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犯人の要求

気分転換!

現場に到着すると辺りは報道陣と保護者と野次馬が入り混じる、酷い有様だった。


園は封鎖されているが、正門では駆けつけた保護者が中の様子を少しでも見ようと巡査と押し合いをしている。


「犯人は拳銃を所持しております!一般の方は危険なので近寄らないで下さい!」


もう何度も繰り返し叫んでいるのだろう。巡査の声は枯れていた。


「村田警部!いらしたのですか?退院はまだ先だと……」


今村警部補が驚いた様子で声をかけてきた。久しぶりに会ったが、相変わらずスラっとしたイケメン。何故警察官なんてやっているのか分からない風貌だ。


「こんな事件が起きているのに、寝てられないからな。状況を教えてくれ」


「……はい。本日正午、南第二幼稚園ひまわり組の教室に拳銃を持った男が侵入しました。男は先生2人と園児20人を人質にとり、立てこもっています」


「拳銃は本物か?」

 

「本物です。園の裏から侵入を試みた機動隊員に発砲してます」


「なにか男から要求はあるのか?」


「いえ、今のところはありません。ですが……」


「なんだ?」


「犯人のものと思われるTwittorのアカウントは特定出来ました。報道陣からの情報提供です」


「今も投稿を続けているのか?」


「……はい」


今村の表情は険しい。


「リンクを送ってくれ」


「了解です」



スマホを取り出し、今村から送られてきたリンクをタップすると、犯人のアカウントと思われるTwittorの投稿が表示された。


"今からオモチャのピストル持って幼稚園に行ってきまーす"


これが11時過ぎの投稿か。


"ひまわり組ではキッズ達が給食を食べてます!美味しそう"


侵入してすぐに呟いている。


"外が騒がしくなってきた!"


"行儀の悪い奴等が裏から侵入してきた!お仕置きで発砲した!"


"勝手に入ってきたら駄目だよね?キッズ達がどうなってもいいのかな?"


"おおお!緊急速報キター!"


"まだ気付いてないの?こんなに呟いてるのに"


"おっ、フォロワー増え始めた。これはキタか?"


"んほー!!アクティビティが凄いことになってる!これは始まった"


"キッズ達の様子も投稿しておきますね"


"これから日本の警察が如何に無能か、皆さんと一緒に検証していきます!!"


"あっ、もしこの垢が凍結されたら尊い命が失われますので、運営さんは注意してね!"


クソ。これは不味い。


「今村!犯人のアカウントはどれくらい拡散している?」


「掲示板やSNSで凄い勢いで拡散しています。既に数万人が見ていると思われます」


「テレビは抑えているのか?」


「はい。そこは大丈夫ですがネット系のメディアが報じるのは時間の問題かと」


「犯人の特定は進めているな?警察に恨みを持っているのは間違いない」


「顔の照合は進めていますがまだ身元は特定出来ていません」


時間が掛かれば掛かるほど状況は警察に不利になる。ここは機動隊を突入させるしかないか?しかし犯人から死角になるような侵入経路はない。催涙ガスは……園児への健康被害が後からマスコミのネタになりかねない。いや、確実になる。


「クソッ!」


「村田警部!犯人が新しい投稿をしました!」


スマホを見ていた今村が声を上げる。


「どんな内容だ?」


「初めて具体的な要求が……」


「なんと言っている?」


「"これから出す要求に応えることが出来れば、人質を解放する。解放する人質の数は要求の難易度によって変わる"」


「ふざけやがって!」


「"では、1番目の要求。警察は夏木マミのヌード写真を撮って県警の公式垢でTwittorに投稿しろ"」


「夏木マミ?あの女優のか?もうババアじゃないか!」


「"この要求をクリアした時に解放される人質の数は1人"」


「少な過ぎる!!」


「まぁ、そこは大分年齢がいってますので難易度低めなのでは?」


「今村!県警の公式アカウントでババアの裸体を晒すんだぞ!何処が難易度低いんだ!」


「……すいません」


「今すぐ夏木マミの事務所に連絡しろ!自撮りでもなんでもいいから全裸の写真を送らせるんだ!」


「は、はい!」


警察を舐めやがって。絶対に犯人を追い詰めてやる。

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[一言] 現代社会の闇をみた
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