夜明けのマクラ
夜更かししてますか
夜更かしが好きだ。自分の「好き」を、目一杯満喫できるから。私の趣味は所謂オタク的なもので、ゲームや漫画、アニメなど。贅沢に時間を使ってそれらを楽しんだ。翌日が辛くても、数年前から続く習慣を止めることは難しかった。
今でも夜更かしは好きだ。でも、私にとって夜更かしは特別な行為ではなくなった。徹夜はしないと決めていたのに、今では堂々と夜を越す。昼夜がひっくり返り、朝日に煩わしさを覚えながら目を瞑る。腹が減れば夜食に手を出し、寒ければエアコンをつける。石油ストーブを頼りにしていたのが嘘のよう。悴む手を擦りながらplay stationのコントローラーを握る必要は無くなった。
昔の私にとって、夜更かしの全てはあの部屋だったのだ。古びた勉強机と小さなテレビ、一人用の硬いベッド。夏は扇風機、冬は石油ストーブ。どちらも効きが悪かった。思い返してみても不便な部屋だ。それでも、あの時、あの瞬間は自分だけのもの。そんなふうに思える謎の確信がある。
別に不便を楽しんでいたわけではないし、便利を拒むわけでもない。今でも夜更かししている。でも、以前と何かがはっきりと違う。
夜更けに逆らって私は起きた。それでも眠気に素直になって、夜明けと共に目を覚ました。
夜更けに逆らって私は起きる。しかし眠気にも抗って、夜明けと共に目を瞑る。
それが大きな大きな違いだった。夜は無敵で無くなったのだ(別に徹夜したからと言って勝てる訳では全くないが。なんなら勝ち負けをつけることですらないが。)。かつて最強だったキャラクターが、ぽっと出のキャラにお株を奪われるような虚しさに似ている。
拝啓、今夜。私は夜明けに寝るでしょう。夜を越すことに、何か特別な感情を抱くことは、もはやありません。この駄文を書いてる、今この時にも朝日の気配を感じています。今日も夜明けを枕にして、眠りにつきます。さよなら、かつての夜更かし。形が変わっても、こうして小言を並べても、私は夜更かしを続けます。どうせ、やめれないですし。
してますよ




