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発見!隠し通路!

 「アリスさん、待ってください!アリスさん!」

わたしたちはランタンの灯りを頼りに、おぼつかない足取りで、薄暗い洞窟の中を駆け抜けていく。


 既にアリスさんは、わたしたちの遥か前方を走り抜けている。

その様はまるで、洞窟の中を吹き荒ぶ一陣の風のようだ。

怪我のせいで弱体化しているとはいえ、流石は魔族。

身体能力は人並み以上だ。


 わたしはタブレットに表示された洞窟内の見取り図をもとに、アリスさんへと追いつこうとする。

しかし、この洞窟の構造はほぼ一本道で、分岐点もあまりない。

その上あまり深くもないため、アリスさんに追いつくにはあまり時間がかからなかった。

彼女のいた場所、そこは洞窟の最奥部である。


 「はぁはぁ……。アリスさん、早すぎですよ。」

わたしは息を切らしながら、彼女に抗議した。

しかしアリスさんはわたしの抗議に答えない。

彼女は洞窟のやや開けた場所に立ちすくみ、ただじっと何もない壁を睨み据えていた。

 

 周囲にあるのは、四散したスライムの残骸と、古びた空の宝箱のみである。

宝箱は上蓋が開いたままであり、長年そのまま放置されたらしく、あちこちに蜘蛛が巣を張っている。

それ以外は、特におかしなものは見当たらない。


 「クェェェ!クェェェェ!」

とり丸が洞窟の天井近くでホバリング飛行しながら、アリスさんと同じ方を見つめて鳴き続けている。

まるで、そこにある何かについて警鐘を鳴らしているように思える。


 「とり丸、そこに何かあるの?」

わたしの問いかけに対しとり丸は「クェェェ!」と一声鳴いて答えた。

そして目をカッと見開くと、目の前の壁に向けて一条の赤い光を放った。


 「アリスさん、とり丸は何をしているんですか?」

「あれはスキャニング機能じゃ。とり丸の眼には高性能な光学機器が搭載されておる。そのセンサーが、洞窟内の怪しげな場所をあばきだし、こうして我々に知らせたというわけだ。まぁ見ておれ。」


 とり丸の眼から放たれた光は、点から線になり、さらに線は格子状の紋様を描くと、洞窟の壁面を赤く照らし出した。

赤い格子模様が壁一面に広がると、洞窟の壁がチカチカと点滅し、半透明になった。 

やがて点滅が激しくなり、目の前の壁がスゥと消え去ってしまった。


 「壁が消えた……?これって……もしかして隠遁魔法?」

隠遁魔法。

それは術式の範囲内に入った対象の認識に作用し、本来そこにあるべきものを見えなくするという、幻惑系魔法の一種である。

これは主に、隠遁生活を営む魔術師などが、自身の隠れ家への出入り口を隠すのに使われている。

さらに、高難易度のダンジョンにも、侵入者をかく乱するためのトラップとして使われていることが多い。

かくいうわたしも、過去に何度かこれに引っ掛かったことがあるのだ。


 「ふむ、さすがのお主も、隠遁魔法のことは知っておったか。少しは感心したぞ?ドロシー殿。」

「もう、茶化さないでくださいよ、アリスさん!それにしても、とり丸には幻惑魔法を無力化する機能もあったんですね!ほんとにすごいですよ、この子。」

「ふふん、まぁな。なにせとり丸には、本来の使用にはなかった機能を山のように盛り込んでおる。このスキャニング機能も、その中の一つなんじゃよ。」

そう言うとアリスさんはニヤリと笑い、満面のドヤ顔でハハハと笑った。

なるほど、つまりとり丸には他にもまだ明らかになっていない機能がたくさんあるのか!

メイガス・ギアという機械は、いったいどれだけの力を秘めているんだろう?


 「話を戻しますけど、アリスさん。この隠遁魔法、かなり高度なものですよね?」

「うむ、わしの見立てでは、アデプト級の魔術師によるものだろう。それも、術式の癖から察するに、おそらく外法に手を染めておる。」

外法……。つまり、この魔法を仕掛けた誰かは、法律で禁止された危険な呪術に手を出しているということか。


 普通、隠遁魔法というものは、術者が隠したいと思うものを、他のものに見えなくするために使われることが多い。

そして、この場所に仕掛けられた術は、素人目に見てもかなり凝った作りのものだ。

しかも、アリスさんによると、この術者はなんらかの禁呪に手を染めている可能性が高いという。

隠された通路……、高度な隠遁魔法……、外法に手を染めた魔術師……。

これらの情報から導き出される結論は……!


 「アリスさん、つまり、この先でなんらかの違法行為が行われているということですか?」

「その可能性は大いにある。というか、十中八九そうじゃろうな。」

「一度共和国に戻って、憲兵に知らせますか?」

「いや、その時間はない。さっきも言ったが、わしの予想だと早く手を打たんと、取り返しのつかない事態になる。とり丸、先導を頼む!皆の者、ついてまいれ!」

「了解です、アリスさん!」

「クェェェェェェェェェ!!!」


 こうしてわたしたちは、隠遁魔法で隠された秘密の通路へと飛び込んでいくこととなった。

いったいこの先に何が待ち構えているのか?

アリスさんが危惧するものとはいったい?


次回、乞うご期待!



 


 

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