相方棟
サジャ達は祓魔師協会の館を出て、相方棟へと向かった。
相方棟は祓魔師協会の東に建っており、三階建ての建物だった。
「さ、いくよ。僕について来てね。」
ショーンは相変わらずニッコリ笑っている。笑顔はきっと彼の癖なのだろう。
ショーンは相方棟の扉を開けると、説明を始めた。
「この相方棟はね、一階が祓魔師の相方達の部屋。二階が訓練場や会議室に食堂や売店。三階が食堂やお風呂に一部の相方達の部屋があるよ。今から行くのは…僕の相方の『ヒカリ』がいるだろう三階。あそこには展望台があるから彼女はきっとそこにいるだろう。」
「ショーン先輩の相方さんに会うのが楽しみです!」
サジャの足取りは軽く、ショーンに続く。
そして2人は三階の展望台についた。
「やぁ、ヒカリ!」
ショーンが呼ぶと赤髪で短髪の活発そうな女性がこちらを振り向いた。
「ショーンじゃないか。あれ、今日は新しい祓魔師見習いさんの担当じゃなかったか?」
「もちろん、今も担当だよ。紹介するよ。サジャ。彼女はヒカリ。昔、記憶が無い彼女を会長が引き取って育ててきたんだ。」
ショーンが紹介すると、
「よろしくな!サジャ。紹介があったとおり、ボクはヒカリ。ショーンの相方さ。昔の記憶がなかったりするけど、それでも元気に暮らしているよ。相方になったのは、ま、恩返しっていったところかな~!」
ヒカリは元気そうな女性だなとサジャは感じた。
「よろしくお願いします。私はサルジャーンと言います。長いのでサジャって呼んでください。」
「サジャね、珍しい見た目だね。」
ヒカリは悪びれた様子もなくサジャを一瞥した。
「この見た目でよく、悪魔みたいって言われますが悪魔じゃないので安心してください!」
サジャはその視線に気づきとっさに弁解した。
「あー、悪い。珍しいなって思っただけだから気にしないでくれ。」
ヒカリは必死に訴えた。慌てている様子だったのでショーンはフォローをした。
「サジャ、ヒカリはすぐ思った事を口に出したりする単純な子なんだ。悪気はないし意味もあまりない事が多いから本当に気にしなくていいよ。」
「ショーン、意味がないは失礼だろ!」
ヒカリは冗談っぽく言った。仲が良いのだろう。悪い雰囲気はない。
サジャは先ほどの事は気にしなくなりクスッと笑った。
「さて、本題だけど……」
ショーンはヒカリに向かって言った。
「ヒカリ、ヴァラフェンの森に行くよ。」
「ヴァラフェンの森?そりゃまたなんで?」
「サジャに実践体験をしてもらう為だよ。」
ふむふむとヒカリは頷いた。
「わかったよ。ショーンが行くならもちろんボクも行こう!サジャも守ってあげるからね。」
「ありがとうございます。是非お二人の闘う姿をみたいです!!」
「お、良いね。しっかりみていてくれよな!」
サジャとショーンはヒカリを仲間に加えてヴァラフェンの森に向かう事にし……ようとしたが、ヒカリがショーンに話しかけた。
「なぁ、ショーン。」
「なんだい?ヒカリ。」
「少しだけ準備に時間もらえないか?」
「15分で準備できる?」
「任せろって!じゃ、急いで準備してくるから、二階の食堂で待っていてくれ。」
そう言ってヒカリは自分の部屋に向かい走り始めた。
「ショーン先輩の相方さんてとても元気な方ですね。」
「そうだね。おかげで僕も元気になるよ。さ、僕らは二階の食堂で飲み物でも飲んでまっていよう。」
「はい。ショーン先輩。」
2人は食堂でヒカリを待つことにした。