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戻ってきた日常

 チュンチュン……ピピピ……

窓の外から小鳥たちの可愛らしい鳴き声が聞こてくる。

カーテンの隙間を縫うように陽光が差し込み、薄暗い部屋の中を明るく照らし出す。


 朝の冷涼で爽やかな空気が頬を撫で、未だ安寧の暗闇にあるわたしの意識を優しく目覚めさせてくれる。

「ん〜〜‼︎あ〜〜よく寝た〜〜‼︎‼︎」

わたしはベッドから上体を起こすと、軽やかに伸びをする。


 「おはよう、小鳥さん。」

ベランダの欄干に止まる小鳥さんに、窓越しに挨拶する優雅なわたし。

わたしの挨拶に応えるようにチチチと鳴いて飛び立つ小鳥さんたち。


 レムリア共和国一の人形使い『ドロシー・アプリコット』の優雅な一日はこうして始まるのだ。

「……主人……ご主人!朝飯できたロボ!とっとと起きて食うロボ!」


 隣の部屋から割烹着を着たロボ丸が、フライパンをガンガン鳴らしながら入ってきたのだ。

おかげで、それまでの優雅な雰囲気が、あっという間に台無しになってしまった。


 「ちょっとぉ!部屋に入るときはノックぐらいしなさいよね!」

わたしは大声で抗議するが、ロボ丸はそれにも構わず

わたしのベッドまでズカズカと上がり込んでくる。


 「ちょっともクソもないロボ。朝ごはん冷えちゃう前にさっさと着替えて飯食うロボ!」

そう言うと、ロボ丸はわたしがかぶっていた布団を一気に引き剥がした。

朝の冷たい空気がわたしの身体を包み込んで、全身に鳥肌が走る。


 「ちょ、ちょっと、いきなりお布団とらないでよ!寒っ!っていうか今日寒い!」

「そりゃパジャマも着ないでパンツいっちょで寝てたらそうなるロボ。」

ロボ丸が呆れたような口調でそう告げた。


 あれ?なんでわたし裸なんだろ?

あー……、そういえば昨日はシャワーを浴びた後、服も着ないで夜遅くまで新装備の設計図とにらめっこしていて、そのまま疲れてベッドで寝ちゃったんだっけ。

そりゃあどうりで寒いわけだわ。

……ほんと、ロボ丸さんのおっしゃる通りでございます……。


 服を着替え終えたわたしはテーブルに腰かけ、ロボ丸が作ってくれたベーコンエッグをパンにはさんでむしゃむしゃと食べていた。

「あ〜〜今日も暇ねぇ〜〜。」

テーブルに置かれた新聞を流し読みしながら、わたしはそう呟く。


 正直、今日もたいした記事はのっていない。

やれ、どこそこの冒険者が飛竜を討伐しただの、政治家やら聖職者の汚職問題だのが三面記事をにぎわせている。

あとはせいぜい、冒険者崩れの書いたコラム記事や、最新式蒸気馬の広告くらいのものだ。

 

 「……うん?」

眠たげな眼で新聞を流し読んでいると、ある記事が目に留まった。

なんでも、共和国の北の方で大きな地震があったらしい。

共和国の北っていうと、確かドワーフ遺跡のある方よね?


 ……なんだか嫌な予感がする。

準備を整えてから、週末にでも出向いてみようかしら?

そういえば、今日は午後からアリスさんが尋ねてくるから、少し相談してみようかな?

怪我の具合、よくなってるといいけど。

 

わたしはモグモグとベーコンエッグを食べながら、そんなことを考えたのだった。



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