に、今の実力で勝てるのかという疑問が浮上した。

 無論、鎮守府の主は、このざわめきが生じることを予想していた。無理もない。陸軍の者はともかく、海軍の者は陸上での戦闘経験がないのだ。

 だが、ここでこ行動に出なければ、被害は確実に広がる。そして、ざわめく声を掻き消すように、鎮守府の主は言葉を続けた。


 「勝てるか勝てないかではない。守るんだ。第二の故郷である鎮守府を。我々を差別せず、良くしてくれた人々を」


 その言葉により、ざわめきは消えた。その言葉は、あまりにも重かった。そして、戦士達に、覚悟を決めさせるには十分な言葉だった。


 「今は、辛く苦しいかもしれない。だが、これを乗り越えた時、美しいと思える世界が広がるはずだ。だから……」


 鎮守府の主の言葉は、激励の言葉へと移ろうとしていた。それは、本来ならば、戦士達の士気を上げるはずだった。しかし、何事も上手くいかなず、常に理不尽の雨が降り注ぐのが、この世界の鉄則だ。


 ―――鎮守府の主の背後に現れたそれは、誰も認識できていなかった。鎮守府の主である、暁翠よりも、高い空間認識の能力を持つ霊花でさえ、それを認識するのに時間が掛かった。

 そして、その場の全員が、それを認識できた時、鎮守府の主は爆発とともに吹き飛ばされていた。その爆発は、これまでに見たことのない、金色の光を放っている。異常なのは、明らかだ。

 その次の刹那、気づいた時には、鎮守府はそれと同じ何かによって、取り囲まれているのが分かった。それらは、腕に金色の光を放つ武器を装備し、それを発射状態にしていた。

 その場に集っていた、鎮守府の戦士達は、即座に反撃しようと、武装の遊撃命令を出した。しかし、武装の稼働は、それらの攻撃よりも遅い。

 そして、金色の光は、正面玄関広間に集った鎮守府の戦士達に向けられ、放たれた―――


 ―――着弾と同時に発生した爆発は、鎮守府正面玄関広間を包み込んだ。その光景さ、まるで爆撃が行われたかのようだ。

 それを行った張本人である、鎮守府を取り囲んだ謎の存在達は、嘲笑していた。

 謎の存在は、全て同じ容姿をしていた。その他にも、武装、衣服、髪型まで、さまざまな点が共通している。

 何よりも特徴的なのは、肌に金色の線が刻まれていることだ。それは、顔、腕、足など、さまざまな箇所に刻まれている。まるで、ナスカの地上絵の一部を写したようだ。

 謎の存在達は、鎮守府が壊滅したと見て、別の場所に移動するべく、装着していたジェットパックを起動させ、空へと飛び立とうとした。

 しかし、次の瞬間、煙の中から古龍が飛び出した。古龍は重力装置腕改(グラビティアームⅡ型)で一体の存在を拘束し、そのまま地面へと叩きつけた。

 だが、その時既に、存在達が古龍へ向け、金色の砲弾を放つ準備が整っていた。鎮守府の金網で造られた壁の上に立つ古龍は、体勢を崩しており、この攻撃を躱せないと踏んだ。

 しかし、次の瞬間、煙の中から無数の砲弾が撃ち出された。それは、不規則なもので、存在達は回避に徹するしかなかった。

 存在達は回避際、煙の中に金色の砲弾を撃ち込んだ。それは煙の中へ向かって一直線に突き進む。

 しかし、砲弾が爆発したのは、煙の表面上だった。あまりにも不自然なことに、存在達は何が起こったのかを理解した。

 爆発が煙を払い、そこに現れたのは、巨大なレーザーの盾。それは、鎮守府正面玄関広間を包みこんでいた。

 攻撃が終わると同時に、レーザーの盾が消え、自走対空砲が宙に浮かぶ存在達に目掛け、弾丸を撃ち出す。

 存在達は、弾幕を軽々と回避する。しかし、そこに邪魔を入れるのが、古龍だった。重力操作機構を用い、一定時間の飛行を実現した古龍は、重力装置腕改で存在を捕らえると同時に、地面へ向かって叩きつけている。

 地面に叩き落された存在に待つのは、地上に立つ戦士達の攻撃だ。決して連携しているとは言えない攻撃だが、複数の高ぇきを避けきるための空間が、そこには存在していなかった。

 先手を取ったのは、これまで実戦を経験したことのない龍旭だった。日頃から訓練してきた槍の突き出される速さは、龍城が刀を振り下ろす速度にも劣らないほどに速い。

 存在はその攻撃を回避することができず、脇腹に槍を突き刺されてしまった。

 しかし、龍旭の攻撃はそれだけでは終わらない。華奢な体からは想像がつかないほどの筋肉が隆起し、槍で突き刺した存在を、宙に投げ飛ばした。


 「氷月、やっちまえ!!」

 「了解、叩き潰す!!」


 存在の吹き飛ばされた先にいたのは、流月の力を借り、宙へ飛んだ氷月だ。その手には、金砕棒が握られております、既に振り下ろしの体勢に入っていた。

 存在は回避しようとするも、龍旭に貫かれた槍がジェットパックの噴射口にも届いていたため、体を制御することができなかった。

 その直後、氷月の金砕棒が、存在の頭を捉えた。存在の頭は爽快なほどに吹き飛び、地面へめり込んだ。

 しかし、氷月は不自然なものを目にした。首を飛ばした存在の断面からは、機械のような何かと、激しく飛び散る火花が見受けられる。


 「皆、奴らは、人間じゃない!!」


 氷月は、下にいる者に向かってそう叫んだ。

 それを聞いた戦士達は、まだ無数にいる存在への認識を変えた。奴らは簡単に倒せるないと確信し、貫通の見込める徹甲弾の射撃に切り替えた。

 だが、存在の脅威はこれだけに留まらない。どこからか現れるのかは知らないが、先ほどから数の減る気配が全くない。

 このままでは、いつまで経っても街の救援に行けないと判断した鎮守府の主は、どこからか取り出した転移霧の小瓶を、宙へ向かって放り投げ、叫んだ。


 「戦艦隊、鎮守府を離れても良い者は転移霧を使用し、街へ向かえ!! ここは俺達が何とかする!!」


 その声は、空気を震わせるもの。そして、その指示は全体に届くものだ。戦艦達は鎮守府の主が投げた小瓶を受け取り、一斉に安全装置を解除した。途端、白霧が発動者を包み、指定の座標へと転移させようとする。

 その直後、鎮守府を離れ、街に蔓延っているであろう存在の排除を行う者が、近くの白霧の中へ飛び込んでいった。

 しかし、転移が完了する直前で、一体の存在が、無数ある白霧の内の一つに、金色の砲弾を撃ち込んだ。

 結果、発動者である龍闢は、白霧の中から吹き飛ばされてしまった。直後、白霧が消え、龍闢を除く戦艦は、全て街へ向かってしまった。

 しかし、龍闢は臨機応変に対応した。転移できなかった怒りもあるだろうが、瞬時に攻撃を行った存在を見抜き、槍でその頭部を貫いた。

 その一方で、一部の者は安心していた。一人でも準戦艦級の戦力が残ってくれるのならば、防衛は安泰だと感じることができた。


 そこからは、血で血を洗う戦いが繰り広げられた。存在は無尽蔵に現れ、攻撃が絶え間なく続いた。

 しかし、鎮守府の戦士達も負けてはいない。戦士達や白蓮、暁翠が前線で存在を破壊し、霊花が援護射撃を加える。この構図は完璧なものであり、戦力は均衡状態にあった。

 やがて、戦いは鎮守府の敷地内に収まらず、隣にある国道にも広がった。いや、むしろその方がよかった。鎮守府の敷地内だけでは、大きな一撃を受けることにより、全滅する可能性があったからだ。

 そんな乱戦の中、また一体、宙へと投げ飛ばされた存在があった。存在を吹き飛ばしたのは、龍闢だった。


 「一体、そっちに飛ばしました!! 対処をお願いします!!」

 「オーライ、任された!!」


 龍闢の飛ばした存在へ、流月が徹甲弾を放つ。しかし、存在達も学習しているのか、その攻撃を軽々と躱した。

 さらに、宙で自由落下している状態から、金色の砲弾を流月に向けて放った。流月の機動力では、その速さの砲弾を避けきることはできない。だが、生きるためには、全力の回避を行うしかなかった。

 しかし、次の瞬間、金色の砲弾は空中で爆発した。それと同時に、自由落下する存在も何かの攻撃を受け、損傷を負った。

 ふと、横目で隣を見ると、そこには、魚雷を手に持った冥龍がいた。


 「流月さん、油断しないでください!! いつまで守りきれるか分かりませんから!!」


 冥龍はそう言い、再び宙いる存在へ向け、魚雷を投擲する。無論、それらが軽々と躱されてしまうことは目に見えている。しかし、海蛇と呼ばれ、恐れられた海龍型が単純な作戦を使うわけがない。

 次の瞬間、存在の背中に何が命中し、爆発を起こした。存在は振り向き、爆発物を飛ばした者を確認する。

 そして、見つけた。爆発物を投擲した者は、先ほど魚雷を投擲した女と全く同じ服を着た女だった。

 しかし、それを確認している内に、今度は存在の腹が爆発した。それは、魚雷による攻撃だった。

 存在を翻弄する海龍姉妹は、全体で連携を取っていた。慣れない陸上戦だからこそ、そうするしかなかった。


 「葛龍姉さん、そっちに注意が向いていません。攻撃をお願いします」

 「了解。すぐに魚雷を撃ち込む」


 冥龍から報告を受けた葛龍は、即座に存在の背後に回り込み、魚雷を投擲した。魚雷は存在に命中し、多少なりとも損傷を与えた。

 その直後、淹龍が存在の側面目掛けて、魚雷を投擲した。その魚雷は存在のジェットパックに命中し、破壊した。

 ジェットパックの破壊により、存在は飛行することができず、地面へと衝突した。それと同時に立ち上がり、地上線への対応を行おうとする。

 しかし、存在は既に背後を取られていた。背後を取ったのは、淳龍だった。淳龍はそのまま、双剣で存在の首を斬り飛ばした。


 「淳龍、お手柄ね」

 「いえ、淹龍姉さんの攻撃がなければ仕留めきれていませんでした。ありがとうございます」


 淳龍は感謝の言葉を述べ、即座に他の存在の対応へ向かった。淹龍も同様に、存在への対応を行うべく走り出そうとした。

 しかし、次の瞬間、突如として上から誰かが伸し掛かってきた。そのまま地面に押し倒され、強い衝撃と圧迫を受ける。


 「ごめんなさい。大丈夫?」


 淹龍は、心配される声を聞いた。それと同時に、伸し掛かってきた誰かは即座に立ち上がり、淹龍へ手を差し伸べた。

 淹龍は手を掴み、相手を見た。意外なことに、伸し掛かってきた誰かは、城月だった。


 「私は大丈夫。それよりも、あなたが吹き飛ばされるなんて、少し意外だわ」

 「悲しいけれど、私は幻月ほど体が強くないのよ」


 城月はそう言い、宙を飛ぶ存在目掛け、徹甲弾を放つ。徹甲弾は存在のジェットパックに命中し、地面へと墜ちた。

 淹龍はそれを見て、こんなことをしている場合ではないと、次の標的を破壊するべく、走り出した。


 淹龍が城月と話した数秒で、戦況は大きく動いていた。無尽蔵に現れる存在の数が、徐々に落ち着きつつあった。それもあってか、戦士達の対応速度も、先ほどより向上していた。

 飛行する存在は、海龍姉妹が魚雷を投擲し、徐々に戦力を削いでいった。逆に、地上戦を仕掛ける存在は、陸軍の者達や神龍姉妹、風龍姉妹が対応を行っている。


 「鳳龍、そっちに一体行きよった!! 対処を頼む!!」

 「神龍姉様の仰せのままに!!」


 神龍の指示を受け、鳳龍は近辺に飛来した存在へ攻撃を仕掛けた。初手は主砲で牽制し、直後、存在へ向かって薙刀錫杖の横薙ぎを見せる。

 しかし、主砲で牽制したのにも関わらず、存在は軽々と攻撃を躱した。そして、刹那の間に、鳳龍の脇腹に蹴りを入れた。その蹴りは、鳳龍の肋骨を砕いた。

 それにより、鳳龍に大きな隙が生まれた。存在は金色の砲弾を放とうと、距離を取るために後ろに飛ぶ。

 しかし、次の瞬間、距離を取ろうとした存在に、日龍が襲い掛かった。日龍は既に短剣を抜いており、瞬時に存在の片腕を斬り裂いた。


 「これ以上、私達から仲間を奪うな!! 風龍姉さんだってあの世で悲しむ!!」


 日龍はそう叫び、さらなる斬撃を繰り出す。その速さは、これまでに類を見ないほど速かった。

 しかし、無情にも、半ば怒りに呑まれてしまった日龍の攻撃は、存在に命中することはない。その余裕から、存在は日龍を嘲笑いさえした。

 だが、直後、何か冷たい感覚が、存在の背を駆け巡った。日龍の斬撃を躱すと同時に、全力で横へ飛んだ。

 次の刹那、凄まじい斬撃が存在の脇腹を掠めた。攻撃の主は、火龍だった。その瞳の奥には、黒く燃える憎悪の炎が垣間見える。

 短刀を振り終えた状態の火龍は、即座に体勢を立て直し、回避を取った存在へ追撃の一撃を打ち込む。その速度は、まさに電光石火。その攻撃を、存在は避けきれない。

 次の瞬間、両者の間に凄まじい火花が散る。存在は、電磁砲を犠牲にすることで、火龍の攻撃を防いで見せた。

 しかし、想定外だったことが一つだけあった。それは、火龍の短刀を押し込む力が、想像以上に強かったことだ。


 「何で生きてるのよ。その汚い命は、一刻も早く業火に焼かれた方が良い。それが、地球のためよ」


 火龍は、温度を孕まない言葉を放つと同時に、短刀を押し込む力を強める。無論、存在はそれに抗おうと、必死になってそれを止めようとする。

 しかし、存在は忘れていた。ここは、道路とは言え、敵の本拠地の目の前。そこにいるのは、何か大切なものを失い、怒りを顕にする怪物だということを。

 そして、存在の背後には、またもや一人の女が立っている。当たり前だが、女は短刀を握り、斬撃を放つ体勢だった。

 気づいた時には、存在の首は飛んでいた。斬り飛ばされた首と、切断された胴体からは、激しく火花が散った。


 「ありがとう、空龍。助かったわ」

 「火龍姉さん、無理はなさらないでください。私達は、風龍姉さんの仇を取るまで死ねません」


 空龍はそう言い、次の標的を破壊するべく駆け出した。日龍も同じく、近くで仲間と交戦する存在へ狙いを定め、攻撃を仕掛けた。

 存在と戦闘を繰り広げていたのは、岩月と慙月だった。二人は連携を取り、一切の傷も負わず、存在を封じ込んでいた。

 しかし、その分討伐の効率は悪く、時間が掛かっている。存在も余力を残しており、油断できない状況だった

 そこへ、突如として火龍が参戦する。存在は三対一の状況に追い込まれ、余力を維持することができなくなった。瞬時に装甲が削られ始め、体の至るところから火花が散る。

 だが、存在は一方的に追い詰められていたわけではない。虎視眈々と、反撃の隙を見極めていた。

 耐え続け、僅かに見えた三人の僅かな隙。存在は、ジェットパックを用い、瞬時に速度を上げた。

 瞬きする間もなく、三人は存在の突破を許してしまう。慙月が反応し、即座に存在の足を止めるべく、徹甲弾を放とうとする。

 だが、目に映った光景は違った。存在の狙いは本部ではなく、存在を止めようとした自身達への反撃だと。

 その瞳の眼前に映るのは、突き出された存在の指だった。それは、ほぼ零距離と言っても良いもの。回避など、間に合うはずもなかった。

 そして、慙月の眼球を、存在の指が貫き、潰した。反応の遅れた岩月と火龍は、その光景に絶句した。

 その時、二人の脳裏に過ったのは、大切な仲間が葬られる光景だった。また、大切な仲間を失うのかという恐怖が、二人の脳を支配する。

 先に飛び出したのは、岩月だった。普段は使わない忍者刀を引き抜き、存在に斬り掛かる。その攻撃が、存在を捉えられないと分かっても、黙って立っているわけにはいかなかった。

 だが、その攻撃が、存在の動きを一瞬だけ制限した。その隙に、火龍が存在の背後を取った。その動きは、先ほどの存在の動きに匹敵するもの。

 そして、火龍が攻撃を仕掛けようとした時だった。


 「火龍さん、これを使ってください!!」


 突如としてとして、右斜め後方から声が聞こえた。一瞬振り向くと、そこには潤龍の姿があった。それと同時に、視界に映ったものは、二本の魚雷だった。

 火龍は一瞬の内に存在に斬撃を打ち込み、飛んできていた魚雷を手に取った。そして、視界に捉えていた、飛行する存在目掛け、魚雷を投擲する。

 魚雷は存在に命中し、地面へと撃ち落とした。その次の瞬間には、存在は大口径砲の直撃を受け、周囲に体の部品を四散させ、絶命した。

 一方で、岩月達も存在の処理を終えた。とどめを刺したのは、右眼球を潰された慙月だった。

 岩月は、また何もできなかったと、深い後悔に苛まれ、拳を強く握った。


 「私のことは気にしないで。それよりも、戦いはまだ終わっていないわよ」


 残った左目で確認したのだろう。慙月は、ため息混じりの声で言った。


 「分かったわ……ごめんなさい……」


 岩月は、今にも消え入りそうな返事をした。そして、三人は次の標的を破壊するべく、また駆け出した。

 アライアンスの戦士達は、大切なものを守るため、今はただ、戦い続けるしかない。それができなければ、死ぬ以外の道は残されていないのだから―――

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