表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/66

あなたの名前はステラで決まり!

「……ほぇ~~……。」

「ご主人?ちょっとご主人?大丈夫ロボか?」

「……はっ!!」


ロボ丸に声をかけられ、わたしはようやく我に返った。

しばらくの間、この人形の美しさの虜になっていたらしい。


「その人形どうするロボ?」

「どうって……?」

「ドワーフの宝はいい金になるロボ!美術商か大学に売れば大儲けできるロボ!」


この子を売る……。

ロボ丸の言う通り、この人形には大した価値がつくだろう。

うまくいけばひと財産気付けるかもしれない。

実際、ドワーフの宝を手に入れた冒険者が、郊外に大きな屋敷を構えたり、新たな事業を起こして成功した例は枚挙にいとまがない。

しかし……。


「ロボ丸、わたし決めたよ!」

「何をロボ?」

「この子はわたしのものにする!」

「売らないロボ?」

「……うん!」


わたしは力強くうなづくと、人形に向かって手の平をかざした。

そして指先に魔力を集中させる。

これから「人形使い」の固有スキル「入魂の儀」を発動させ、この人形に魂を与えるのだ。


かざした手の平に魔法陣が現れ、そして青白い光の玉が錬成される。

この光の玉こそが、これから人形に注入する魂なのだ。


「スキル発動!一発入魂!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

わたしは気合を込めた掛け声と共に、人形の体に魂をねじ込んだ。


人形は関節部から光を発しながら、ビクンビクンと二、三度痙攣する。

そして、白い頬が薔薇色に染まり、人形うはうっすらと瞳を開いた。

人形に魂が宿った。儀式は成功だ!


よっしゃ!とわたしは小さくガッツポーズを決める。

さて、儀式は無事成功したが、これだけでは終わらない。

使役するには、人形に名前を付けなければならないのだ。


人形はぼんやりとした顔でこちらを見上げている。

その瞳は、夜の星の瞬きのように美しかった。


「あなた、だぁれ?」

人形の口から言葉が漏れた。

その声は鈴のように軽やかで、ハチミツのように甘い。


「わたしはドロシー・アプリコット!あなたのマスターよ!」

「ますたー?」

人形は幼児のような愛らしい仕草で首をかしげた。


「そう、マスター。あなたの名前は……そうね……?」

しばしの逡巡ののち、脳裏にひとつの言葉がよぎった。

目の前の少女人形にふさわしい、美しい名前。


「あなたの名前はステラ!ステラで決まりね!」

「すてら……?わたしのなまえ……。」


ステラは不思議そうに、自分の名前を反芻したのだった。


挿絵(By みてみん)

☆『魔導人形「ステラ」が仲間になった!』




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 文書が凄くきれいで読みやすくストーリーも楽しいです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ